【多文化共生】日本に住むイスラム教徒が不安なこと←解決策

 

イスラーム教徒のインドネシア人やマレーシア人に、「日本に住んでいて、困ることや不安なことには何がある?」と聞くと、「食べ物です」と答える人が多い。

イスラーム教の教えに合った食べ物は「ハラル(アラビア語で許可の意味)」と呼ばれていて、ハラルフードなら問題なく食べることができる。
でも豚肉やアルコールはNGで、そうしたものは「ハラーム(禁止)」といわれている。

ただ同じイスラーム教徒でも、けっこう個人差があるのだ。
豚肉以外の肉ならOKという人もいれば、鶏肉や牛肉でも、イスラーム教の教えにそった手順で屠殺(とさつ)されたものでなければ食べられないという人もいる。

くわしいことはここをクリック。

豚と同様に不浄(重度ナジス)とされている犬、獲物を捕獲するための牙や爪がある虎・猫などの動物、きつつき、ロバ、ラバを食べることが禁止されているが、それ以外の肉であっても屠殺が正規の手順に従ったものでなければ食べられない。

ハラール

 

アルコールについていえばビールやお酒はもちろんダメ。
それだけではなくて、アルコール成分をふくんだウェットティッシュにも触れられないというイスラーム教徒もいた。
でもここまで厳しい人は本当にまれで、この話を別のイスラーム教徒にしたら「え?ホントですか?そんな人もいるんですね」と驚いていた。

日本のように宗教の影響が薄い国にいると、スーパーやコンビニで何を食べていいのか分からないというイスラーム教徒は多い。
だから、「イスラーム教徒でも安心して食べられますよ」というハラルマークが必要になる。

 

たしかマレーシアのポテトチップス

 

これは浜松市のスーパーにあったもの

 

でも時代は21世紀だ。
ハラルマークがなくても、イスラーム教徒が口にできるかどうか分かるアプリが登場した。
それがいつ登場したかは知らないけど、最近それをインドネシア人のイスラーム教徒から教えてもらった。
「ハラルグルメジャパン」というアプリをインストールして商品の写真を撮れば、ハラルとハラーム(禁止)を色で自動的に判断してくれる。

くわしいことはこの動画を見てほしい。

 

ボクはイスラーム教徒ではないけど、ためしにやってみた。

 

アイスのスーパーカップが「ハラーム」と判断された。
でもこれって、豚肉やアルコールの成分が使われているのか?

疑問に思ってホームページを見ると、原材料には「乳製品、植物油脂、砂糖、水あめ、卵黄、ぶどう糖果糖液糖、食塩/香料、アナトー色素、(一部に卵・乳成分を含む)」とあってイスラーム教徒が食べても問題なさそうだ。

 

まあいいや。
気を取り直して次はおにぎり。

これは全部OKになっている。
でもそんなワケがない。
下の赤いおにぎりには「ポーク」と書いてあるから100%ダメなやつ。
どうやら、信仰心がないとこのアプリを使いこなせないらしい。

 

この「ハラルグルメジャパン」はNTTドコモが開発した食品判定システムを利用している。
こういう試みはすごくいい。
いま日本に観光や仕事でやって来るイスラーム教徒は年々増加している。
多文化共生の基本は「郷に入っては郷に従え」で、外国人がその国の価値観や文化を尊重することがまずは大事だ。
でも、イスラーム教徒に豚肉を食べろと言うのは無理。
かといって、日本のスーパーやコンビニで売っているモノにハラルマークを付けるのも無理。

だからこのように日本の社会もイスラーム教徒も変わる必要がなくて、両者の間に入って住みやすくなるような道具を開発するのは多文化共生社会にとっては理想的だ。

 

 

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2 件のコメント

  • 理想的ではあっても解決策としての完成度は不十分であり、解決には程遠いですね。やらないよりはマシという程度。不満に対する「ガス抜き」がせいぜいかな?
    ハラル認証制度だって実態は判定精度や拒否項目の程度がバラバラ、イスラム教内で水準は統一できていません。
    日本の食品成分表示制度は、世界の先進国の中でも詳しく正確な方だと思います。自分が所属するイスラム教宗派の教えに適合しているかどうかは、その表示制度と日本語を勉強して、イスラム教徒自身が自分の頭で判断するべきです。それが面倒だと言うなら日本に住まなければよい。

  • このアプリのできについては、日本にいるイスラーム教徒に聞いてみてください。
    これを重宝している人は多いと思いますよ。

    >ハラル認証制度だって実態は判定精度や拒否項目の程度がバラバラ、イスラム教内で水準は統一できていません。
    これは初耳でした。この情報はどこで確認できるでしょうか?

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。