イギリスの作家で旅行家、外交官でもあったオリファントは幕末の日本を訪れて、こんな印象を持った。
「個人が共同体のために犠牲になる日本で、各人がまったく幸福で満足しているように見えることは、驚くべき事実である。」
大正時代の日本を旅したフランスの芸術家ノエル・ヌエットはこうだ。
「私は便利に旅行できた。日本へ私をとどめた別の理由は、日本人の親切な性格である。私は誰にも恨みを感じたことはなかった。」
*上の2つは「逝きし日の面影 (平凡社) 渡辺 京二」からの引用。
ローレンス・オリファント(1829年 – 1888年)
世界中から40万人の外国人がやって来るというラグビーW杯日本大会。
*この期間中の訪日外国人は全体で220万人と予想されている。
日本人として気になるのは、外国人が日本の社会や人についてどんな印象を持ったか?ということろ。
どこかにそんなニュースがあればいいのだけど…。と思ったとき、出会ったのがFNNプライムニュースです。(2019/9/24)
ラグビーW杯で来日外国人が日本を称賛! 日本の「おもてなし」と残る課題とは?
知人の外国人の感想を交えながら、これから来日外国人が感じたことを紹介していこうと思う。
今回は日本の「いいところ編」で、外国人が不満な点は次回書いていく。
今回のW杯は日本 vs ロシアの試合で始まった。
この試合直前、日本のサポーターがロシアの国歌を練習する姿が世界中から注目を浴びて、「素晴らしいホスト国だ」といった称賛の声がたくさん寄せられた。
たしかに対戦国の国歌をおぼえる国民なんて見たことがない。
しかも世界からむずかしい言語と思われているロシア語だ。
他にも来日外国人は日本人のこんな正直さ・気配り・親切に感動したようだ。
アイルランド人男性の話。
「私は電車で財布や携帯をよくなくします。でも(日本では)いつも戻ってくるんです」
これはきっと「訪日外国人あるある」で最も有名なもの。
知り合いのアメリカ人はあるとき、居酒屋でしこたま飲んで酩酊しながら家路について、翌日の昼ごろ起きて気づいたときには財布がなかった。
「やっちまった…」と思いながら近くの交番に行ったら、「これですか?」と警官がその財布を取り出したときには、「もうアメリカには戻れないかもしれない」と不安を感じたという。
でも「いつも戻ってくるんです」というわけではないから、まずは貴重品をなくさない方法を考えやがれ。
アイルランド人女性はこう話す。
「旅行代理店の人がバスのチケット代を払ってくれて、バスに乗せてくれて、地図など必要なものを全部渡してくれたの。Wi-Fiのパスワードもくれたし、すべてが素晴らしかったわ」
日本人は先の先を読んで、細かいところまで考えて準備する。
そういうところに感心する外国人はよくいる。
行き過ぎると、「子ども扱いするな」と思うこともあるらしいけど。
オーストリア人男性は、「そば麺とうどん麺。店員さんは両方を持ってきて「どっちがいい」と見せてくれた。そばかうどんかはそれで選んだよ。」と言う。
相手のことを考えて行動するところは上の日本人と同じ。
海外に行くと、ちょっとしたことでも面倒くさがって動かない外国人がいる。
インドやエジプトのレストランでは「いまは朝だからお釣りがない」とだけ言って、こちらがあきらめるまで何もしないヤツもいた。
*「見ろよ」と言われてレジを見たら、本当に現金がなかった。
なんで開店前に用意しておかないのか。
ドイツ人やインドネシア人は日本の飲食店にある食品サンプルに感心していた。
分かりやすくて親切だし、完成度がとても高い。
海外にこんなものはないらしい。
こんな感じで、日本に来てハッピーな思いをした外国人はとても多い。
でも、不満もある。
次回、そのことについて書いていきます。
おまけ
この記事はじめに出てきた2人の外国人を簡単に紹介しよう。
幕末の日本にやってきたオリファントは運悪く、1861年に攘夷派浪士14名から襲撃をうけた。
「侍テロ」だ。
これがイギリス公使オールコックらを襲った第一次東禅寺事件。
「第一次」とあるように、このあとまた侍に襲われた。
当時の外国人が「日本の法で裁かれたくない」と思い、治外法権を要求した背景にはこんな出来事があった。
乗馬用のムチで侍に反撃するオリファント
一方、昭和の日本に滞在していたノエル・ヌエットは楽しく幸せに過ごせたらしい。
日本を離れるヌエットは見送りに来てくれた人々の前で胸がいっぱいとなり、船が動き始めると、離日を選択した自身との葛藤のために涙を抑えることが出来なかったという。
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