韓国の“内ゲバ”:無差別な親日残滓清算 vs 良識的な反対派

 

きょねん韓国社会を席巻したノージャパン運動。

「日本製品は買わない、日本には行かない」という空気に、スーパーやコンビニが応えて店の棚から日本製品を撤去した。
調子に乗って一部では、安倍首相の顔にひげをつけてヒトラーになぞらえるステッカーをつける店まで出てきた。
でも、それを受け入れる闇が韓国社会にはある。

当時の国民のたぎる思いをハンギョレ新聞の記事(2019-08-16)から感じてみよう。

「独立運動はできなかったが、不買運動はする」

大韓民国が日本から国を取り戻して74年目となる15日、ソウル光化門(クァンファムン)広場に市民10万人余り(主催側推算)が集まり、このように叫んだ。

「独立運動はできなかったが不買運動はする」…光化門を照らした10万のろうそく

 

日本が韓国に対して輸出管理を強化したのは、韓国政府が日本の信頼を裏切ったから。
でも、自業自得には我田引水で対抗するのがあちらさん。
そのへんの事情をねじ曲げて、韓国の政治家やマスコミが「日本には二度と負けない」「日本の経済侵略だ」と叫んで反日感情に火を点ければ、国民は100年以上前の独立運動にリンクさせて10万人が集結して叫び声を上げる。

それに対して日本側は冷めていて、「ノーコリア運動」なんてかけらもおこらなかった。
あれは本当に対照的な夏だった。

 

きょねんは反日運動が盛り上がって、韓国社会から日本のビール、衣類、料理、旅行などすべてが締め出されたかっこうだけど、韓国人の価値観や考え方はすべて同じではない。
反日が行き過ぎると、それに反対する人たちも現れる。

たとえば、正しい歴史認識にもとづく韓日関係の構築を求めて「反日種族主義」という本を出版した韓国人教授もいた。
しかし韓国社会からは壮絶にたたかれた。

韓国社会の反日は否定できないしするつもりもないけど、それ一色でもない。
憎悪の炎が燃え広がる一方で、それを鎮火する動きがあるのも事実だ。

中央日報の記事(1/14)

続く親日清算、「無差別的な親日残滓規定はいけない」反対も=韓国

 

日本は20世紀前半に朝鮮半島を統治していたため、いまでも韓国社会には日本に由来する建物や言葉、文化などが残っている。
韓国ではそれらをまとめて「日帝残滓(일제잔재)」と呼んでいて、見つけては取り除こうとする。

くわしいことはインターネット辞典を見てくれ。

2005年には韓国政府文化観光部等が日帝残滓の市民公募を行い、官民一体となって日本由来の文化の洗い出しと排斥・破壊を進めている。

日帝残滓

残滓とは「残りカス」という意味だからかなり侮蔑的な言葉だけど、韓国のマスコミはわりとカジュアルにこれを使う。

 

記事にある「親日清算」も日帝残滓の除去作業と同じで、日本に関係するものだけでなく、日本にかかわった韓国人まで社会から消し去ろうとする。
これは「反日愛国」という国民の価値観に合っていて、正しく必要な行為とみられているから、基本的には文句を言われない。
でも、「無差別的な親日残滓規定はいけない」というように、韓国人から見ても一線を越える人たちがいる。

そういうのが「一部の過激派」だったらいいけど、韓国では各地の教育庁(日本でいう教育委員会)が率先して「無差別的な親日残滓規定」をして除去作業を進めているから頭が痛い。
たとえば忠南(チュンナム)教育庁は「近現代史中心の歴史教育を強化し、親日残滓清算も引き続き進める」とやる気に満ちている。

その理由として教育庁は、ことし2020年は「安重根(アン・ジュングン)義士殉国110周年」ということをあげる。
でも日本で安重根は、初代総理大臣の伊藤博文を暗殺したテロリストだ。
このように玄界灘を越えると価値観が逆転してしまう。

 

歴史教育の強化&親日残滓清算として、チュンナム教育庁が管轄する学校では、植えてあったカイヅカイブキを掘り起こしてかわりにムクゲを植えた。
ムクゲは日本の桜のように、韓国を象徴する花だ。
教育庁側は「カイヅカイブキは伊藤博文が朝鮮に本格的に普及させたと伝えられている」と説明する。
ただし根拠の提示はない。

