【世界の見方】ラグビーW杯で外国人に広がる日本のお辞儀

 

タイを旅行中、投宿したゲストハウスでたまたま白人(たしかイギリス人)と同部屋になった。
だから中学校でならったように「ハロー」と言って手をのばすと、その白人、腰を90度に曲げてお辞儀をしやがる。
ボクが差し出した右手の少し先にやつの頭頂部がある状態。
「なにこのちぐはぐ感?」ととまどっていたら、彼は頭を起こして「これが日本人あいさつだろ?ナガトモがやっていたのを見たんだ」とさわやかに笑う。

そういえばイタリアのインテルで活躍していた長友選手がゴールを決めたあと、「お辞儀パフォーマンス」をしていたな。
日本人ならではのゴールパフォーマンスはあの当時、インテルのほかの選手にも影響をあたえて、同じようにお辞儀パフォーマンスをする外国人選手が出てきた。
それをイタリア・メディアが、「ナガトモは“お辞儀病”を移した」と報じている。

くわしいことはサンスポの記事(2017.1.30)をどうぞ。

インテルでお辞儀病が蔓延…伊メディア「長友がエデルとガビゴルに移した」

*「お辞儀病」という表現に悪意はなくて、現地メディアはこれを好意的に見ている。

彼にはこれが印象に残って、ボクを見て日本人と思い、お辞儀パフォーマンスをしたらしい。
向こうに悪気はなかったけど、手を伸ばしただけで終わったのボクには軽い屈辱。
日本人のボクが西洋式、西洋人の彼が日本式のあいさつをしたことで、わけのわからないやり取りになってしまった。

長友選手のお辞儀パフォーマンスがヨーロッパで話題を集めたことで、マネする子どもたちも出てきたというニュースは知っていたけど(お辞儀病)、まさかその“感染者”と出会うとは。

でも、海外で外国人にお辞儀をされたのはこのときのみ。
礼を重視するお辞儀には握手のような身体接触がないし、相手の表情も分からない。
こういう距離を置いたあいさつしは欧米人向けではないと思う。

 

と思っていたけど、いま日本で行われているラグビーW杯では、この日本式あいさつが外国人の間でちょっとしたブームになっている。

ニュージーランド代表「オールブラックス」が南アフリカを破った後、選手が一列に整列して、スタンドの観客に深々とお辞儀をした。
いままで日本でいろんな歓迎を受けてきたし、きょうもスタジアムにはオールブラックスの黒いジャージを着た観客がたくさんいる。
そんな日本の人たちとつながりたいと思って、観客にお辞儀をしたとキーラン・リード主将が話す。

長友選手が“お辞儀病”を流行らせたように、お辞儀はほかのチームにも広がっている。
イタリア、サモア、ナミビア、ウェールズ、アイルランドの選手も試合後に、観客に深々と頭をさげた。
ボクがタイで会った外国人は面白半分だったけど、この人たちは真面目に誠意を伝えていると思う。
テレビのインタビューで、「ドモアリガト」と頭を下げていたどこぞの外国人は知らんけど。

勝敗に関係なく、いろんなチームが観客に感謝や敬意をしめすことにイギリス紙「ガーディアン」が注目して、正しいお辞儀の仕方を伝えた。

「THE ANSWER」がその報道を引用してこう書いている。(2019年9月27日)

「選手たちは2、3のシンプルなルールに従うだけで、恥をかくことはない。首と背中を真っ直ぐに保つ。視線を下に、両手は脇に。腰を45度ぐらいまで曲げるべし」とも紹介している。

【ラグビーW杯】海外選手の“お辞儀の輪”を英紙特集 正しい仕方も指南「腰を45度ぐらい曲げるべし」

 

でも、イスラーム教徒の選手にこれはどうか?
イスラーム教では、お辞儀をするのはアッラーだけとなっているから。
それで以前、柔道の試合前に対戦相手に向かってお辞儀をするのを拒否して、失格になるイスラーム教徒の選手が何人もでて問題になったことがある。
いまはコレ、どうなっているんだろう。
正座したまま両手をつくお辞儀はイスラーム教の礼拝動作とそっくりだからマズいけど、立って頭を下げるだけならいいかもしれない。

ということでこれから日本人が海外で外国人と出会ったときには、相手が西洋式か日本式のあいさつをするかを判断したほうがいい。

 

タイのゲストハウス

 

 

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2 件のコメント

  • 握手をするときに相手の目を見るのではなく、軽くお辞儀をしながら握手するのは、昔は世界中で日本人だけであると相場が決まっていたのですが。最近は、外国人でも、日本国内での生活が長いためか、同じような「握手+お辞儀」の挨拶をする人が時々いますね。

  • それはたしかに日本人的ですね!
    知り合いのイギリス人は電話をしながらお辞儀をしていたときに、「日本人になったと思った」と言っていました。
    日本にいるとやっぱり自然とそうなるようです。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。