日本にはJリーグ、韓国にはKリーグがあるように中国にもサッカーリーグがあって、その名を「中国スーパーリーグ」という。
「Cリーグ」では満足できないところがさすが大中華。
サッカーではなくて、給料のレベルを見ると世界でもかなりスーパーで、いままで数々のスター選手を中国へ移籍させることに成功してきた。
ことしもイタリア・セリアA、ローマのステファン・エル・シャーラウィ選手が上海申花へ移ったけれど、そのさい提示された条件は3年総額4800万ユ―ロ(約60億円)とやっぱりスーパーだった。
でもこの世には、プライスレスなものもある。
中国のクラブからのオファーを受け入れて、荷物と覚悟を持って中国へわたったものの、契約寸前ですべてを白紙に戻してヨーロッパへ戻った選手もいる。
現在ドイツ・ブンデスリーガ2部のハンブルクに所属するマルティン・ハルニク選手がその人。
マルティン選手はハンブルクの地元メディアに、山東魯能への入団が破断になった経緯を話している。
本人いわく、「環境があまりに悪すぎたから」契約は最終的には成立しなかった。
マルティン選手が飛行機から降り立つと、太陽が見えなかったらしい。
あとはサッカーダイジェスの記事(10/15)をどうぞ。
中国に到着すると街はスモッグで曇っていて、環境が明らかにおかしいと感じたんだ。メディカルチェックを翌日に控えて、僕にも異変が起こった。ホテルで眠ろうとしてもとても気分が悪くて、眠れないんだ。腹痛もひどくなってくるし、食事も全然合わない。何も食べることができなくてね。あのときは本当に病気のような、酷い状況になったよ。環境が悪すぎて、身体が拒否感を示したようだった。
「明らかに環境がおかしい」「身体が拒否反応を…」オーストリア代表FWが中国移籍破談の過去を告白
このころの中国の大気汚染は世紀末を思わせるほど深刻だったから、マルティン選手はタイミングが悪かった。
いまは改善されていて、空には太陽が見えると思う。
メディカルチェックを受けたあと、「ここでフットボールをしたくない」と思ったマルティン選手は荷物をまとめてヨーロッパへと逆戻り。
3年前をふり返って、マルティン選手はインタビューでこう話す。
「僕は中国でプレーすることはできないと感じた。お金の問題ではなく、あそこに行けば、後悔すると思った」
これと対照的なのがJ2・柏レイソルへ移籍したレアンドロ選手だ。(現在はヨコハマFC)
ブラジル出身のレアンドロ選手は異次元のプレーで無双して、柏レイソルを初のJ2優勝、さらにJ1復帰へと導いた。
レアンドロ選手は2010年、リオデジャネイロの強豪クラブの誘いを蹴って柏レイソルへの入団を決意する。
この決定には、リオで強盗の被害にあった妻が大きな影響をあたえたという。
レアンドロ選手は日本で、便利さと治安のよさを気にいっている。
どこへ行くにも日本は電車網が繋がっています。東京に行くにしても、車より電車の方が早く着きますしね。それに、日本は危険なところが少なく、家の近くでなんでもモノが揃いますから
東日本大震災が起きたとき、心配したレアンドロ選手の妻の家族がブラジルへ戻るようすすめると、妻は「地震は強盗しない」と力強く言って日本に住み続けたという話がある。
いま鹿島アントラーズで活躍している元ブラジル代表のウェベルソン・レアンドロ選手も日本での生活を高く評価している。
教育は世界一で日本では盗難にあうこともないし、路上でゴミを見つけることもむずかしいと言う。
ブラジルに比べたら、日本の治安の良さは異世界のもの。
知り合いの日系ブラジル人から、リオデジャネイロで車に乗っているときは夜間、赤信号でも無視して低速で通り過ぎるという話を聞いた。
信号でとまると、銃を持った強盗に襲われて車を奪われかねないから。
日本の裏側は治安も正反対だった。
1994年には当時のブラジル代表ロマーリオ選手の父親が誘拐されたし、2012年にもブラジル代表のフッキ選手の妹が誘拐されるという事件がおきた。
日本にはJリーグ選手の身内を誘拐するという人間はいないし、この点での安心感は無料で手に入る。
「日本は水と安全はタダ」と言われるのはだてじゃない。
治安や清潔さ、市民のマナーなどの生活のしやすさを見れば、日本は世界でもトップ水準にある。
このへんでは中国の“スーパー”リーグには負けない。
イニエスタ選手やポドルスキ選手などヨーロッパのスター選手が移籍先にJリーグを選ぶ理由は、「日本だから」というのが大きな理由になっていると思う。
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