日本軍・韓国人中将にビックリ:歴史わい曲は事実で砕く

 

このほど韓国軍ではじめて女性の少将が誕生した。
これは”事件”だ。
政府の発表を複数の韓国メディアが報じている。

東亜日報の記事(2019/11/09)

政府は、カン・ソンヨン陸軍准将(55・女軍35期・写真)を少将に進級させて航空作戦司令官に任命したと、8日明らかにした。創軍以来初めて女性少将が誕生したのだ。

航空作戦司令官に初の女性少将を任命

 

ソウル聯合ニュースの記事(2019/11/08)

韓国軍で女性初の少将誕生 陸軍の航空作戦司令官に

 

韓国経済新聞/中央日報の記事(2019.11.09)

カン・ソンヨン准将、韓国女性軍人で初めて少将に進級

 

とこんなことを書いてきたのだけど、これがどれほどの重大事なのか、実はボクにはあまり分からない。
軍隊の経験がないから実感としてはつかめないけど、韓国の大手メディアが一斉に伝えているのだからことの大きさは理解できる。
女性が少将になるというのは画期的なことなんだろう。

 

韓国には徴兵制度があって特別な事情がないかぎり、男は一定期間(約2年間)、必ず軍人にならないといけない。
ボクの知り合いの韓国人男性はすべて兵役を終えている。
まえにそんな韓国人男2人に、「洪 思翊」(こう しよく、ホン・サイク)という韓国人(朝鮮人)がいたことを話すと、2人ともかなり驚いていた。
2人とも洪 思翊という韓国人についてまったく知らない。
中将の”重み”は日本人のボクより彼らのほうが正確に分かっていただろう。
これがどれほどすごいことかも。

「それはビックリしました」と言って、彼らはこんな話をする。

彼らが学んだ歴史では、この時代の韓国人は日本軍による暴力や差別行為といった蛮行に常に苦しめられていた。
日本は韓国を侵略・支配して韓国人を「二等国民」にしたはずなのに、この人物は日本軍ナンバーツーの地位にいる。
しかも創始改名を強制されて韓国人は日本式の姓になったはずなのに、この人は韓国人としての名前を持ちながら中将になっている。
なんで当時の日本が韓国人を韓国人のまま、軍の最高位に任命したのか分からない。

日本軍では中将の上は、もう大将と大元帥(天皇)しかいない。
洪 思翊は一般の日本人では絶対に手の届かないところにいたのだ。
日本軍がそれを認めた。

この話は韓国人にとって、「韓国女性軍人で初めて少将に進級」より衝撃的かもしれない。

 

真ん中が洪 思翊(1889年 – 1946年)

 

現代の韓国人が驚くのも当たり前。

その時代の日本人にとっても、朝鮮半島出身の中将なんてなかなか想像できなかったのだから。
元日本軍兵士で戦後は評論家として活躍した山本七平氏が、「朝鮮人」という言葉は差別語だったことを指摘してこう述べている。

この差別用語の上に陸軍中将という〝 雲の上〟の称号がつくことは、その人が想像に絶する特別な「エライ人」でない限り、あり得ないことだった。

「洪思翊中将の処刑 (山本七平)」

「朝鮮人陸軍中将」という言葉のあり得なさは、いまの日本人が理解するのはむずかしいと思う。

 

当時の韓国人には、日本人があおぎ見るような人がいた。
このことだけでも、韓国側の「歴史わい曲」をいくつらか粉砕できる。
たしかにこの人は例外的だけど、日本兵を指揮する韓国人将校はたくさんいたのは事実。
こういうことを知ると、ビックリする韓国人は他にもいるはず。
少なくともこの時代の韓国人が「奴隷も同然の状態だった」ということはない。
「日本=絶対悪」という間違った認識や前提を崩すには、事実をそのまま示すことが有効だ。

 

ちなみに、反日感情が優先されて歴史全体がゆがめられることについては、韓国国内でも批判の声はある。

中央日報のコラム(2018.10.12)

問題は、在来イネの生産減少を扱う時に現れた感情的な「日帝万悪根源説」が社会の各分野で現在進行形として残っているという点だ。(中略)過度に感情をむき出しにすることは韓国にとっても得ではない。

対日外交、「感情」より「事実」を前面に出すべき

「あの時代に日本がしたことは全て悪」という前提でものごとを見ることに批判的な人もいる。
でもこの見方は韓国では”正義”でもあるから、事実だけで対抗するのはむずかしい。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。