【海外から見た日本】旅行先として何が高・低評価だったか?

 

きょねん2018年、日本を訪れた外国人旅行者の数は史上初めて3000万人を突破した。
消費額は4兆5,064億円でこれも過去最高だ。
旅行者の割合を国籍・地域別で見ると、中国・大韓民国・台湾・香港の4つで70%以上と東アジアに集中している。
東南アジアと欧米へのアピールが弱いか。
ことし2019年の上半期(1~6月)を見ると、日韓関係悪化の影響で韓国人の数は減ったものの、訪日外国人の数は1663万人(前年の4.6%増)と過去最高を記録した。
全体的にみれば順風満帆。

では海外からみて、日本は観光地としてどれぐらいの魅力があるのか?
参考までに、世界経済フォーラム(WEF)が9月4日に発表した「2019年版 旅行・観光競争力ランキング」を紹介しよう。

2011年は22位
2013年は14位
2015年9位
2017年4位
2019年4位

日本はだんだんと順位を上げている。
2015年からのトップ3は1位スペイン、2位フランス、3位ドイツで変わらない。
このへんは世界旅行界の「ラスボス」で牙城を崩すのはむずかしいけど、ことし2019年のデータを見ると1~4位までのポイントは5.4とすべて同じ。
つまり日本は、小数点2位以下というわずかな差で4位になったのだ。
四天王のひとりというだけでも立派なものだ。

では次に、日本のどんなところが海外から高評価/低評価をうけたのか、くわしく見ていこう。

まず高評価でいえば、単純に世界遺産の数が多い。

文化遺産数(Number of World Heritage cultural sites)で日本は10位/126、口承・無形遺産数では3位/105という結果だった。

また、もはや日本の定義のひとつになっている「治安の良さ」も抜群で、殺人率の低さは1位/140、警察の信頼度の高さは9位/140という高水準。

それに交通の便もいい。
道路の品質は6位/140で、国内陸上交通(列車・地下鉄・バス・タクシー)の効率性では1位/140だ。

あるインド人は日本の高速道路を走って、「先進国というのはたくさんの高級車が走っている国ではなくて、安全で快適な道を整備している国のことだ。日本が先進国である理由がよくわかる」と絶賛した。
そのことはこの記事をどうぞ。

韓国人とインド人が日本を「世界の先進国」と考える理由とは?

 

日本は健康と衛生の面での評価も高かった。
「衛生的な環境を得られる総人口中の割合」は1位/140で、「マラリア感染率の低さ」も1位/140という結果。
でもこれが災いして、日本の病院ではマラリアへの対応ができるところがとても少ない。
海外で感染したマラリアが帰国後に発症して、手遅れになったケースもある。

 

これらとは反対に、日本が低評価をうけたところを見ていこう。

まずはビザ。
査証の免除度が120位/139と最低レベルだ。
でもこれは簡単には入国を認めないということだから、プラス・マイナスの見方ができる。

それと外国とくらべて価格競争力が低い。
つまり日本は物価が高いのだ。

「国際航空サービスにおける税コストの軽さ」は94位/140。日本は出国税を取っているし、こういう出費は多いと思う。
それに、燃料価格水準の低さも77位/140と平均以下だ。
燃料代はバスや飛行機のチケット代に反映される。
ドイツ人やフランス人は、「母国と比べて新幹線の運賃が高いとは思わない」と言っていたけど、タイ人やインド人は「クレイジー」と言う。
知り合いのタイ人の場合、首都バンコクから実家に帰るフライトは3000円ぐらいで、キャンペーンだと1000円以下もある。
こういう人にとって、浜松から京都まで片道約8000円という料金は異次元のプライス。
でも海外では、そう思う人のほうが絶対に多い。

 

本日のまとめ

日本は旅行先として、海外での人気が高まっている。
訪日外国人の数は過去最高を記録したし、ランキングの順位も上がっている。
観光地としての魅力を伸ばしている。
世界遺産の数や治安のよさ、移動の便利さや医療の面での評価がとても高い。
でも入国のハードルは厳しいし、全体的に見て物価も高い。
これが海外からの指摘だけど、日本人から見ても言われて納得の結果だろう。

 

 

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4 件のコメント

  • 観光先として日本の評価順位が上がってきたのは、「クール・ジャパン」を初め観光立国を目指した政策の効果も大きいと思います。(これも小泉進次郎婦人の功績か?)
    ヨーロッパのトップ3国に対して思うことは、料理と酒(ワイン、ビール)の旨さですかね。ただし個人的所感では、ドイツの食事だけはその例外かもしれません。
    それと、「英語が通じるかどうか」という点でも、この3国(いずれも英語ネイティブではないことに注意)に日本は一歩及びません。でも、一昔前だったら、フランス人なんか英語で話しかけても無視するのが当然だったのになぁ。EUが発展したことの影響もあるのでしょう、時代は変わりました。
    それにしても英国は今頃いったい何を考えているのやら。

  • 海外から変な人が流入しないようにこのまま厳しいままでいて欲しいです。
    難民を多く受け入れている国はやはり治安がどうしても悪化していますしテロも多くて怖いですもん。
    韓国からの観光客が減って観光収入が減ってるとワイドショーでやってますが韓国に近い対馬・九州では困っている所は確実にあるとは思いますが日本全体だとあんまり変わらないんですね。 ちょっとホッとしたりして。
    日本への観光人気が続くといいな。

  • クール・ジャパンの影響はきっとあります。
    アニメや漫画で日本を知ったという外国人は多いですから。
    ドイツやフランスは「EU」とまとめてもいいくらいです。
    日本は善戦していますよ。英語はまあ、相変わらずですけど。

  • スウェーデン人も「移民を受け入れることはいいけど、バックグラウンドチェックは大事だ」とよく言っていました。
    どんな人間かしっかり確認して、日本に入れても大丈夫かどうか判断する必要があります。ただ人道的という理由で人を入れると、待っているのは混乱ですから。
    韓国人観光客に依存している地域は困っていますけど、日本全体で見れば好調です。
    読売新聞は観光客増加による「観光公害」を取り上げていましたし。
    来年はオリンピックもありますし、しばらくは人気が続くと思いますよ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。