愛知のセントレア空港まで、バスに乗って向かっているところ。
これが、ヒマでヒマでヒマで、退屈で退屈で退屈な時間をどうしようか、という件です。やることはないし、ぼ~っといろんなことが頭に浮かんできたという話です。
台湾の不思議体験と「使える英語」のことは、前回までに書いてきた。
ということで、今回は別のことを書いていきたい。
英語のネイティブ・スピーカーが驚いた「和製英語」のこと。
日本の高速道路は、高い防音壁があってあんまり景色が見られない。
まあ、高速道路のすべてに壁があるわけじゃないけどね。
壁の他に見えるものといえば、「~まであと~分」といった案内表示や「SPEED DOWN(速度を落とせ)」といった運転中の注意くらいなもの。
ここで、「うん?」となったあなた、さすがです。
そう感じた方は、ボクより英語力があります。
ボクは、この英語がおかしいとはまったく気がつかなかった。
友人のイギリス人は、すぐに気づいたけれど。
これまた、アメリカ人とイギリス人と一緒に国内をしたときの話。
高速道路を走っていてイギリス人が突然、「何あれ?どういう意味?」と驚きの声をあげる。
それがさっき出てきた「SPEED DOWN」の標識。
でもそれは「スピードを落とせ」ってことですが、それが何か?
と思ったけれど、実はこれ英語になってない。
英語だと「speed」は「加速する」の意味で、「down」は「落とす」の意味になる。
だから、その二つをくっつけると、スピードを上げるのか落とすのか分からなくなるらしい。
ちなみに、「スピードを落とせ」を英語で言うと、アメリカ人は「slow downね」と言い、「イギリスではkill your speedかな」と言っていた。
「スピードアップ(速度を上げろ)」か「スロウダウン(速度を落とせ)」なら意味は通じる。
で、「スピードダウン」だと、「何あれ?どういう意味?」ということになる。
でも、こうなると、あの「SPEED DOWN」の文字がよく分からなくなってくる。
アメリカ人やイギリス人が見て意味が分からないんだから、外国人向けの言葉ではなくて、日本人向けの言葉なんだろう。
ホントか?
外国人向けの言葉だったら、これじゃマズイ。
このイギリス人のように、かえって混乱させるだけだ。
日本人向けの言葉なら、英語じゃなくて日本語で「減速」とか書いておけばいい気がするんだけどね。何で、英語なのか?しかも、すごい和製英語!
まあ、大した問題じゃないけどさ。
あと、このとき話題になった和製英語が、「パワースポット」。
「日本だと、パワースポットが人気がある。特に若い女性。伊勢神宮は、日本でも有数のパワースポットなんだよ」
みたいなことを、ボクが言う。
で、「イギリスにも、有名なパワースポットってある?」
と聞いたとき、またもやイギリス人が「何それ?どういう意味?」となってしまった。
「『パワースポット』って言葉、初めて聞いた。何それ?」と逆に聞かれて、ボクが困った。
このとき知ったのだけど、これもネイティブには通じない「和製英語」だった。
「パワースポットっていうのはねえ、」と説明する前に、二人に聞いてみた。
「パワースポットって言葉を聞いて、どう思う?」
アメリカ人「たくさんの人が筋トレをしているところ?」
イギリス人「WIFIがたくさん飛んでいるところ?」
日本のパワースポットとは、まったく違いますね。
筋トレにWIFIとは!
