先んずれば人を制す。
人より先に行動すれば、自分が有利な立場に立てる。
それと同時に早めに手を打つことで、自分を不利な状況にさせないこともできる。
今回はそんなはなし。
徴用工問題については「完全かつ最終的に解決した」と1965年の請求権協定で日韓両政府が確認したはずなのに、それを勝手にあっさりひっくり返して、韓国の最高裁がきょねん10月、日本企業に元徴用工への賠償を命じた。
これによって、徴用工訴訟問題という新しい問題が発生。
国家間の合意を国内法で否定するのは国際法で禁止されているから、日本はこの国際法違反の状態を是正するよう韓国政府に求めてきたけど、いまだにまともな返答はなし。
それでこのまえ韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が、韓日の企業と国民から寄付をつのって、集めたお金を原告側にわたすという「1+1+アルファ」の解決案を発表した。
国会議長室によると、これが「最近の韓日関係を解決することができる最も現実的な案」らしい。
それはどうかな。
「強制徴用に関与した日本戦犯企業」が対象というけど、それ韓国側のレッテル貼りでそんな日本企業は存在しないのだから。
この点ですでに自分勝手。
この解決案に対しては、まるで解決になっていないという批判が国内から上がった。
原告側や支援団体は寄付では「日本の謝罪が前提になっていない」と怒る。
文政権の主張に近いハンギョレ新聞はコラム(2019-11-08)でこう書く。
最も重要な点は、被害者と話し合ったか、そして被害者中心の方策なのかという点だ。 (中略)強制動員問題解決の本質も同じだ。「被害者当事者の尊厳を回復し、傷を癒すこと」でなければならない。
強制動員被害者中心の解決策を
被害者中心はいいけど、その認識が日韓ではぜんぜん違う。
きょねん10月30日に韓国最高裁が出した訴訟では、原告4名はすべて「募集」に応じた人たちと判明したから、日本政府は「旧朝鮮半島出身労働者」という表現を使っている。
くわしいことはここをどうぞ。
自分から応募した労働者を「強制動員被害者」と言うのは無理がある。
でも、反日愛国の案件だと無理が通っちゃうのが大韓民国。
被害者を抜きにした解決案では話にならないという。
同時に日本も無視しているから、「1+1+アルファ」案は本当に自分中心でごう慢だ。
これが「最も現実的な案」とのたまうのだから、あきれるを通り越していつもの韓国で安心したわ。
原告側やそれを支持するメディアは寄付ではなくて「賠償」でないといけないと主張するけど、それでは国際法違反の状態はまったく是正されないではないか。
日本に迷惑をかけないで、韓国側(政府か企業、またはその両方)で賠償金を出すしかない。
国家間の合意はとても重いのだ。
信頼を一方的に破れば、それぐらいのペナルティーを払わないといけない。
いままで日本が「1+1+アルファ」案に対して、どう考えているのか明確に言っていなかったから、じゃっかんの不安があったけど、12月3日に外務省がハッキリNOを表明した。
文議長側はこの案について、国会で法律案を発議して年内の通過を目指しているという。
でもその前に日本が先制パンチをくらわせた。
時事通信の記事(2019年12月03日)
韓国側の案について「韓国の国際法違反の状態を是正することにはならない。解決策にはならないことから受け入れられない」と述べた。
韓国案「受け入れられぬ」 元徴用工問題で外務省幹部
あれは空想的な案だったのだから、早めに一蹴したほうがいい。
何も言わないと「消極的なイエス」と勝手に解釈されて、向こうのペースでことを進められてしまう。
法律案が通ったあとに「韓国案は受け入れられぬ」と言ったら、約束しよう、絶対に大もめになる。
韓国相手に沈黙の代償は大きい。
過去にそれで何度も失敗しているせいか、最近の日本は韓国に対してき然とした態度を示している。
今月16日に輸出管理制度に関する局長級の政策対話が開かれる。
その場で韓国側はまず間違いなく、輸出管理強化を撤回するかゆるめるよう要求してくる。
韓国が勝手に期待してひとりで失望しないように、梶山経済産業相は「その場で結論が出ることはない」とくぎを刺した。
時事通信の記事(2019/12/06)
梶山氏は「韓国からの要望はあると思うが、日本が決めることだ」と強調。一定の時間をかけて韓国の体制を検証するため、1回の対話で結論は出ないとの見方を示した。
局長級対話で結論出さず=日韓の輸出管理めぐり―梶山経産相
「日本が決めることだ」
なんかいままで日本と違う気がする。
徴用工訴訟問題も他の問題でも、安易に妥協しないで日本が主体的に判断して決めてほしい。
韓国も素敵なクリスマス・プレゼントがほしいのなら、そのための努力をするべきだ。
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