韓国には「日月五峰図」と呼ばれる宮中画がある。
細かい話だけど、これは「にちげつ」ではなくて「じつげつごほうず」と読む。
いつかどこかで誰かから尊敬されるかもしれないから、覚えておいてください。
そんな「日月五峰図」が日本にあって、9月23日におこなわれるオークションで登場するということが韓国で話題になっている。
今回出品される「日月五峰図」には「咸豐七年重寫」(1857年に再び描いた)という記載があり、朝鮮日報の記事(2019/09/16)で韓国の大学教授がこう話している。
「日月五峰図は数十点が伝えられているが、制作の時期がわかるものはない」「制作された年がわかるはじめての作品で、宮中画研究における貴重な編年資料だ」と説明した。
「日月五峰図」が競売に出品
「日月五峰図」は朝鮮王朝(李氏朝鮮:1392年 – 1910年)のシンボルで、韓国の時代劇ではよく背景にこれが使われる。
初めてソウルに行く旅行者なら、きっと「景福宮」という王宮を見学するだろう。
ここは韓国一の観光スポットと言っていいところ
この景福宮にある玉座の背景が「日月五峰図」だから、名前はともかく、この絵を見たことのある日本人は多いはずだ。
*それがこの記事の見出しの写真
この絵は韓国人のプライドだ。
韓国旅行の情報サイト「KONEST」にこんな説明がある。
朝鮮時代の王の象徴であり、韓国だけの独創的な絵である「日月五峰図」が入りました。
「韓国の絵である」だけでいいと思うだけど、熱を入れてこの絵の独自性をアピールしている。
逆から考えれば、韓国では独自の文化が薄いということでは?
韓国だけの独創的な絵である「日月五峰図」はお札のデザインにも採用されている。
これを少しくわしく見ていこう。
この国王はハングル文字を生み出した世宗王
韓国で最も尊敬される人物のひとり
この絵は「陰陽五行」という中国思想がもとになっている。
「陰陽説」とは森羅万象、この世のすべては「陰と陽」の2つの属性を持つ、2つのカテゴリーに分けられるという考え方のこと。
「五行」というのは、この世にあるものは「火・水・木・金・土」の5種類の元素からできているという考え方。
この2つの説が組み合わされて陰陽五行説の出来上がり。
くわしいことはここをクリック
陰と陽が結びついたものが「太極」
韓国の国旗(太極旗)がこれ
五行
「相性(あいしょう)がいい」の相性はこれに由来する。
まあくわしいことはここを見てくれ。
景福宮に行ったとき、現地のガイドが「日月五峰図」を指さして、「日は男性で国王、月は女性で王妃をあらわしています」と説明していた。
「五峰」は想像どおり、巨峰の親戚だ。そんなわけがなくて、「火・水・木・金・土」の五行を示しているという。
山と滝は「山河」で国(国土)を象徴する。
冬でも枯れない松は、日本と同じで不老長寿の意味。
国王の長寿や国の永遠の発展をあらわしているのだろう。
真ん中の山は韓国や北朝鮮で「聖なる山」と呼ばれる白頭山(ペクトゥサン)だと思った。
それを見下ろすように王と王妃を配置することで、「朝鮮のすべてを支配している」という意味だとガイドが説明していた気がするけど、ハッキリおぼえていない。
さて、朝鮮時代の王の象徴で「韓国だけの独創的な絵」である日月五峰図。
しかも今回は「制作された年がわかるはじめての作品」ということだから、オークションでつけられる値段が楽しみだ。
なんて言いつつ、9月23日になるころにはきっと忘れてる。
カンボジアのアンコールワットには5つの塔がある。
これもそれぞれ「山」をあらわしていて、真ん中の塔は「須弥山」、周囲の4つはヒマラヤ山脈を象徴している。
くわしいことはここをクリック
「五峰」とのつながりはないけど、これにも国土(大地)の象徴という意味があるかもしれない。
こちらの記事もどうぞ。
「陰陽五行説」って、もともと中国の思想ですよね。それを絵に表しただけの「日月五峰図」が、どうして韓国のプライドなんですかね? 理解不能だなぁ。
陰陽五行説は古代中国の思想で、中国のお年寄りには韓国の国旗を見て「道教のマーク」と勘違いする人もいます。
景福宮に行くと、現地ガイドがこれを誇らしく説明していましたよ。
私は日本語と英語の説明を聞きましたが、2回とも「日月五峰図は我が国独自の~」と話していました。
日本ではたった1つの山がすべてを表していますね。 もともと不死山とも書かれていたそうですし。
同じ中国から文化や思想を習った国なのにホントに日本と韓国は違うんだなぁ。
面白いですね。
この絵は返還しろって言わないんですか?
中国の影響を受けていても日韓は違いますね。
日本人はすぐに平仮名という独自の文字をつくって使い始めましたし。
この絵は合法的に日本に渡ってきたのだと思います。
そうでなかったら、文句を言わないはずがない。