いま日本と韓国が話し合ったら?接点ゼロで意味がなかった。

 

きのう8月20日、日本の衆議院会館で「近い隣国、共存共栄する韓日両国」というセミナーが行われた。
「へ~。で?」と鼻をはじらずに読んでほしい。

自民党の国会議員約20人と韓国の元国会議員約20人が公開で、上のテーマについて意見を交換した。
その結果は、接点がまるでなくて、韓国紙の中央日報を見ると、韓国側はかなりイラ立っているようだ。(2019年08月21日)

「韓日関係の明るい未来を訴えた韓国の元議員、その前で刀のように安倍晋三首相と自民党の立場を代弁した日本の現役議員」に要約される。

「韓日関係の未来」強調した韓国の元議員、オウムのように安倍首相の主張繰り返した日本の議員

 

では、日韓双方の意見を見てみよう。
まずは韓日関係の明るい未来を訴えた韓国側から。

「憤怒と憎しみなど互いに心に抱いている毒素を除去し許さなければならない。韓国は過去史を許し、日本は嫌韓感情をなくさなければならない」
「両国首脳がいつどこであれ速やかに会わなければならない。相互譲歩で問題を解かなければならない」
「韓日関係が悪化すればどの国が利益を得るのか考えなければならない。両国の指導層はともに立派な勝者になる道を模索しなければならない」
「大きく見て大きな外交で道を開こう」

日本と韓国は50年以上まえに国交を正常化して、それ以降も日本は何度も謝罪してきた。だから、「韓国は過去史を許し」というのは韓国の国内問題でしかないし、日本はもうそんなことを求めていない。
「日本は嫌韓感情をなくさなければならない」というのなら、韓国の反日感情をなくす必要がある。
反日が原因で、嫌韓は結果なのだから。

このとき韓国の出席者が日本側に言いたかったことは、「韓国への輸出管理強化をやめてくれ」に尽きる。

「相互譲歩で問題を解かなければならない」
「立派な勝者になる道を模索しなければならない」
「大きく見て大きな外交で道を開こう」

要するに、「韓国を元のホワイト国に戻せ」ということだ。
これに対して、「オウムのように」主張をくり返したという自民党議員の言葉を見てみよう。

「韓国の(反日)世論を考慮するとこのような時期の訪日には相当なリスクがあっただろうが、その勇気に敬意を表したい」
「1965年の請求権協定で徴用問題は完全に解決されたと考えており、慰安婦合意も2015年の合意で最終的かつ不可逆的な解決が確認された」
「韓国の大法院(最高裁)判決は緊密な両国関係構築のために先人が注いだ努力の結晶である法的な関係(請求権協定)をひっくり返した」
「請求権協定は立法府だけでなく司法府と国全体を拘束するもの」
「(輸出管理強化措置対ついて)徴用問題に対する対抗措置や経済報復ではなく、そのようなプロパガンダに動揺してはならない」

日本が韓国側に訴えたことは「1965年の請求権協定を守ってほしい」「2015年の慰安婦合意を守ってほしい」の2点だけ。
「プロパガンダに動揺してはならない」というのはあまり重要ではない。

安倍首相も同じ主張をしているから、「オウムのように繰り返した」という韓国の指摘は正しい。
でも、なんでそうなったかというと、韓国がいまだに日本との約束や国際法を守らないから。
原因に対する結果だ。

「韓日関係の未来に向け決断してほしいという韓国元議員の叫びに、日本の議員は教科書に書かれているような判で押した返事で一貫した格好だ。」という中央日報の記述を読むと、まるで韓国が正しいことをしていて日本が悪者のように見えてしまう。
自民党議員が「『韓国の約束違反』を強調した」と中央日報は非難めいて書いているけど、それは日本国民の声だ。
韓日関係の明るい未来を闇に変えているのがそれだから。

 

そもそも約束を守らない相手と話し合っても意味はない。
2年、3年後に約束をひっくり返すかもしれない相手と話し合いを重ねて合意して、それが何になるのか。

自分が言ったことは守る、という前提なしで韓国が日本に対話や譲歩を求めてくるから、物事は1ミリも前に進まない。
韓日関係の明るい未来を本気で訴えるなら、ほんの少しでも韓国側が具体的に動くしかない。でもそれをしないで、「日本はただちに規制を撤廃せよ」と同じことをくり返すから、日韓の話し合いはかみ合わずないでオウム返しで終わってしまう。
「何度も同じこと言わせんなよ」と心に思いつつ、「その勇気に敬意を表したい」と称賛した日本の議員は大人だと思う。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。