ウィキペディアによると、パワースポットはこんなところになる。
パワースポット(power spot)とは、地球に点在する特別な“場”のこと。エネルギースポット、気場とも言う。
「日本人は、神社やお寺とか、自然にあるパワースポットに行って、エネルギーをもらったり運気を上げたりするすることが好きなんだよ」
とボクが言うと、「ああ、それなら、『スピリチュアル・プレイス』ね」と言う。
それでも、イギリス人にイギリスにあるパワースポットを聞くと、「よく分からなけど、あえていえば、ストーンヘンジかなあ」という言葉が返って来た。
さっきのウィキペディアの「パワースポット」には、こんなことも書いてある。
欧米ではボルテックス、vortex、ヴォルテックス(渦巻き)の噴出する地、という概念が有る。セドナ (アリゾナ州)などが有名である。
こう書いてあるんだけど、セドナが実際にどれだけ有名かは、かなりアヤシイ。
前に、日本人とアメリカ人数人でお酒を飲んでいてとき、その中の日本人がアメリカ人にこう尋ねた。
「セドナは全米のNO1のパワースポットだろ?行ったことある?」
それで、返って来た返事がこんなもの。
「はあ?パワースポットって何?それと、『セドナ』って聞いたことないんだけど」
なんと、アメリカ人がセドナもパワースポットも知らなかった。
そのときいた3人のアメリカ人が全員、「パワースポット」と「セドナ」という言葉を初めて聞いたいう。
「何で、そのセドナがアメリカNO1のパワースポットになっているんだ?」
と、逆に、アメリカ人に質問されるというまさかの展開にその日本人もしどろもどろ。
「オレの親戚がアリゾナ州にいて、何回か行ったことがあるけど、セドナなんて聞いたことがなかったよ。でも、今度アリゾナに行ったら、行ってみるよ。サンキュー」
という感じで落ち着いた。
先ほどのアメリカ人とイギリス人に話を戻す。
パワースポットの後しばらく、彼らが日本で見た「不思議な和製英語」の話をしていた。
「この前、スーパーへ買い物に行ったら、こんなに見つけたの」
と、アメリカ人が見せてくれたのが、これ。
「Excited price」だと、「価格が興奮している」感じで、これだと「興奮した価格」になってしまう。
他にも、彼女たちがあげていた和製英語には、「スキンシップ」「リピーター」などがある。
ただ、スキンシップは、厳密には和製英語ではないらしい。
『日本大百科書』(小学館)によると、スキンシップという言葉は、1953年に開催されたWHOのセミナーで、アメリカ人女性がたまたまつくったことばを平井信義によって日本で紹介されたことがきっかけで、全国的に広まったとされている。よって和製英語ではないが、日本でしか通用しない言葉である
(ウィキペディア)
ちなみに、この言葉を日本から輸入した韓国でも「スキンシップ」は通じるとか。
さらにいえば、「パワースポット」も和製英語とは言えないらしい。
ボクの周りの英語のネイティブスピーカーに聞くと、パワースポットという言葉も意味も分からないし、「それは、和製英語!」というけれど、ネットをみるとアメリカではパワースポットという言葉は使われているらしい。
でも、誰もが使うような一般的な言葉ではない。
英語には英語だけど、使い方がネイティブとはちょっと(かなり)違う英語としては、「ドンマイ」「ドゥ・ユア・ベスト(がんばれ)」「オーライ」「ハイテンション」などがあった。
それにしても、この二人の話を聞いていて感じたのは、「パワースポット」という言葉以前に、アメリカやイギリスでは、パワースポットという「考え方」がないんじゃないか?ということ。
ウィキペディアには、「パワースポットでは自分なりに大地の気を感じることが大切だ」とある。
でも、ほとんどの欧米人には、そんなことを感じる必要性を感じてないんじゃないの?
少なくても、一般的ではない気がする。
二人の話だと、「『大地からエネルギーをもらう』という人も、どこかにいるんじゃないの?会ったことないけど」というくらいの認識だったし。
これも、結局は、日本人と英米人(キリスト教徒)の宗教観の違いから生まれるものだと思う。
日本人とキリスト教徒(イスラム教徒・ユダヤ教徒)の宗教の考えは、まるで違うから。
ということを考えたあたりで、バスはセントレアに無事到着。
そして、到着予定時刻7時15分のバスが完全に停止したとき、車内の時刻表示は「7:15」だった。
こういうときも、「ファンタスティック!」と言えばいいのだろうか。
あ、分からなかった方は、前回の記事を読んでください。
よかったら、こちらもどうぞ。
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