日韓関係が最悪となった2012年、日本の犯した大失敗

 

きのうも紹介したのだけど、日本人が韓国に激怒した出来事が2012年にあった。

このグラフを見るとその年を境に、韓国に「親しみを感じる」と「感じない」が大逆転していることがわかる。

 

外務省ホームページ 大韓民国 最近の韓国情勢と日韓関係

 

この年の8月10日、韓国の大統領としては初めて李明博氏が竹島へ上陸する。
韓国人は「誇らしい」と言うけど、日本人にとっては屈辱的で不快でしかない。

これに対して3日後の8月13日、激怒した日本政府は韓国と合意していた金融協力は一切変更しないことを発表した。
つまり、李明博大統領が竹島上陸を強行しても、日本は韓国への700億ドル(5兆5千億円)の資金支援枠をすこしも見直さない、ということ。
日本は韓国との関係を超重要視していたのだ。

産経新聞の記事(2012.8.13)

李明博大統領が島根県・竹島に上陸したことで日韓間の緊張が高まっているが、両国経済の相互依存が深まっていることを配慮し、国際的な合意を順守することが関係改善にも重要と判断した。

日韓の金融協力は維持 竹島上陸でも、政府方針

日本の律義さが誇らしくて泣けてくる。

 

当時の日本は民主党が政権を担当していた。
安倍政権にいろんな問題があったとしても、じゃあ野党にまかせられるかというとやっぱり不安がある。
このとき日本政府は駐韓国大使を一時帰国させて抗議しているけれど、この暴挙に対してこれだけでは弱弱しい。

 

このときも日韓関係はうまくいっていなかったけど、日本は合意を守ることが関係改善のメッセージになると判断した。
日本のやさしさに韓国はどう応えたか?
次の日8月14日、なんと李明博大統領は天皇陛下(いまの上皇さま)に謝罪を要求した。
天皇を「日王」と呼んで、李明博氏はこんな発言をおこなう。

「痛惜の念などという単語ひとつを言いに来るのなら、訪韓の必要はない「(日王が)『痛惜の念』などという良く分からない単語を持ってくるだけなら、来る必要はない。韓国に来たいのであれば、独立運動家を回って跪(ひざまづ)いて謝るべきだ」

韓国による天皇謝罪要求

 

天皇が韓国を訪問するという話もなかったのに、勝手に訪韓条件として謝罪を要求する。
韓国への金融協力を発表した次の日にこれだ。
日本もさすがに目が覚めた。

中央日報の記事(2012.08.15)

毎日新聞は日本の外交当局者の言葉を引用して「信じられない発言だ。悪影響は数年単位に及ぶのではないか」とし、「韓国の次期政権下でも日韓関係の修復は簡単ではない」と伝えた。

李大統領、独島上陸に続き天皇に謝罪要求…日本「悪影響、数年続く」

 

「信じられない発言だ」と驚く日本にも責任はある。
李大統領の竹島上陸のときに、日本がもっと強い本気の怒りを見せていれば、こんな発言もなかったのではないじゃと思う。
合意を守るのは大事だから、減額はしないとしても、せめて「一時凍結を検討する」ぐらいは言ってもよかった。
関係が改善するどころか、あれで日本は舐められてしまった。
その後、日韓関係は戦後最悪といわれるほど悪化したのだから、あの判断は成功よりは失敗だった。
日本が韓国に対してもっとき然とした態度を示せていれば、「好印象」と「悪印象」が逆転して大氷河期をむかえることも少しは防げただろう。

 

きのう韓国が失効6時間前に、日本と軍事機密を共有するための協定(GSOMIA)の破棄を停止すると発表した。
実質的にGSOMIAは延長されることになったのだ。
韓国側は日本が輸出管理強化(韓国では輸出規制)を撤廃することを条件に、GSOMIAを延長することを提示していた。
*また勝手に条件をつけてしまう。

でも日本は頑としてゆずらなかったから、最後は言い出した韓国政府が退くこととなった。
韓国相手に甘い対応はできない、安易な譲歩は逆効果ということを日本はいままでの失敗から学んでいて、これはその成果だろう。

 

 

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近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。