このブログのきのうの「検索キーワード」で李舜臣がたくさんあった。
いま李舜臣について知りたい人がたくさんいるらしい。
では乗るしかないか、このビッグウェーブに。
「イスラーム京」も捨てがたいけど、今回は韓国人が誇る16世紀の英雄について書いていこうと思う。
韓国の首都ソウルには、背後の王宮を守って日本をにらむようにして立つ李舜臣の像がある。
いまの韓国人はこの人物をどう見ているのか?
2017年におこなった「全国大学生意識調査」によると、尊敬する韓国の人物として李舜臣はベスト3に入った。
中央日報の記事(2017年10月27日)
文大統領は35.8%に選ばれた。続いてキム・ヨナ元選手が29.6%、李舜臣将軍が16.4%でそれぞれ2・3位を占めた。
文大統領、李舜臣・キム・ヨナ押さえて大学生が尊敬する人物「1位」
これを強引に日本でたとえると、1位安倍首相、2位浅田真央元選手、3位豊臣秀吉になるのだろうか。
何のランキングかよく分からない。
「同じ人物でも、国が違うと見方も変わる」という世界のあたり前は、日本と韓国の間ではとくに顕著。
伊藤博文を暗殺した安重根は韓国では国民的英雄だけど、された側の日本ではテロリストだ。
李舜臣の場合、日韓でこれほど極端に評価が分かれることはないけど、知名度や人気でIZ*ONEやTWICEに勝てるはずがなくて、そもそも「抗日の英雄」だから受けも良くはない。
それにこんなふうにスポーツに政治を持ち込むから、一般的にはアンチの方が多いだろう。
国際的なスポーツ大会(特にサッカー)でも彼の肖像画がしばしば使われる事があり、2013年7月28日に行われた東アジアカップ・日本-韓国戦でも、『歴史を忘れた民族に未来はない』という横断幕や安重根の肖像と共に掲げられた。
2019年6月に釜山で行われた対オーストラリア戦でも、なぜか安重根と李舜臣の横断幕が掲げられていた。
くわしいことはレコードチャイナの記事(2019年6月11日 10:20 )をどうぞ。
<サッカー>豪州戦になぜ?韓国サポーターが「抗日英雄」の横断幕を掲げて物議
きのう検索キーワードで「李舜臣」がたくさんあった理由は、中央日報の記事(2019年07月13日)が理由だったらしい。
対日総力対応の文大統領、李舜臣に言及して「12隻で国を守った」
「全国経済ツアー」で全南道を訪れたムン大統領が李舜臣ついてこう話す。
「全南住民が李舜臣将軍と共にわずか12隻の船で国を守った」と強調した。壬辰倭乱(文禄・慶長の役)当時、12隻の船で倭軍に対抗して勝利したエピソードを紹介した部分は当初配布された原稿にはなかった内容だった。
いま日本が韓国に対して輸出規制の厳格化をしている。
韓国側はこれを「日本による不当な経済報復」と呼んで全国的に怒っていて、李舜臣の「護国精神」もこれを背景にして出てきた。
半導体製造にかかわる危機を、400年前の抗日精神で乗り越えようとするところがまさに韓国人発想。
それはそれで韓国政府にがんばってもらうとして、「わずか12隻の船で国を守った」戦いというのは何だろう?
これは1597年の鳴梁海戦(めいりょうかいせん)のことだと思う。
韓国側では少ない戦力で日本軍を打ち破ったことになっているのだけど、実際には最大規模の戦いで、鳴梁海峡の制海権を日本軍にうばわれ、朝鮮半島へ進軍する上陸ポイントを確保された。
さらに言えば、盛り過ぎ。
全く学術的な方面を無視して、死傷者を250倍に誇張した戦果と思われる創作的な主張が行われている。(中略)上記のような現代の韓国が宣伝する際に挙げる数字に無理があることは明白になる。
抗日精神や護国精神は史実に忠実にお願いします。
朝鮮水軍の主力艦
鳴梁海戦の翌年、和議が成立して日本軍が撤退をはじめると、明と朝鮮軍が後ろから襲ってきた。
「露梁海戦(ろりょうかいせん)」のはじまりだ。
約束を違えて攻撃を加えようとした明・朝鮮水軍と、撤退する船団を援護するために海路出撃した島津軍を中心とした日本軍との間に露梁津で起こった海戦である。
これも韓国側では日本軍に大勝したとされているけど、日本側の文献では「成功した作戦」と記されている。
結局は解釈。
ものごとを自分の望み通りに見ると、真実は分からなくなる。
でも李舜臣は日本軍の返り討ちにあって、この戦いで命を落とす。
約束を破って攻撃してきたことから、日本のネットでは李舜臣に対して「騙し討ちの将軍」のイメージがつきまとう。
「ニコニコ大百科」にはこう書いてある。
講和がまとまったため日本も宗主国側も両方が撤退しているのに、これを拒絶して無理に追いかける。
「何だっていい!日本にとどめを刺すチャンスだ!」 → 結果、追撃中に戦死する。
でも日本と戦って死んだことで、韓国では永遠のヒーローとなった。
死後に贈られた名前は「忠武公」。
これはソウル地下鉄の駅名になっている。
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