外国人が感心する日本②「規律正しさ」の具体例

 

日本は中国(唐)や欧米諸国に学んで国を豊かにしてきた。
でもそれは取捨選択であって外国のコピーではない。

そんなことを前回のはじめに書いたけど、日本が海外のものを取り入れるときは、それを日本人の価値観や常識に合ったものに変化させることが多かった。

明治時代の教育者で、東洋大学の設立者としても有名な井上円了はこう書く。

西洋の文明をひとたびわが日本の腸胃に入れ、これを消化吸収して一個の日本的の文明となさざるべからず。

欧米各国 政教日記 (井上 円了)」

日本は鉄道のシステムをイギリスから学んだけど、現在のイギリス人は1分単位で正確に運行する日本の鉄道に驚いている。
日本的文明になった一例だ。

 

いまも日本は外国から学ぶことが多いけど、オリンピックやサッカーW杯などでの海外メディアの報道を見ていると、外国が「日本に学べ」と自国民に呼びかけることが多い。

日本で開催されているラグビーW杯でもそういう報道はたくさんあって、前回はイギリスBBCの記事(2019/10/08)が「日本社会にあるリスペクト」に注目したことを紹介した。

「Rugby World Cup: Things we love about the tournament in Japan」

今回はこの続き。
日本に来た外国人が感心することをもう一つ書いていこうと思う。
それは日本人の規律正しさ。つまり日本人はルールやマナーをよく守る。

上のBBCの記事でルイーズ氏(BBCラジオ5ライブ、ラグビーユニオンプロデューサー)が具体的にこんな点を挙げている。

Everyone waits at the crossings for the green man, even on back streets with no-one around. There are signs painted on the floor of where to queue on train platforms and no-one ever pushes in.

 

日本人はみんな、交差点で信号が青になるまで待っている。誰もいない裏道でもそうする。
電車のホームではどこに並べばいいのかサインがあって、列に横入りする人はいない。

でも日本人の反応をみると、これには懐疑的な人が多かった。

・そうか?そんな風には思えないけど?
・これから台風という最大のおもてなしがあるけどな
・日本が負けたらもう終わりで興味なくなるのが日本人だからその辺もよく見とけよ
・五輪の時に来たらもっとビックリするだろうね
・ごく限られた部分の話じゃん
・また世界一になってしまったか
・悪いけど大袈裟だろ
裏道などでは通行人の信号無視は常態化してる

たしかに勝手に期待値を上げられても、実際に日本に来たらガッカリするかも。
でも最近会ったリトアニア人の旅行者は、渋谷の交差点で日本人が一せいに動き出したり止まったりする様子を見て、その“秩序”を賞賛していた。
ヨーロッパだったら、あんなにきれいにはいかないらしい。

 

外国人の見方を日本人が消化吸収してから見ると、疑わしいところが多いようだ。
「民度」の評価は比べるものによって高くも低くもなるから、誰から見ても同じということにはならない。
でも外国人はよく、日本人を「disciplined」(ルールや規律を守る、自制心がある)と感心するのは事実。
この美点は過去の日本人から受け継いだものだから、これからの日本人に引き渡していくべきだと思う。

大正時代にやってきた天才物理学者アインシュタインはこんなことを言った。

日本人のすばらしさは、きちんとした躾(しつけ)の心のやさしさにある。

「日本絶賛語録 (小学館)」

 

こちらの記事もどうぞ。

ヨーロッパ 目次 ①

ヨーロッパ 目次 ②

ヨーロッパ 目次 ③

世界よ、これが日本の夏だ。蒸し暑さに外国人「軽く死ねる」

試合終了からのゴミ拾い。日本人のマナーと世界の反応。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。