このまえ久しぶりに知人のイギリス人とスカイプで話をした。
そのイギリス人は日本で5年ほど英語を教えていた女性で、母国で出産するためにイギリスへ帰った人。
いまはロンドンから引っ越して、ケンブリッジ大学の近くに住んでいるらしい。
今回は、そのとき聞いた話とイギリスという国について書いていこうと思う。
まずはイギリスの基本情報
面積:24.3万平方キロメートル(日本の約3分の2)
人口:6,600万人(2017年)
首都:ロンドン(人口約883万人,2017年)
言語:英語(ウェールズ語,ゲール語等使用地域あり)
宗教:英国国教会等
国祭日:女王公式誕生日(毎年決定される。6月の第2土曜日が多い。
以上は外務省ホームページの「基礎データ」から。
まずイギリスについて日本人が知っておいたほうがいい情報は、「そんな国は日本でしか存在しない」ということ。
きっとそう考えたほうが正確だ。
イギリスというのは日本語で、英語では「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)」で略して「(The)UK」と呼ぶ。
それを知らずに海外でアメリカ人と話をしたとき、「イギリスでは」のつもりで「イン・イギリス」と言ったところ、そのアメリカ人を迷宮に迷い込ませてしまった。
今回スカイプで話したイギリス人も、日本人から初めて「イギリス」と聞いたときは、それが何なのか分からなかったという。
ボクと話しているときに、「イギリスという言葉を久しぶりに聞きました」と上品に笑う。
「イギリス」は日本人ならOKだけど、外国人には「ユーケー」と言ったほうがいい。
この記事は日本人向けに書いているから、イギリスと表記する。
ちなみに「イギリス」はポルトガル語の「Inglez(イングレス:イングランドの意味)が語源。
そのせいか分からないけど、タイ語でも日本語の「イギリス」にわりと近い発音をする。
イギリスは4つで1つ。
イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つの国からできている国だ。
この4つは州ではなくて「国」と覚えよう。
とというのは、まずお金が違うから。
イングランド・ウェールズとは別に、スコットランドや北アイルランドでは独自の紙幣を発行している。
これがとても紛らわしくて煩わしい。
イングランド紙幣はイギリス全土で使うことができるけど、スコットランド紙幣と北アイルランド紙幣はイングランドでは拒否されることがある。
スコットランドのあとにイングランドに行った日本人旅行者が商店でスコットランド紙幣を出したら、「それはここじゃ使えない」と言われて驚いたという。
ボクと会ったときには、その紙幣は記念品になっていた。
ただ10年以上前に聞いた話だから、いまのイギリスの状況は分からない。
サッカー、いやフットボール・ワールドカップも、この4カ国は別々で出場している。
強引に日本でたとえるとしたら、北海道、本州、四国、九州・沖縄に分かれて参加するようなもので、戦力が分散されるから絶対に弱くなる。
では、もしこの4カ国が1つにまとまったらどうなるか?
現在のFIFAランキングを見るとイングランドが4位、ウェールズが19位、北アイルランドが日本と同じく28位。北アイルランドだけでも日本と互角。
しかも日本は去年12月の時点では50位だった。
これらが「チームUK」として出場したら、たちまち優勝候補の筆頭になるだろう。
でもこのイギリス人は「1つのチームになるのは無理ですね。みんな反対しますから」と言う。
ワールドカップ優勝より、自国のアイデンティティーを優先するようだ。
でもオリンピックでは「GB(グレートブリテン)」として1チームで参加する。
イギリスオリンピック委員会は、「グレートブリテン及び北アイルランドにはひとつのオリンピックチームしかない、それは Team GB だ」と発表している。
日本人としてはイギリスとアイルランドの関係をおさえておこう。
日本が韓国を併合したように、イギリスはアイルランドを併合して1つの国にした。
だから日韓関係はよくイギリスとアイルランドの関係にたとえらえる。
現代では、韓国とアイルランドを対比する人は決して少なくない。後述する金貞烈氏も「あらゆる面でよく似ている」と言われた。
「洪思翊中将の処刑 (山本七平)」
4つの旗を1つにするとイギリス国旗になる。
話を聞いていて「イギリスってほんとにバラバラですね。どうやって、国としてひとつにまとまるんですか?」と聞いたら、「一番は女王でしょうね」と言う。
「イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドにとっても女王は親愛や尊敬の対象ですから」
これは日本国民と天皇の関係とおなじ。
君主がいる国にはこういうメリットがある。
>「イギリス」はポルトガル語の「Inglez(イングレス:イングランドの意味)が語源。
これは知りませんでした。てっきり、Englishmanの「English→エンゲレシュ→エゲレス」が語源だとばかり思っていました。
国全体を表す略語はUK(of GB and NI)ですが、それがどうしてオリンピックチームはGBになるのですか?もしかして、北アリルランド出身者はチームGBの選手には含まれていないのでしょうか?
日本とタイに初めてやって来たヨーロッパ人はポルトガル人で、その言葉が両国でイギリスを指す言葉になったと思います。
イギリス全体をあらわす一番言葉は「ブリテン島」のGB(グレートブリテン)のようです。
言葉の上では北アイルランドは入っていませんが、GBには北アイルランドの選手も含まれます。
GBの呼称でこれが問題になっていますけど、北アイルランドを含めるいい言葉がないらしく、これが使われています。
その「GB」という単語を翻訳すると、なぜ「ブリテン島」になるのか分からないのですが。完全に間違いだと思う。あるいは、英国人の都合に合わせた意図的な誤訳ですね。あなた、騙されてますよ。
「ブリテン島」は、GBではなくて、Britain Island です。(Great Britain Island (=大ブリテン島)という言い方もあるのかもしれないが、では「小ブリテン島」ってどこにあるのですか?)
なお Great Britain を正確に日本語訳するなら「大ブリテン国」でしょう。いかにも周辺国を征服した「大英帝国」の傲慢さそのままの自称だ。女王による統一が最大の特徴ならば、United Kingdom で、オリンピックチーム名称も統一してしかるべきだと思う。そうしないのは差別意識と傲慢さの現れに過ぎない。これでは北アイルランド住民が不満に思うのもあたりまえ。長らくテロ活動が収まっていないのも無理はない。
英国以外の世界各国の見方も同じで、だからこそ、外国人は彼らの国をUKと呼ぶのです。
まあ、EUからは抜けるのが正解ですよ。自らの力の無さも省みず、孤立の道を選び、沈没したいなら自由にすればいい。
イギリス人が「GB」と言うときはイングランド・ウェールズ・スコットランドの3つの地域(=ブリテン島)をイメージすると思います。
この3つがひとつになった王国「グレートブリテン王国」は1801年までありました。
でも現在のイギリス人がこれを思い浮かべるとは想像できません。
ただ解釈は自由ですよ。