日本の輸出管理強化に苦しむいまの韓国。
文大統領が「二度と日本に負けない」、「盗人猛々しい」と国民の反日感情をあおって、全国的な日本製品の不買運動が展開された。
でも日本は輸出管理強化をゆるめる気配をみせない。
動かない日本にいら立った文政権が動く。(ただし迷走)
ことし8月、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を終了すると発表。
それでも状況は何も変わらず、11月後半に韓国はGSOMIAの延長を発表した。
日本からは何の譲歩も引き出せず、3か月の間、国内を混乱させてアメリカを怒らせたあげく、文政権は前言を撤回した。
韓国側が得られた成果は、日本との局長級対話がきまったことぐらい。
こういうのを「大山鳴動して鼠(ねずみ)一匹」と言う。
事前の騒ぎばかりが大きくて、実際に得られた結果はあまりに小さい。
怒ってこぶしを振り上げてそのまま下ろした文政権に、野党の代表は「幼稚極まりない」と批判し、韓国紙は「無能外交」と酷評の嵐だ。
一方、日本では「パーフェクト・ゲーム」(完全試合)という声が聞こえるほど余裕がある。
その余裕がおごりや油断につながらないといいのだけど。
日本が勝ったのではなくて、韓国がひとりで負けただけなのだから。
GSOMIA破棄騒動はひと段落して、いまは輸出管理(韓国の表現では輸出規制)の撤回へと焦点が移っている。
日韓の主張をみると、この点での立場の違いがあまりに大きくて意見の一致は絶望的。
韓国側は朝鮮日報の報道(2019/11/26)のように、日本の輸出規制はなくなる方向に入ったと勝手に思って発表しちゃった。
日本の対韓輸出規制 「撤回される方向で協議」=韓国外交部
外交部(外務省)の報道官は「(韓日の)双方が真摯(しんし)に臨まなければならない」、「関連規制が撤回され、元に戻ることを期待しており、そのような方向で協議が行われることを期待する」と公式に述べた。
日本はまずは局長クラスでの話し合いをすると言っただけで、撤回がどうこう言うのは先走りにもほどがある。
スタートラインを設定しただけで、もうゴールした気になられても困るのだ。
それに輸出管理厳格化を招いたのは韓国側に原因があるのだから、「真摯に臨まなければならない」というのは韓国で、それを「期待する」のが日本のはず。
でも、国内から「無能」と呼ばれるいまの韓国政府に、事態を客観的に把握することはむずかしい。
朝鮮日報の記事(2019/11/26)
輸出規制問題で「誠実な措置」促す 日本の指導者に苦言も=韓国与党幹部
与党「共に民主党」のユン・グァンソク政策委員会首席副議長が輸出規制について、「12月中に、日本政府の責任ある誠実な措置をうながす」と何度もくり返す。
いま地球上で最もそれをしないといけないのが大韓民国なのに、当事者は腕を組んで眺めているというこの無自覚・無責任。
ほかにもこんなことを言う。
「韓日両国が輸出規制問題の解決に向け臨時措置に合意した後、わが政府の原則ある外交をけなそうとする日本の難癖が続いている。国同士の最小限の信義までをもないがしろにする振る舞い」
「わが政府の原則ある外交」が何なのかさっぱり分からないから、韓国の野党もメディアはもけなしている。
日本を敵視して国内の批判をそらそうとする態度は「責任ある誠実な措置」からほど遠い。
さらに安倍首相など日本の政治家に、「結者解之(自ら行ったことを自ら解決すること)の姿勢で、円満な事態解決へ積極的に乗り出すべき」と呼びかける。
「それをするのが韓国」と口を動かして消費する0.1calがもはやもったいない。
こんなふうに韓国は日本が動くのを期待しているけど、輸出管理強化を撤回するかどうかをきめるのは日本で、それは今後の韓国にかかっている。
毎日新聞の報道を引用して、中央日報がそのための3条件を報じている。(2019.11.26)
日本「韓国、3つの条件クリアしなければホワイト国復帰ない…数年かかる」
これによると日本政府は、「フッ化水素など3品目に対する輸出規制強化措置の撤回」と「ホワイト国への韓国復帰」についてはすぐに認めない方針だ。
ひとり勝手に期待した韓国側が悪いのだけど、これを知った韓国はきっとへそを曲げる。
韓国がホワイト国に復帰したら、3品目に対する輸出管理強化は撤回されるはず。
でもそのためには、韓国は次の3つのハードルを越える必要がある。
・両政策対話が開かれていないなど信頼関係が損なわれている。
・通常兵器に関する輸出管理の不備がある。
・輸出審査体制、人員の脆弱性が解消されなければいけない。
この3条件がクリアされない限り、日本は韓国をホワイト国に戻すことはない。
それに必要な時間は「数年かかるだろう」と日本政府関係者は話す。
「12月中に、日本政府の責任ある誠実な措置をうながす」という韓国との温度差は感じていただけたと思う。
パーフェクト・ゲームはもう終わって、別の試合が始まっている。
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