【二・二六事件】昭和天皇が激怒したのは”最も忠実な臣下”

 

最近、モデルの山田優さんがインスタグラムにこんなメッセージを投稿した。

「天皇皇后両陛下お疲れ様でした。ありがとうございました。。。 皆様、平成最後の夜、、、素敵な夜をお過ごし下さいませ」

すると、「皇室をなんだと思っているのか!」といった批判が殺到。
個人的には「え?これがいまの日本なの?」とビックリ。
大日本帝国の軍人だって平気で「天ちゃん」と呼んでいたのだから、上のメッセージは目くじらを立てるほどのものじゃない。

そのことはこの記事をプリーズ。

【日本人と天皇】山田優「お疲れ様」、昭和の軍人「天ちゃん」

 

だいたい「自分こそ陛下の忠実な臣下である」とか「陛下のためなら何でもする」とか、自分で勝手に熱くなる人間ほど、じつは陛下のお心から遠いところにいるのだ。
これから紹介する二・二六事件を起こした陸軍の青年将校たちがまさにそれ。

中学校で習ったと思うけど二・二六事件というのは、昭和11年(1936年)2月26日に過激な思想をもった陸軍の青年将校が起こしたクーデター事件(未遂)のこと。
この反乱によって、内大臣の斎藤実や蔵相の高橋是清らが殺された。

くわしいことはここをどうぞ。

二・二六事件

 

反乱軍の青年将校たち

 

このクーデターの中心人物で、のちに軍法会議で死刑判決を受けた磯部 浅一(いそべ あさいち)という人がいる。

磯部 浅一は銃殺刑でこの世を去った。
辞世の句は「国民よ 国をおもひて 狂となり 痴となるほどに 国を愛せ」

 

この磯部浅一が獄中で書いた日記に、彼の狂気があらわれている。
磯部は自分を「日本一の忠義者」と設定して、こんなことを考えていた。

天皇の玉体に危害を加えんとした者に対して、忠誠なる日本人は直ちに剣をもって立つ、この場合剣をもって賊を斬ることは赤子(せきし)の道である    

 

でも昭和天皇はそんなことを一言も言っていないし、磯部の言う「賊を斬ること」は天皇の意思とは無関係だ。
陛下に絶対の忠誠を誓う自分に酔っていただけのこと。
この自己陶酔はちょっと言葉にならない。

陛下 われわれ同志ほど、国を思い陛下のことをおもう者は日本国中どこをさがしても決しておりません、その忠義者をなぜいじめるのでありますか

 

本当に純粋で、すごく気持ちが悪い。
あとから書くけど、こんな気持ちは忠義でもなんでもない。昭和天皇が心の底から憎悪したものだ。
こういう自称・忠義者はデタラメでやっかいだ。
陛下のおんためと言って、正反対の行動をしてしまう。

天皇陛下 陛下の側近は国民を圧する漢奸で一杯でありますゾ、御気付キ遊バサヌデハ日本が大変になりますゾ、今に今に大変なことになりますゾ

その討奸の手段のごときは剣によろうが、弾丸によろうが、爆撃しようが、多数兵士とともにしようが何らとう必要がない、忠誠心の徹底せる兵士は簡単に剣をもって斬奸するのだ

 

斎藤実や高橋是清はこんな狂気によって殺されてしまった。

「日本一の忠義者」という人間を天皇はどう思っていたのか?
クーデター発生を聞いた昭和天皇はすぐに賊軍(天皇の敵)と呼んだ。

天皇はこの第一報のときから「賊軍」という言葉を青年将校部隊に対して使用しており、激しい敵意をもっていたことがわかる。

二・二六事件 鎮圧へ

こういう人間を心底、憎んでいたのだ。

忠臣を自称する者たちに本当の忠臣を殺害された昭和天皇は激怒し、「朕(ちん)自ら近衛師団を率いこれが鎮圧に当らん」と言って、自ら出向いて青年将校らを討伐しようとしたという。
でもそんなことをする必要もなく、昭和天皇に「賊」と呼ばれた時点で二・二六事件の失敗は確定したのだ。

「日本国中どこをさがしてもいないような忠義者」は実際には国賊でしかなった。
でも、磯部は最後まで何も分かっていなかった。
自分の気持ちを理解しない昭和天皇に対して、獄中で呪詛の言葉を吐いている。

今の私は怒髪天をつくの怒りにもえています、私は今は、陛下をお叱り申し上げるところにまで、精神が高まりました、だから毎日朝から晩まで、陛下をお叱り申しております。
天皇陛下 何というご失政でありますか、何というザマです、皇祖皇宗におあやまりなされませ。

以上までの磯部の言葉は、二・二六事件獄中日記にある。

 

天皇への言葉づかいだけを見るなら、「天ちゃん」と呼んでいた海軍より、この陸軍将校のほうがはるかに丁寧だ。
でも昭和天皇を心の底から激怒させたのは、”最も忠実な臣下”を自称して本気でそう思っていた人間だった。
そのことついて、元日本海軍の軍人で作家の阿川弘之氏がこう怒っている。

天皇絶対と言いつのっていた彼らが一番陛下をないがしろにしてるんだが、「絶対」などは、実のところ自分らの信念で、欲しかったのは自分たちの言う通りになってくれるロボットの天子だった。ひどい話ですよ。

「国を思うて何が悪い 光文社(阿川弘之)」

 

二・二六事件の青年将校は自分の内なる天皇に忠誠を誓っていただけで、現実の天皇は最初から最後まで無視していた。
本当に失礼な話だ。

「天皇皇后両陛下お疲れ様でした。ありがとうございました」というメッセージに、「皇室をなんだと思っているのか!」と怒る人たちはきっと、「自分のためではなくて、皇室のため」と言うのだろうけど、彼らは本当に皇室を見ているのだろうか。

 

反乱軍兵士には帰順を呼びかけていた。

 

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2 件のコメント

  • >本当に純粋で、すごく気持ちが悪い。
    >あとから書くけど、こんな気持ちは忠義でもなんでもない。昭和天皇が心の底から憎悪したものだ。

    「本当に純粋」ならば、なぜ気持ちが悪いのか。昭和天皇が何を憎悪したのか。そこが明確に書かれていない。

    > 天皇はこの第一報のときから「賊軍」という言葉を青年将校部隊に対して使用しており、激しい> 敵意をもっていたことがわかる。

    > 二・二六事件 鎮圧へ

    >こういう人間を心底、憎んでいたのだ。

     「こういう人間」とは、どういう人間なのか。要するに、昭和天皇が何をもって憎悪の念を抱いたのか、さっぱりわからない。

  • 他人のことを思っているつもりが、ただの自己陶酔ですから気持ち悪いです。
    思い込みから天皇の忠臣を殺害したのですから。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。