【日本人の美点と汚点】電車の中でアメリカ人が腹立つこと

 

まずはじめに、ある日本人が電車の中で見た温かい光景を紹介したい。

 

来日・在日の外国人は、「日本人には他者への敬意(リスペクト)がある」とよく感心する。
この前のラグビーW杯でも多くのメディアが、「外国人から見た日本の社会や人」についての記事を書いていて、そこでも日本人の配慮が印象的だったという声がたくさんあった。

日本を旅行する外国人なら、電車や地下鉄、バスなどの公共交通機関を利用するはず。
移動中はヒマだし、たいていの人は母国でも電車や地下鉄に乗った経験があるから、自然と比較文化学の考察を始める人もいる。
そんな外国人の声をひろうと、日本人の良い点として車内での静かさがある。
まわりの乗客に不快な思いをさせないようにみんな声の大きさを調節して話すし、携帯電話を使うことはひかえる。

コリン・ジョイスというイギリス人ジャーナリストはこんな日本らしい光景を目にした。

電車の中でふたり連れが立っている。座席がひとつ空く。おたがい譲り合った後に、ようやくひとりが席につくと、必ずその人は立っている人の荷物を持ってやろうと手を差し出す。こんな心温まる小さな親切は、ぼくは日本以外で見たことがない。ああ、これこそ日本。

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さて、ほのぼのでホルホルな話はここまで。
どこの国にも美点や汚点はあって、百点満点の国民なんていない。
ハッピーアワーは終わりで、外国人の視点から残念な現実をみていこう。

 

 

このまえ日本に15年以上いるアメリカ人と話をしていたときに、「日本人の腹立つところ」が話題になった。
ちなみにこのアメリカ人は日本が好きで、日本に骨をうずめる覚悟もある。
でも、ムカつくことにはムカつく。

彼は仕事がら、浜松を中心に大阪や東京でも仕事をする機会が多いから、新幹線や普通電車をよく利用する。
そこでイラっとやムッとするを超えて、心底腹立つのがこんな日本人という。

2人かけの座席で、バッグや荷物を窓側の席に置いて自分は通路側の席に陣取るやつ。
そしてイヤホンをしてスマホの画面を眺めたり、寝たふりをする。
日本人に比べたらアメリカ人は直接的な言い方をするから、以心伝心は通じにくいけど、この姿からは「絶対だれも隣には座らせない。」という意思がよく伝わる。

車内が混んでいても、自分のプライベート空間を断固として守ろうとする。
周囲の人に配慮してふるまう日本人が多いから、公共の場を私物化する迷惑行為はすごく目立つらしい。
彼の経験上、こういうことをするのは圧倒的に若い日本人、特に女性に多い。

僕も20年ほど前、20年後を知らなかったから夢や希望もあった大学生のころ、帰省で京都~浜松の間を電車で移動していた。
そのときに私物を窓側の席に置いて自分は通路側に座って、「話しかけんな」という黒いオーラを全身から出す人をたまに見かけた。
自分のまわりを聖域化して、誰も近づけようとしない人は女でも男でもいた。
こういう日本人は昔も今も、地域も関係なく全国にいるはず。
時間や場所を超えてみられる共通の行動パターンは国民性と言っていい。

 

その点、アメリカ人はフレンドリーで対人距離が近い。
電車や地下鉄ではふつうは誰が隣に座っても気にしないし、「そのTシャツいいね。どこで買ったの?」なんて会話が始まっても珍しくないという。
そのアメリカ人はニューヨークで生まれ育ったから、「他人」に対する拒否感がとくに少ない。
だから日本人の「親しき中にも礼儀あり」ならわかるけど、公共スペースの私物化や聖域化には理解も共感できず、その存在すら許せない。
外国人から日本の欠点を指摘されると、「なるほど。でも待ってほしい」と反論したくなることが多いけど、この“汚点”については完全に同感だ。

 

 

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2 件のコメント

  • で、腹を立てたその乗客との間で口論になって殴り合いになったその挙げ句、拳銃で撃ち殺されたりするアメリカ社会よりはずっとマシですよ。
    若い女性がそんなことで精一杯自己主張してそれでも身の危険を感じないのだから、それはそれで安全だってことです。ニューヨークの地下鉄でそんな無茶な行動を取る乗客は、若い女性どころか、普通の一般市民だったらまずいません。そんなことをするのは他人と物理的な争いになるのも厭わないギャングだけ。

  • そんなアメリカやニューヨークは存在しませんよ。
    2人席を独り占めするのを「精一杯自己主張」と表現するのはやさしいですね。
    ネットを見るとほぼ100%の日本人が怒ってます。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。