韓国に“親日”なんて存在してはいけない。
光州(クァンジュ)広域市教育庁では校歌や校標などで「親日残滓清算作業を続けている」と記事にある。
かつて親日韓国人(ニュアンスとしては裏切り者)がつくった校歌を使っていた学校が発覚したことから、そうした中学校や高校ではそれを廃止して新しい校歌をつくった。

でも、「親日残滓清算」という名のやり放題に反対する人もいる。
光州市の高校が校歌にあった日本の音階や七五調の律格、歌詞を変えたことから、市民団体が「音階やリズム・音格など教科に内在した文化的要素まで問題にするのは不適切」と批判した。

サンバのリズムなら知ってるけど、親日残滓のリズムってどんなんだ?
こんなの日本人だって分からないぞ。

 

ということでいまの韓国では全土で日帝残滓除去作業がつづけられる一方で、「無差別的な親日残滓規定はいけない」という反対派が声をあげている状況だ。
でも「反日愛国」の観点から考えると、多くの国民は「日帝残滓せん滅」を優先するだろう。

個人的には反対派のほうに良識と常識がそなわっているように見えるけど、韓国国内のことだからまあ好きにすればいい。
日韓戦なら興味あるけど“内戦”には、というか内ゲバなんてどうでもいい。
*ゲバ(ゲバルト)はドイツ語で「威力、暴力」という意味。

でも良識派が負けると、そのうち火の粉が日本に飛んでくるとおもう。

 

 

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4 件のコメント

  • いいですねぇ。 どんどんやって欲しいですね。
    経済侵略なんて日本はさんざんアメリカにやられてますから。
    我慢するってことが身についている国民性だもん。 ずっと我慢してます。
    駄々っ子韓国が我慢するのを身につけるまで日本はずっと我慢していますがこの先どうなるのやら。
    統一朝鮮はまだまだ先の話だと思いますが非武装地帯の自然は守って欲しいです。
    あそこには絶滅危惧種の多くの渡り鳥が営巣しているらしいので。
    新しい校歌がK-popだったらいいのに。 日本もユーミンが作ってるところがあるでしょう?
    日本のリズムとはちょっと違うかもですが~関ジャムでピアニストの人が言ってたのはほぼ黒鍵だけで弾ける音楽が日本人には心地よく聞こえるってことでした。
    反日教育で反日主義になっても営業マンになると頭下げたり握手したりしないといけなくなるから大変ですね。
    出張ならまだしも赴任となったら退職するんでしょうかやっぱ我慢するのか? それはそれで気の毒です。
    スイス営業マンはは韓国の方がいいみたいですよ。 英語が流ちょうに話せる人が多いのとパリパリで話がスイスイ進むからだそう。 
    海外では韓国コミュニティの日本落としが功を奏してかなり反日人が増えているようで残念です。

  • 韓国では対等という概念がなくて、上か下か・善か悪かと極端なので、韓国で秩序を保つための序列意識が通用しない場合、意見が違うと内ゲバ状態で収拾がつかなくなりますからね。
    韓国人は「反日愛国」精神が根付いてますから、なにか日本を擁護して味方をしているように見えても、それはただ対立している相手の劣等性を指摘するのに利用していてマウントとろうとしているだけの場合があるので、いざマウントとったら自分も「反日愛国」を出し始めたりすることがあるから、親日の人と簡単には信じることが出来ないですよね(-_-;)

  • 日本人には心地よく聞こえるリズムや音楽ならありそうですね。
    日帝残滓はわけわかめですが、それなら分かります。
    韓国ではムン政権が頑張ってくれたおかげで、経済が絶不調です。
    それで日本企業へ就職する人も多いですから、歴史認識と生活は分けて考えている人が多いでしょう。
    日本旅行も復調傾向にありますし。でもいまの空気から、その写真は公開しないとおもいますが。
    韓国人は話を早く進めるというか、日本人は本社と確認したりいろいろな可能性を検討したりして段取りが遅いというのはベトナムでもカンボジアでも聞きました。
    それは日本企業も百も承知でしょうけど、この企業風土は変わらないとおもいます。

  • 正義を重視して悪を糾弾するのが好きな人は多いと思います。
    悪をねつ造されると困りますけど。
    日本擁護ではないですが、「反日種族主義」のように、正しい歴史も基づくフェアな韓日関係の構築を目指す人もいます。
    韓国社会では敵視されていますけど、そのぶん信用はできます。まあ100%の信用・信頼を他国に求めてはいけませんが。

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