鍵のかかっていない家や車を探して、現金を盗んでいた福岡の男が窃盗や住居侵入などの容疑で逮捕された。
治安のいい日本でもそれぐらいの不幸は珍しくないけど、この男のやり方には心憎い“マナー”があったとネットで話題になっている。
朝日新聞の記事(2019年11月20日
男は県警の調べに、侵入する際は決してガラスを割らず、家を汚さないように靴を脱いで入ると説明。「そうしないと迷惑がかかると思った」と話している。
「迷惑がかかると…」 住宅に「配慮」した容疑者逮捕
これにネットの反応は?
・紳士だなw
・気の使い方が間違ってるな
・財布から全部盗まず3分の1だけ失敬するような話だよ
・しつけのいい家庭で育ってそうな泥棒だな
・朝ごはん作っときましたでも可
・雨が降ってきたら洗濯物を取り込んでくれると助かる
犯行の痕跡を残したくなかったとか、罪を軽くしてもらうことをねらってのことだと思うけど、いまの時代でも鍵をかけない家があるというのが意外。
ナイフで刺したあとに包帯を巻いても、それは親切とは言わない。
でも、このニュースで「妻木 松吉」(つまき まつきち)を思い出した。
大正から昭和初期にかけて、東京で住居侵入&窃盗を重ねた強盗だ。
家に忍びこんで金や貴重品を盗む時点で情状酌量の余地はないのだけど、松吉は「アフターケア」をしていた。
強盗に入った家で住人に戸締まりが甘いと説教したり、防犯のために犬を飼うことをすすたりして「防犯アドバイス」を行っていたのだ。
それで世間から「説教強盗」と呼ばれるようになる。
切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)ほどじゃないだろうけど、帝都東京に住む人たちを震え上がらせた。
逮捕された妻木松吉(1929年)
警察に捕まった松吉は強盗65件、窃盗29件、計94件の犯行を白状して、刑務所にぶち込まれる。
太平洋戦争が終わった2年後、1947年(昭和22年)に仮釈放された松吉はその後、「引っ張りだこ」になった。
全国の警察署・宗教団体・社会事業団体などから防犯講演を依頼され、各地を行脚した。浅草ロック座にもゲストで出演している。
ゆるくておおらかな時代だったのだろう。
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