「戦後最悪」といわれる日韓関係。
その最大の原因はいわゆる徴用をめぐる問題で、1965年に解決したこの問題を韓国側が蒸し返すことで日韓はブラックホールに吸い込まれてしまい、いまだに光が見えやしない。
でも、このままではいけないと思ったらしく、徴用工裁判で原告や弁護士を応援してきた市民団体が記者会見を開いて、問題解決のために韓日で協議体を設立しようと呼びかけた。
中央日報の記事(2020.01.06)
強制徴用訴訟関連の韓日団体が両国で同時に記者会見…「両国協議体を提案」
この問題を解決するには、韓国が国際法や日本との合意を守るしかない。その一択だ。
でも、「真の問題解決」や「正しい解決」を求める団体側の主張は主観的で一方的で、そして何より自己中だ。
元徴用工問題を「まともに解決する」ためには、日本が次の3つのハードルを越えないといけないと主張する。
・加害者(日本政府)の強制動員事実の認定と謝罪
・謝罪証拠としての賠償
・事実と教訓の次世代継承(歴史教育)
事実と認定するには客観的な根拠がないといけないけど、ここにはそれが一切ない。
それ以前に事実がどうであれ、この問題は日韓請求権によって日本がばく大な経済支援金をわたして解済みだ。
「結果、漢江の奇跡と呼ばれる韓国の経済発展に繋がったわけです。それを今さら「なかったこと」にすると言われたら、ちょっと待ってくれと言うしかない。」
麻生副総理が昨年末のインタビューで言ったとおりで、いまになって合意をひっくり返して「二重取り」するなんて認められるわけがない。
賠償自体がありえないのに、そのうえで謝罪と歴史教育を要求するとなると、「一方的」とか「自己中」とかそんな甘いものじゃなくて、もっと上の新しい表現が必要になる。
この市民団体が求めるレベルはなんというか、異世界レベルで現実味がまるでない。
3つの条件をクリアしていなければならず、日本政府と企業が過去の人権侵害事実を認めて謝罪することだけが強制動員問題解決の出発点だと話した。
強制徴用訴訟関連の韓日団体が両国で同時に記者会見…「両国協議体を提案」
これだけやってやっと「真の問題解決」のスタート地点に立てるというのだから、ゴールは何光年先にあるのか。
合意を守ることが「まともな解決」にならない、と主張する人たちとはまともな話し合いにならない。
それでもあちらはこの路線をゴリ押しするようで、ハンギョレ新聞も社説(2020-01-06)で伝えている。
両国政府、特に日本は「被害者中心主義」により彼らの声に耳を傾け、強制動員問題の解決を図るように願う。
強制動員被害支援、韓日の弁護士が「共同協議体で問題解こう」
この呼びかけに日本政府はどう考えているのか?
菅義偉官房長官は6日に出演したBSフジのテレビ番組で、協議体の創設について「まったく興味はない」と一蹴。
また元徴用工問題については、「1965年の(日韓請求権)協定ですべて解決するとうたわれている」ときょねんくり返したフレーズをまたくり返す。
「『(韓国の)国内問題でやってください』というのが日本の立場」と言い、日本側から解決案を提案するか聞かれると、「ありません」と切り捨てた。
「共同協議体」なんて眼中になくて安心した。
菅官房長官がここまで韓国に厳しいのは、それほどいままでが甘かったから。
これまで日韓関係で歴史問題が起きると、そのたびに日本側が解決策を提案してきた。慰安婦問題はその象徴だ。こうした認識のうえで、「そのくり返しの歴史に終止符を打とうとしているのか」と聞かれた菅官房長官は「基本的にそうだ」と力強く答えた。
元徴用工問題で日本がガンとして譲らない背景には、いままでの悪しき日韓関係の総決算の意味がある。韓国風にいえば間違った過去の清算。
昨年末に安倍首相と文大統領の首脳会談がおこなわれてから、「日韓が互いに譲るべき」と言いつつ、実質的には日本に譲歩を求める意見が日韓のメディアからポコポコ出てきた。
でもここで譲ったら、また不幸な日韓関係のくり返し。
日本も「韓国は何度も歴史問題を蒸し返すな!」と言う前に、何回も蒸し返される理由を考えたほうがいい。
元徴用工問題を正しく解決することで、日韓関係を正しく始められる。
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