このまえ台湾人・ドイツ人・インド人と話をする機会があったから、これからそのとき聞いたことを書いていこうと思う。
みんな日本に住んでいる外国人で、台湾人は30代の女性、ドイツ人は30代男性、インド人は30代の夫婦。
〇宗教について
ドイツではキリスト教の影響が強いけど、最近は社会全体で信仰心は薄れている。
カトリックの神父が子供たちに性的虐待をしていたことが発覚して大問題になった。こうした不祥事でキリスト教に幻滅する人は多い。
インドではどちらかというと宗教熱が高まっている。
人気取りのために、宗教対立をあおる政治家が多いのがインドの大きな問題。
いまの与党、インド人民党(BJP)もヒンドゥー教を熱烈に支持している。
ヒンドゥー至上主義政党でイスラム教やキリスト教をインドの価値観に合致しないとして批判する
政教分離になってない。
ことし1月、別のインド人女性と初詣に行ったとき、お寺の前でキリスト教の一派が布教活動をしていて、これを見た彼女は驚がくした。
インドで、宗教施設の前で布教活動をしたら大問題になる。
何百人ものヒンドゥー教徒がいて、しかもヒンドゥー寺院の前でイスラーム教徒が「アッラー以外に救いは無い」と言ってプラカードをかかげたら、その人はきっと死ぬ。
逆も同様。
全国で抗議デモが起こって、何十、何百人が死ぬかもしれないという。
インド人は日本で宗教の緊張をまったく感じないという。
もちろんそれはほめ言葉。
それもそのはず、日本人の信仰はむかしからやさしいから。
たとえば鎌倉時代、後醍醐天皇から信頼されていた公卿で武将の北畠親房は「神皇正統記」でこう書いている。
天皇としてはどの宗派についても大体のことは知っていて、いずれをもないがしろにしないことが国家の乱れを未然に防ぐみちである
「神皇正統記 (慈円 北畠親房 日本の名著9 中央公論社)」
なんてったって平和が大事。だから、どの宗派(宗教)も理解し、尊重しないといけない。
これは鎌倉時代の天皇の資質というだけでなく、現在の日本人の価値観にも合っている。
つまりこれは日本の伝統的な信仰心なのだ。
和を乱す宗教は、戦国末期から江戸時代のキリスト教のようにキック・アウトされる。
BJPはヒンドゥー教のシンボルである「蓮(はす)」をそのまま党のシンボルにしている。
北畠親房の理想とは反対だ。
仏教でも蓮の花は大事にされていて、奈良の大仏では台座になっている。
仏教では泥水の中から生じ清浄な美しい花を咲かせる姿が仏の智慧や慈悲の象徴とされ、様々に意匠されている。
タイやカンボジアなど東南アジアでも蓮の上に仏様が描かれている。
これを政治の道具にしてはいけない。
台湾は日本と似ていて、宗教は大きな問題にはならない。
台湾の社会問題は、「台湾は中国の一部かどうか?」といういわゆる「台湾問題」だ。
いま香港で中国の法律(逃亡犯条例)が適用される可能性が出てきて、100万人を超える香港人がデモを行っている。
香港と中国の「一国二制度」は台湾人にとって人ごとではないから、香港の動きには台湾人も関心を持っている。
ちょうど昨日、これについて時事通信がこんな報道をしていた。(2019/07/09)
政府トップの林鄭月娥行政長官は9日、記者団に「改正案は既に死んでおり、完全な失敗だった」と語り、審議再開の見通しがないことを改めて強調した。
逃亡犯条例「改正案は死んだ」=林鄭長官、辞任は否定-香港
台湾人的には一安心。
台湾人やインド人からいまの日本の社会問題について聞かれたから、「韓国との関係悪化」と答えておいた。
「なんで日本と韓国はいまでも歴史問題でケンカしているのですか?」と、台湾人が尋ねるというこの不思議。
日本は1985年から1945年まで台湾を統治していて、その期間は韓国(1910~1945年)より長い。
それにもかかわらず、日台の関係は水と魚のようにいい。韓国とは水と油となのに。
日韓の対立を解消するヒントは台湾にあるようだ。
インド、アーリア、ゲルマン、スラブ、そしてアラブとセム・ハムの人々。彼らの宗教的志向は、一神教、経典主義、善悪2原論に過剰に固着しているのではないですか?私から見れば、それは民族的な精神の病に近い。
ただし、その信念の強さが、おそらくは現生人類が進化の競争過程で生き残ってこれた理由の一つだとも思う。
一方、島国でのほほんと生き残ってきた日本人の仏教ですが、日本人らしく堕落し世俗化しているからこそ現代社会での実用性があると思うのです。仏教界の人々自身がその点をもっとよく考えるべきだと思うがなぁ。
う~ん、「インド、アーリア、ゲルマン、スラブ、そしてアラブとセム・ハムの人々」の宗教的志向をまとめて言うことは、むずかしくて私にはわかりません。
「堕落して世俗化」ですが、タイ人やカンボジア人などの仏教徒に話を聞くと「日本は仏教の教えが浸透している」なんて言いますよ。