天皇皇后両陛下や上皇上皇后さまがご乗車される特別列車を「お召し列車」という。
くわしいことはここをご覧あれ。
お召し列車の運行には「三原則」があるといわれている。
他の列車と並んで走ってはならない。
追い抜かれてはならない。
立体交差では上の線路をほかの列車が走ってはならない。
このお召し列車をじかに見た女子高生が狂喜乱舞の興奮状態になって、「めっちゃ天皇なんだけど!」と叫ぶ動画がいま話題だ。
「めっちゃ天皇なんだけど!」
で爆笑してしまった pic.twitter.com/7KOxxSX7ni— 月山 (@Tsukiyamma) October 22, 2019
いま見たら500万回以上再生されていて、「いいね」も31万を超えていた。
ネットの反応をみたら、「親しみあってよろしいww」「めっちゃ嬉しがっててほのぼのするわ」「めっちゃ天皇なんだけど!これはパワーワードだなw」といった好意的なものが多いけど、このことばを「不敬」と問題視する人もけっこういる。
・時代が少しでも違えば殺されてるな
・これは良いけど聞こえる場所だと天皇はマズい
陛下で良いんじゃないか
・いい加減にしろよ、天皇皇室はそんなに軽い存在じゃないぞ
・戦前だったらヤバかったな
戦前の天皇陛下は神的存在
・戦時中なら不敬罪で営倉送り
令和の女子高生が日常の場で、「めっちゃ天皇なんだけど!」と思わず叫んで何が悪い。
むしろ問題は上のコメントのような考え方だ。
戦前・戦中の天皇は日本国民から「神的存在」とみられていて、「時代が少しでも違えば殺されてるな」とかいうデタラメを書きこむ人たち。
(ネットのコメントだから、どこまで本気か分からないけど)
「天皇皇室はそんなに軽い存在じゃないぞ」と令和の日本人は言うけど、昭和の日本、特に日本軍ではわりと“軽かった”。
日本海軍の兵士として米軍とたたかい、戦後は作家として活躍した阿川 弘之(大正9年 – 平成27年)氏が当時の日本の空気をこう書いている。
天皇陛下を神様だなんて思ったこと、戦中戦後を通じて一度もありません。海軍へ入ってからも、平気で天ちゃんって言ってましたよ。事実また、海軍には、それを許す空気があったのです。
「国を思って何が悪い 光文社(阿川弘之)」
もちろん海軍がこの言い方を奨励していたわけではなかったけど、建前(公式)では「大元帥陛下」と言っていても、仲間同士では「天ちゃん」だった。
阿川氏が軍司令部に勤務していたころ、昼休みに同僚との会話で「天ちゃんがナおい、なんて言ってましたよ」と書いてある。
「戦時中なら不敬罪で営倉送り」というのは、海軍ならあり得ない。
むしろ、いまの日本人のほうが「神的存在」にみてないだろうか。
職場の会話で「きのうの即位式で、天ちゃんがな」なんてことは言えないと思う。
天皇を絶対的な存在としていた日本陸軍のほうが、実際には不敬や不忠をはたらくこともあったのだ。
「陛下 われわれ同志ほど、国を思い陛下のことをおもう者は日本国中どこをさがしても決しておりません」と言う磯部浅一(2・26事件の青年将校)は、昭和天皇のお心を踏みにじって激怒させた。
磯部が忠誠を誓ったのは自分の心の中に作り出した“内なる天皇陛下”で、現実の天皇ではなかった。
くわしいことはこの記事をどうぞ。
細かい表現よりも気持ちが大事。
戦前・戦中の日本軍兵士が平気で「天ちゃん」と呼んでいたのだから、令和の女子高生が「めっちゃ天皇なんだけど!」と言っても何も問題はない。「大元帥陛下」と呼ぶより、こっちのほうがいいだろう。
もちろんこの言い方を奨励するわけではないし、基本的には「天皇陛下」だけど。
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