【日本と韓国の違い】病院の中に葬儀場がある理由

 

元KARAのメンバーで歌手のク・ハラさんがきのう自宅で亡くなった。
直前に自分の境遇を悲観するメモを残しているから、自殺とみて間違いない。
方法も28歳という年齢も衝撃的だ。
K-popに関心がないからこの歌手についてほとんど知らないけど、心よりお悔やみ申し上げます。

さて、これはその訃報を伝える朝鮮日報の記事(2019/11/26)

ク・ハラの遺族は25日午前、ソウル市江南区の江南セブランス病院葬礼式場に非公開の殯(ひん)所(出棺まで棺を安置しておく場所)を用意した。

ク・ハラさん、亡くなる前に境遇を悲観するメモを残していた

 

ここからは日本と韓国の違いについて書いていく。

韓国で驚いたことは山ほどあるけど、病院の中に葬儀場があるというのもそのひとつ。
どこの病院にもあるわけではなくて、大きな病院や大学病院にこれがある。

日本でこれはありえない。
ボクの感覚だと、病院は人を生かすところだから死は最大のタブー。
葬儀場や葬式の反対側にあるところだ。
だから病室の番号には「4」が飛ばされる場合もある。
*鉄道車両に付けられる番号でも「4」は避けられる傾向にある。

 

でも、韓国は日本にとっては鏡で、病院の中に葬儀場があることは珍しくない。
「縁起でもないにもほどがある」と不謹慎に思うのだけど、韓国人にきくと「昔からそうだから、特に気にしない」と言う。
病院は患者の命を救うところだけど、治療には限界があるから、実際には死者も生まれる。
そう割り切って考えているのか、「病院に葬儀場があれば、遺体を運ぶ手間が省けるから」という合理的な理由を話す韓国人もいた。
コスパ重視で現実的だけど、身もフタも情もない。
それは彼個人の意見だけど、「手間暇かけずに素早く進める」「遠回しなやり方より、直球勝負」という考え方は韓国では一般的にあって、この点で日本人との違いを感じることはある。

 

死者を弔う気持ちは同じだから、これは良い悪いの問題ではなくて、日本人と韓国人では死生観が違うということだ。
神道では死が穢れとされているからその影響もあって、こうした違いになって表れているかもしれない。
社会は国民の価値観でつくられるから、精神構造と社会構造は一致する。

日本では考えられないけど、弔問客を受け付ける「病院葬礼式場」は韓国社会では何の違和感もなく存在して、遺体はそこから火葬場へと運ばれる。
つまり常識の範囲内にあるのだ。

日本人からすると、誰かが亡くなって葬儀の場所が病院と聞いたら、「病院ね。ええっ!?」となるけど、韓国では驚くほうがおかしい。
当然、この逆もあって、知人の韓国人は日本で住宅地の中に墓地があるの見て、「韓国でこれないですね」とビックリしていた。
病院に葬儀場があるほうが怖いと思うのだけど。

 

 

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国 「目次」 ①

韓国 「目次」 ②

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2 件のコメント

  • 日韓共に遺体は火葬されますが、日本はお墓に納骨し、韓国は遺骨場に納骨されます。

    後者に関しては、ドラマなどで見たことがあります。日韓共に土葬もありましたが、今は死体遺棄で法律で禁止されています。

  • 韓国で異国は遺骨場に納骨されるというのは土地が少ないからでしょうか。
    たしか香港もそうです。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。