お盆に息子が実家に帰ってきて、結婚を約束した女性を連れてきたとしたら、親父は泣き出すかもしれない。
では、息子がタトゥーを入れたのに気づいたとしたら?
ことしのお盆休みに福岡でそんなことがあった。
帰省した40代の息子の両腕にタトゥーがあるのを、67歳のオヤジが発見して問い詰める。
激怒した父親は息子の顔や腹を何度も殴って逮捕されてしまった。
くわしいことは九州朝日放送のニュースをどうぞ。(2019/8/13)
帰省した息子のタトゥーに怒り 父が暴行
このニュースにネットの反応は?
・これはオヤジは無罪だろ
・流石だな九州男児ここにありって感じだわ
・父親の鑑だな
・「金八先生」のSPでそんな話があったな
・入れ墨ごときで怒るな。
・安室ちゃん→若い時にタトゥーをいれる→40代でタトゥー消す
こいつ→40代でタトゥーいれる→親父にボコられて通報
・産湯がとんこつスープで日々の水分補給にとんこつスープを欠かさない福岡県民らしい強さ
しょせんは他人ごとだった。
タトゥーと入れ墨(刺青)の違いは皮膚に入れる針の深さだけらしい。
タトゥーでは針を浅く入れて掘るけど、入れ墨の場合は深く針を入れる。
でも本質的にはどっちも同じ。
福岡のオヤジさんが息子に激怒したのも、タトゥーや入れ墨には「犯罪者」や「ヤクザ」のネガティブなイメージがあったからだろう。
酔っていたかもしれないけど。
「入れ墨のある人=犯罪者」というイメージは日本に古くからある。
起源は古代中国で、2000年以上まえの中国には「五刑」という刑罰があって、犯した罪によってこんな罰を受けたのだ。
墨(いれずみ)
劓(はなそぎ)
剕(ひ・あしきり)
宮(きゅう・去勢)
大辟(死刑)
体の一部を切り取られたり殺されたりするから、「墨」はこのなかでは一番軽い刑だった。
この時代の中国であれば、「入れ墨=犯罪者」と考えて間違いない。
やがて時代が変わって唐になると入れ墨がブームとなる。
この時代、かつては犯罪者の証であった刺青が流行し、無頼の多くが刺青を行っていた。(中略)背中に毘沙門天や、全身くまなく、蛇などを彫る技術も存在し、刺青を彫ることを商売にしているものもいた。
中国人らしく、腕に漢詩を彫ることが多かった。
現代の中国人に話を聞いたら、いまでも入れ墨には「犯罪者」というイメージはあるけど、水滸伝の九紋龍史進のように「豪傑」というポジティブなイメージもあるとか。
日本に刑罰として「入墨刑」が導入されたのは江戸時代のとき。
江戸初期より幕府,ならびに各藩において,適宜に実施されていた。しかし,その法制化は,やや遅れて享保5 (1720) 年のことであった。
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
戦国時代が終了して平和になったこの時代、人口が増加して犯罪者も増えてきた。
犯罪抑止の目的でも、一目で犯罪者とわかるように、上腕に線を入れるなどの入れ墨を刑罰としてするようになる。
「デザイン」はそれだけではなく、こんな恥ずかしくて恐ろしいものもあった。
施される入れ墨の模様は地域によって異なり、額に入れ墨をして、段階的に「一」「ナ」「大」「犬」という字を入れ、五度目は死罪になるという地方もあった。
もちろん、一度入れられた入れ墨を勝手に消すのは違法。
捕まって別の入れ墨を入れられるという、ネットの「消すと増える」の現象が起きていたと想像する。
でも犯罪者だけが入れ墨をしていたわけではなくて、火消しや大工なども「男気」を示すために入れ墨をしていた。
これは江戸の文化で、刑罰としての入れ墨とはちがって「彫り物」と呼ばれていた。
感覚としては、現代の欧米人のタトゥーに近いだろう。
入れ墨状の文様を持った土偶
縄文時代の人間は日常的に入れ墨をしていたという記録がある。
この入墨刑が廃止されたのは明治時代で、明治政府は入れ墨を違法として庶民に禁止する。
でも太平洋戦争後、GHQが入れ墨を合法として、日本社会にみごと“復活”をはたす。
戦後の映画で入れ墨するヤクザが多く登場したことから、「入れ墨(タトゥー)=ヤクザ」というイメージが日本で定着した。
お盆で帰省した息子を殴って捕まった親父の背景には、こんな長い歴史があったのだ。
世界(とくに欧米)では、タトゥーはファッションと見られることが多い。
きょねん行われたW杯に関連して、国際サッカー連盟(FIFA)が公式ツイッター・アカウントで、タトゥーのデザインから選手を当てるクイズを出していた。
Can you identify this player from his tattoo? 👀🖋️ pic.twitter.com/wF7T4sAk4R
— FIFA World Cup (@FIFAWorldCup) May 16, 2018
こういう価値観の国だったら、両腕のタトゥーを見て父親が激怒して、息子を殴って捕まるという悲劇は起きないはず。
最後に、ミャンマーの文化を紹介しよう。
といってもこれはすべてのミャンマー人ではなくて、少数民族のチン族の女性に行われていたもの。
入れ墨で顔にクモの巣をほっている。
*クモの巣以外のデザインもあるらしい。
17世紀ごろからチン族ではじまった風習で、美しい顔だと他の民族の男性にさらわれたり争いの原因になったりするから、こうやってあえて醜く見せているという。
世界にはこんなふうに入れ墨をするところもある。
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個性の1つとして考えて欲しい!
タトゥーもイレズミも皮膚に入れる深さは同じですよ。下手な彫り師だと必要以上に深く入れてしまうだけ。だから下手くそ彫り師に彫られると強烈に痛い。上手な人に彫られると痛みも弱い。
個人的には表現のひとつと思いますよ。
大きさと場所にもよりますけど。
コメントありがとうございます。
>タトゥーもイレズミも皮膚に入れる深さは同じですよ。
「深さによって呼び方が違う」ということを複数のサイトで確認したのでこう書いたのですが、根拠が不明だったので、「らしい」とあいまいな語尾をつけました。
タトゥーと入れ墨の違いについて、信頼できる情報をご存知でしたらぜひ教えてください。
若いうちなら肌もきれいでタトゥーも見栄えがいいけどお年寄り人のタトゥーはどう見てもカッコよく見えない。 まあ年取った時に本人がカッコイイと思えてるならいいけどね。
レーザーで消せばいいじゃんと思うかもしれないがケロイドとして残ったり治療中化膿して大変な目にあうことも覚悟しないとね。
ペイントやシールで十分だと思うんですけどね~。 今は簡単に落ちない物もあると聞きます。
アメリカ人に聞いたら、アメリカでも都市をとったあとに後悔する人が多いらしいです。
でも、簡単に取れませんから大変ですよ。
ファッションではなくて、聖書の言葉や家族の名前を刻むという人もいるそうです。龍やハローキティのタトゥーとそういう人は分けて考えたほうがいいですね。
いやっ
そもそも普通の人なら身体に針刺してまでやらんぞ
日常生活に支障をきたし、非ぬ誤解を周囲に与え、MRI等でもデメリットが有り、場合によっては自身の体に悪影響を与えるリスクを考えた場合、民族・宗教・現在の価値観を総合的に考えてもメリットが無い。