ドイツ人、日本で寿司を食す。その感想は「バッドコピー」

 

春は分かれの季節。
というのは3月に学校を卒業する日本での話で、9月が卒業シーズンの国では春は春でしかない。
でも日本の大学では9月に卒業する外国人は多く、知り合いのドイツ人留学生ももうすぐ帰国してしまう。

ということで、一緒にご飯を食べに行くことになった。
最後の晩さんは何がいいか聞いたら、日本食という。
そうだろうな、と思って何を食べたいか聞いたら、「餃子」と言う。
それ日本食か?という気はしたけど、中国の餃子はふつう水餃子だから、焼き餃子は日本料理といってもいいだろう。

 

中国餃子

中国では餃子は主食として食べられることが一般的であり、日本のように(白飯の)「おかず」としては食べない。

中国の餃子

 

それに浜松は餃子の聖地だから、最後のメニューにふさわしい。
ということでタイ人も呼んで、3人で餃子を食いに行ってきた。
そのときに日本料理についていろいろ話を聞いたから、これからそのことを書いていこうと思う。
でもタイ人の話はまた別の機会にして、今回はドイツ人が日本で食べた寿司の感想について。

 

 

ドイツ人とタイ人に母国で最も有名な日本料理を聞いたら、2人とも「shusi」をあげる。
やっぱり寿司は強かった。
そのドイツ人が住んでいる街には「ozaki」という寿司屋があって、彼はたまにそこに行っていた。
寿司屋といっても、好きな物を好きなだけ食べることができるバイキング形式の店だ。
料金は4000円ぐらいで、ドイツのレストランでこれは良心的。
彼が住んでいるドイツ南部では寿司屋が少ないから、この店はわりと有名で遠くの人も足を運ぶらしい。
「ozaki」のホームページを見せてもらったら、握り寿司より巻き寿司のほうが多い。
そういえば前にポーランド人が、「寿司と聞いたら、ポーランドでは握り寿司より巻き寿司をイメージする」と言っていた。

日本に比べて、ドイツでは魚の種類が少ないからこうなるらしい。
だから日本に来て本物の寿司を食べに行ったら(だが回転ずし)、サバ、タコ、イカ、アナゴ、貝類など見たことのない寿司がたくさんあって驚いた。
それにサーモンひとつをとっても、生もあれば「あぶり」もある。
とにかく日本の寿司は種類が多い。多すぎる。
でも、日本人がたくさんいるデュッセルドルフなら日本レベルの寿司屋があるかもしれない、とのこと。

*デュッセルドルフは、ロンドン、パリに次いでヨーロッパでは3番目に日本人が多く住んでいる都市。
市内のインマーマン通りは「日本人通り」とも言われている。

1960年代以来、デュッセルドルフと日本の間には強い関係があり「ラインの日本」というニックネームがある。(中略)飲食店の他に書店や病院、薬局、不動産屋、旅行会社、クリーニング屋など日本語でも表記された店舗が並ぶ。

デュッセルドルフ・経済

ここにもなかったら、ヨーロッパで本格的な寿司屋を探すことはツチノコなみにむずかしい。

 

日本語のあるデュッセルドルフのスーパー

 

魚の種類が少ないのはわかるとして、「ozaki」のメニューを見て不思議に思ったのが餃子やチャーハンといった中国料理があったこと。

これを書いているいま、ネットで見たら日本でも餃子のある寿司屋はある。
でも、ないことはないという程度で、本当に例外的。
なかには寿司飯の上に餃子が乗っている、道を踏み外した寿司もあった。

「ozaki」の場合、寿司屋といっても日本料理にこだわることはなく、寿司を中心に客が好きそうな食べ物を集めているらしい。
こういう傾向は海外でよくあると思う。
アメリカの日本料理店で、中国料理・韓国料理・ベトナム料理のメニューのある外道な店があった。
日本料理の店といいつつ、実は「日本食が多めのアジア料理の店」というのはタイでも見た。

とにかく「ozaki」おかげで、彼の頭の中で餃子は日本料理になっている。

彼が日本に来て驚いたことのひとつに、「本場の寿司は想像以上にうまかった!」ということがある。
いまから考えたら、「ドイツで食べていた寿司は、日本の寿司のバッドコピー(劣化版)とわかった」と言う。
こういうことをふくめて、彼は帰国したくないらしい。

 

回転ずし店に行ったポーランド人がこの写真をSNSにあげていた。
新幹線で寿司を運ぶという日本の夢と奇跡を実現させている。
日本では子ども用のサービスだけど、外国人なら大人が興奮する。

 

おまけ

デュッセルドルフで開かれた「日本祭り(ジャパン・デー)」

 

 

外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

外国人から見た日本と日本人 15の言葉 「目次」

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シンガポール 「目次」

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ヨーロッパ 目次 ③

ヨーロッパ 目次 ④

 

4 件のコメント

  • あはは、タイトルだけ見た時には、「日本の寿司が、いったいどこの料理の劣化コピーなんだ?」と思いましたよ。釣りにしてもちょっとずるいな。
    そりゃあいくらドイツだって、新鮮なネタ、美味しい米、良質の寿司酢がなければ、旨い寿司を作るのは無理でしょう。でも聞いた限りでは、最近ブラジルで流行っているらしい、もっとファンキーな「SUSHI」よりはずいぶんとマシなような気がします。旨いとか不味いとかを超越して、日本人の想像を絶する食い物だそうですよ。
    自分の経験だともう15年以上前のことになりますが、あのシンガポールだって、まともな寿司屋のネタは全部東京から空輸でした(オーナーが日本人、寿司職人はほとんど韓国人)。現地には鮮魚の市場がないので、きっと今でも同じなのだろうと思います。

  • アメリカの日本食レストランの多くは韓国か中国人がオーナーらしいです。
    その他の国もほぼそんな感じなんじゃないでしょうか。
    回転ずしも日本はネタが良くないとダメですからね~。
    おいしいお寿司食べてもらえて良かったです。 餃子は彼らもお気に入りの食べ物なんですか?
    餃子といえばビールの人もいるでしょう。 ビールと言えばドイツ!
    母国ドイツでもおいしいビールに合う餃子が食べられるといいですね。
    新幹線は大人でもちゃんと来ましたよ。 お店によって違うのかな?
    目の前でピタッ!と停まるのが嬉しいんです(笑)

  • 「バッドコピー」がキーワードで文字数なんかを考えたらこんなタイトルになりました。
    まあ、たしかに釣り要素はありますね。
    ブラジルでの寿司は日系人の影響でしょうか。現地でアレンジした寿司風料理は世界中にあります。
    タイでも日本から寿司ネタや米を空輸して、現地で日本人か日本人の指導を受けたタイ人が握っている寿司は日本と変わらないと聞きました。
    シンガポールでは15年ほど前からそうだったんですね。

  • >日本食レストランの多くは韓国か中国人がオーナーらしいです。
    他の国もそんな感じだと思います。
    日本人の移民は少ないですから。
    餃子のことはまた記事で書きますけど、今回のドイツ人とタイ人は基本的に餃子が好きでした。店に左右されるそうですけど。
    寿司新幹線は大人が注文してもOKですよ。
    もともとこれは子どもをよろこばせるためと聞きました。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。