2019 韓国人の日本への見方:するべきは信頼か警戒か?

 

17世紀、江戸時代の俳句の天才、松尾芭蕉はいまの季節にぴったりの句を詠んだ。

「秋深き隣は何をするひとぞ」

ということで今回は、日本の隣人・韓国の人たちがいま何を思っているのか見てみよう。
その情報は韓国紙・朝鮮日報による。(2019.10.02)

韓国が信頼できる国1位は米国、警戒すべき国は?

まず、韓国国民が最も信頼できると思う国はどこか?
答えはアメリカで80.6%。
続いて北朝鮮(8.7%)、ロシア(6.5%)、中国(3.0%)ときて、おまたせ日本はたったの1.2%。

つまり、いま日本を信頼できると考えている韓国人は、絶滅危惧種に指定していいほど少ない。
同じ世論調査を日本でやったら1位はアメリカで、2位がちょっとわからない。
北朝鮮と中国は日本と政治体制も社会制度もちがうから、嫌韓感情が高まっているといっても、韓国が2位にきそうな気配はする。

GSOMIAが象徴するように、韓米日は安全保障上での利害を一致していて同盟を組んでいる。(と思った)
これは国民の生命と財産を守るもので、それなりの信頼関係の上で成り立っているから、いまは戦後最悪の関係とはいえ、日本への信頼度が北朝鮮の7分の1以下というのはまったくの想像外。

 

では次に、韓国が警戒すべき国はどこか?

1位は日本の47.8%で、以下、北朝鮮(36.6%)、中国(13.0%)という順。
これをくわしく見ていくと、韓国の男性が「警戒すべき国」と考えているのは北朝鮮(40.4%)と日本(39.7%)がほぼ同じ。
女性では日本が57.1%、北朝鮮が28.0%と2倍以上の開きがあった。

なんで韓国の女性はこれほど強く日本を警戒するのか?
「日本はまた韓国を侵略し、支配しようとたくらんでいる、と考える人が韓国にはけっこういますよ」という話を7年ぐらい前に、20代の韓国人女性から聞いて驚いたことがある。
「いま日本が韓国を占領して、どんなメリットがあると思うのか?」と聞いても、「さあ、わたしにはわかりません」と言う。
独島(竹島)の領有を主張しているのは、日本が韓国征服をあきらめていない証拠、というバカげたことを本気で思っている韓国人は多いらしい。
軍隊の経験からか、男性はまだ冷静で現実的な思考ができていると思う。

日本でこの調査をやったら、結果はきっとこの逆だ。
コスメやK-pop、グルメなんかの韓国文化は10代20代の若い女性に人気があるけど、慰安婦問題や徴用工問題などの政治問題は男性、特に50代以上の男性を怒らせている。
だから「国別警戒度」でみたら、日本の若い女性はきっと韓国に甘い。
韓国が嫌いな男性でも、核・ミサイル開発をすすめる北朝鮮のほうを強く警戒するだろう。

でも韓国は日本を最も信頼できず、最も警戒すべき国とみているのに、「東京オリンピックで旭日旗を使うな」「歴史問題で謝罪しろ」と挑発するのだから、やっていることがデタラメだ。

 

最後に、韓国政府が最も優先すべきと思うことは何か?
一番は韓米同盟の強化で43.1%。
以下はこの順だ。

北朝鮮との関係改善が25.6%
日本との関係改善が15.0%
対日経済報復の拡大が8.1%
中国との関係改善が6.0%
ロシアとの関係改善が2.2%

一目で3番目と4番目が矛盾していることがわかる。
韓国政府に日本との関係を改善しろと言いつつ、日本への経済報復を拡大しろとも言う。
日本はいま韓国に対して輸出管理を強化しているから、韓国には半導体製造に必要な素材が思うように入ってこない。
といっても、しっかり手続きがとられたものには輸出を認めているから、これは禁輸ではないし韓国への“嫌がらせ”でもない。
でも韓国の政治家やマスコミは「日本の経済侵略」と呼んで、この措置を強く非難している。
それで国民も韓国は日本から攻撃を受けている、と理解して「政府はやり返せ!」と感情的になっているのだろう。これが日本製品不買運動の原動力にもなっている。
「日本との関係改善」はそれより多いけど、この闇を打ち払うことができるかどうか。

 

「秋深き隣は何をするひとぞ」と思ってのぞいてみたら、ひどいあり様だった。

慰安婦合意と請求権協定を日本は完全に守ったのにもかかわらず、日本を信頼できるという韓国人はほぼゼロ。(1.2%)
1970年代、韓国の経済成長に協力したにもかかわらず、いま日本は警戒すべき国のナンバーワン。半数の国民が日本を要注意国と考えている。(47.8%)
そして、「日本への経済報復をもっとやれ」と政府に求めている人が無視できないほどいる。

総合的にみて、やっぱり韓国社会は反日の雰囲気に包まれていることがよく分かった。
そんな空気を生み出しているのが政治・マスコミ・教育で、国民に対してはやっぱり韓国の教育が大きな影響をあたえているのだろう。

そんなことを4か月前、読売新聞も社説で指摘していた。(2019/06/12)

韓国では「日本を信頼できない」が75%だった。90年代から一貫して70%を超えている。反日色の強い教育が背景にあろう。

対韓感情の悪化 「歴史蒸し返し」への苛立ちだ

 

ちなみにこのとき日本で行われた世論調査では、「韓国を信頼できない」と答えた人が74%で、調査を始以来、過去最高を記録した。
2018年は60%だったから、日本での韓国不信はここ一年で急上昇している。

「国家間の約束を守らず、国際常識に反する行動をとる国が、信頼を落とすのはやむを得まい。」と読売新聞が書く。
韓国は慰安婦合意を実質的に破棄し、日韓請求権協定も守ることができなかった。
日韓関係の土台となる重要な合意を一方的に破ったのは韓国なのだから、この批判は甘受しないといけない。
でもこれが韓国という鏡には、「日本はまだ真の謝罪をしていない。信頼を裏切っているのは日本だ」と正反対に映る。
見方が正反対だから、同じものを見てもまったく違うものに見える。
だから日韓が分かり合うことなく、2019年は終わる。

 

では芭蕉の句で始めた記事だから、最後も同じように締めようと思う。

「夏草や 兵どもが 夢の跡(あと)」

いまも韓国ではボイコットジャパン運動を熱心にしている人がいるけど、それが終わったあと、韓国になにが残るのか。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。