いわゆる徴用工問題は、日韓で話し合いを重ねて、1965年の請求権協定で「完全かつ最終的な解決」を確認した。
もちろんタダで解決したわけではない。
日本は韓国にばく大な経済支援金をわたしている。
韓国は、この日本からの経済協力金を原資として、国内のダムや高速道路を整備し、「漢江の奇跡」を成し遂げた。
奇跡のような経済発展をとげて、先進国と呼んでもおかしくないほど発展した韓国はきょねん10月、54年前の請求権協定をひっくり返して最高裁判所が日本企業に賠償を命じた。
でも日本はすでにお金をわたしているから、”二重取り”は認められない。
それにこれは、「完全かつ最終的な解決を確認した」と言った自分にウソをついたことにもなる。
日韓の信頼関係が崩壊した結果、戦後最悪といわれるいまの関係がある。
国家間の約束を一方的に破る韓国に対して、日本は”経済制裁”をちらつかせる。
いまはまだ何もしていないけど、原告側が日本企業の財産を現金化したら、日本はためらわず韓国に制裁をするはずだ。
してもらわないと困る。
これに危機感を持ったのは韓国はしきりに関係改善を訴えるようになる。
でも、請求権協定の内容を守って失った信頼を回復しようとはしない。約束を破ったままでの関係改善という、果てしなく都合のいいことを言う。この態度はいまも変わっていない。
これ以上関係を悪化させないために韓国側は、政治的に対立していても経済交流や民間交流は絶やしてはいけないと訴えた。
むしろこういう困難なときこそ、政治以外での結びつきが大事だと。
たとえばことし6月に行われた「第7回日韓ジャーナリスト・シンポジウム」では、チョ・ヤンヒョン国立外交院日本研究センター責任教授がこう話している。
「韓日関係が弛緩したというが、両国間に円滑な意思疎通がなければ双方にマイナスの関係という点は変わらない」
「安定した地域秩序の構築という多者的な観点から両国関係を眺め、長期的に市民社会レベルの人的・文化的交流を支援すべき」
この言葉は中央日報の記事(2019年06月11日)にある。
「韓日関係は体制の危機、G20で両国首脳会うべき」
「対立する歴史・政治問題とそれ以外とは分けて考えるべき」ということは政府も言っていた。
中央日報の記事(2018年10月31日)で、韓国の外交部(外務省)の当局者はこう話している。
「歴史懸案というのは一日で解決されるものではない。この部分はこのまま切り離し、未来志向の関係に進んでいく」として従来のツートラック基調を再確認した。
韓国政府「歴史・未来ツートラック」慎重…日本がICJ提訴すれば外交的負担に
歴史問題とそれ以外は切り離して、未来志向の関係に進む。
両国間に円滑な意思疎通がなければ双方にマイナスだ。
長期的に市民社会レベルの人的・文化的交流を支援すべき。
こう呼びかけていた韓国は、日本が輸出管理を厳格化すると態度を一変させた。
これは日本にとっては必要な措置だけど、半導体製造に不可欠な素材が今までどおり入って来なくなるから、韓国経済には大打撃をあたえてしまう。
憎しみを込めて韓国ではこれを徴用工訴訟に対する「報復措置」と呼ぶ。
そんなことが背景にあって、文大統領と同じ与党「共に民主党」の呉巨敦(オ・ゴドン)釜山市長は日本との交流活動を中断すると発表した。
その理由はこうだ。
産経新聞の記事(7/28)
釜山市は「日本の不当な経済報復措置を知らしめ、文在寅(ムン・ジェイン)政権と共同で対応するため」と説明している。
釜山市が日本との行政交流中断
これはどう見ても政治的な目的だ。
市長の判断によって、長崎市でのテコンドー公演や朝鮮通信使の復元木造船の対馬寄港も中止になってしまった。
韓国からの一方的な交流中止は相次いでいて、全国各地に波紋を広げている。
「歴史問題とそれ以外は切り離して、未来志向の関係に進もう。韓日は交流を絶やしてはいけない」と要求していて、日本が輸出管理を強化すると、怒って自分から次々と絶やしてしまう。
また自分にウソをついた。
だから韓国のいうツートラックは信用できない。
日韓の事情が変わってまたこんなことを言い出しても、白けるだけだ。
「韓両国間に円滑な意思疎通がなければ双方にマイナス」
「安定した地域秩序の構築という多者的な観点から両国関係を眺め、長期的に市民社会レベルの人的・文化的交流を支援すべき」
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