東南アジアのラオスは内陸国で海がない。
縦に細長い形から、「ラオスは東南アジアの長野だ」と表現した日本人旅行者もいた。
とにかくそんなラオスを旅行中、外国人旅行者へのこんな注意書きを見た。
「テーブルの上に足を乗っける人間がいるのか!」と驚いたけど、宿のラオス人に聞いたらこういう外国人は実際にいる。
でもそれは欧米人で日本人ではない。
「やつらはいまでもラオスを植民地と思っているんだろうな」と怒っていたのが印象的。
「郷に入っては郷の常識やに従え」は世界の当たりまえ。
旅先で現地の考え方や習慣を知るのはいいことだけど、事前にそれを把握しておくことはもっといい。
日本に来る外国人なら、日本の価値観や社会のルールを予習しておくべきだ。
いま日本で行われているラグビーW杯が外国人にとって絶好の機会になっている。
例えばタトゥーへの見方については韓国や中国は日本に近いのだけど、欧米や中南米、オセアニアはぜんぜん違う。
東アジアではタトゥーに「犯罪者(ヤクザ)」というイメージがあるけど、上の地域ではファッションや文化として社会的に認められているのだ。
そうした国の人たちが日本に来るのなら、日本人のタトゥーに対する考え方を知っておく必要がある。
ある仏メディア「フランス24」はこんな動画を公開した。
タトゥーは日本人に不安をあたえるから、公衆プールやジム、温泉などに入ることができないことが多い。
タトゥーを覆うものやラッシュガードを用意すればOKという場合もある。
動画にでてくるラグビー選手はタトゥーを「ラグビーカルチャー」と呼んでいるけどここは日本。
日本の価値観を尊重して、ふだんはタトゥーが見えないようにカバーしているという。
外国人・日本人に関係なく、異文化社会に住むならこういう配慮は大切だ。
今回のラグビーW杯では40万もの外国人が日本に来ると予想されている。
それでラグビーの国際統括団体、ワールドラグビーはホームページで日本で注意や配慮すべきことを紹介した。
そこには予想どおりタトゥ-の項目がある。
In Japan, tattoos carry a certain stigma as they are traditionally associated with the Yakuza, Japan’s organised crime groups.
内容は上の動画と同じで、長袖Tシャツなどでタトゥーを隠したほうがいいとアドバイスする。
サモア人にとってタトゥーは伝統文化のひとつだけど、サモア代表はそれを隠すことにした。
ロイター通信の記事(9/18)
ラグビー=サモア代表、日本配慮でタトゥー隠しのウェア着用
日本滞在中は場面に応じてこうしたウェアを着て、タトゥーを日本人の目に触れないよう配慮するという。
サモア代表のチームマネージャーは、「どこに行っても、その国の文化をリスペクトしなければならない。われわれにも文化があるが、今はサモアにはいない」とコメントしている。
サモア代表の主将ジャック・ラム選手も、「われわれの文化では(タトゥーは)当たり前だが、日本人の考え方を配慮するし、リスペクトする。われわれの見せるものが、確実に問題ないようにする」と言う。
外国人が相手国の価値観や文化をリスペクトして、自分をそれに合わせるという考え方はニュージーランド代表(オールブラックス)も同じ。
We ♥️ being in Japan. #RWC2019 #BACKBLACK pic.twitter.com/0wQvlA2kRK
— All Blacks (@AllBlacks) September 26, 2019
Welcome to Japan Shannon Frizell #BACKBLACK pic.twitter.com/BDnMI4m51I
— All Blacks (@AllBlacks) September 16, 2019
ふだんはラフな格好をしていても、お寺に行くときはタトゥーを隠す。
Three ‘s looking sharp!
@GettyImages#BACKBLACK pic.twitter.com/G1TV5bLBAI
— All Blacks (@AllBlacks) September 14, 2019
オールブラックスが千葉のホテルに滞在していたとき、人目の多いロビーでは長袖のシャツやタイツなどを着用していた。
これがアーロン・スミス選手のことば。
ニューズウィークの記事(2019年9月24日)
ホテル側はタトゥーを見せても大丈夫だと言ってくれたそうだが、「いいんだ。僕らは日本にいるんだから。日本のやり方とか文化を受け入れなければ」と同紙に話した。
ラグビーW杯:オールブラックス、タトゥー隠して日本文化に配慮
さすが世界の一流。
相手の価値観を尊重してその文化を受け入れるというのは、タトゥーだけではなくてすべてに通じる。
これは世界で活躍する人たちの態度や考え方だけど、一般の旅行者にも当てはまる。
W杯で外国人が日本の文化を知るように、日本人もこの貴重な機会にいろんなことを学んだほうがいい。
国際人なら、「これがわれわれの文化だ、価値観だ。日本人が多文化を尊重するべき」と自分の主張をゴリ押ししない。
ボクは基本的に多文化共生社会には賛成だけど、それを理由に無理を言う外国人や日本人には冷める。
国際人の反対がこれ
こちらの記事もどうぞ。
<W杯スター選手の「タトゥー」どう思う?>欧米は自己表現、日本では“罪人”イメージ
> 「イスの上に足を乗っける人間がいるのか!」と驚いた
あの絵はどう見ても、イスではなく、テーブルの上に足を載せているように見えるのですが?
全くその通りです。
訂正いたしました。
ご指摘ありがとうございます。