【徐福伝説】中国人が日本人になった?/末裔を自称する元首相

 

広大な中国には「いまの日本人は中国人の末裔(えい)だ」という都市伝説がある。

「火のない所に煙は立たぬ」でその説にも“根拠”はあって、よくでてくるのが「徐福の伝説」だ。
いまから2000年以上まえ、永遠の命を望んでいた秦の始皇帝は徐福に「不老不死の薬を探して持ち帰れ」と命じた。
むちゃぶりだけど勅命だから、断るわけにもいかない。

古代中国の伝説で、東方の絶海の中にあって仙人が住むという三神山(蓬莱・方丈・瀛州)があった。
そこに不老不死の霊薬があるということで、徐福は港から東へ出航する。

ちなみに蓬莱(ほうらい)と瀛州(えいしゅう)は日本の別称となった。

 

徐福像

 

3000人の若い男女と多くの技術者、さらに財宝と五穀の種を持って東に船出した徐福は、そのまま中国には戻ってこなかった。
東へ東へ船を進めた徐福は日本へ到達したけど薬を見つけることができず、皇帝の怒りを恐れてその地に住み着いて日本人の祖先となったという。

他に、そもそも徐福は中国から出航していなかったという話もある。

「不死の薬を名目に実際には出立せず、皇帝から金品をせしめた詐欺師」として描かれている。

徐福

歴史ではなくて伝説だから、その辺の幅は広い。

 

東へ向かう徐福ら一行

 

「徐福は日本人の先祖になった」という説を現代の中国人がどこまで信じているか分からないけれど、中国メディアの捜狐によると、この説が真実である可能性はなくもない。
それはこういう理由で。

サーチナの記事(2018-04-27)

なぜなら秦の時代にあった中国神話のなかで「扶桑」と言う東の海の向こうにある巨大な桑の木が指すのは日本のことだったとすれば、すでに「日本に渡ったことがあった中国人は存在し、徐福は東の海の彼方にある日本の存在を知っていた可能性がある」という見方もできる

「日本人は中国人の末裔」って本当? 中国人がこの説を信じる理由=中国メディア

 

日本のネットではこの説を信じる人はいなさそうだ。

・もし、そうであっても「今の中国人」ではないぞ!
・始皇帝の時代に日本は無人島だったとでも?
・れよりも、ほとんどの中国人は古代中国人の末裔ではないと思うの
・日本人が中国人の子孫なら「日本による侵略の歴史」なんてものは
存在しないことになるんじゃないの?
・それなら太古から漢字を始め中国風文化が入っている
言葉から全部変わっている

想像は無限大。
自己責任で、他人に迷惑をかけない範囲で信じたらいい。

面白いのは、ネタかマジか謎だけど、元首相の羽田孜(はた つとむ:1935年 – 2017年)さんが、自分は徐福の末裔だと主張したことがあった。
それで中国のインターネット辞典には、わりと大きく紹介されている。

“我的祖上是姓秦的。”“我们的身上有徐福的遗传因子,在我的老家还有“秦阳馆”,作为徐福的后代,我们感到骄傲……

羽田孜

 

中国 「目次」 ①

中国 「目次」 ②

中国 「目次」 ③

 

2 件のコメント

  • まーそりゃ、日本人の祖先が日本列島内においてサルから進化して人類になったのではない限り、中国大陸から祖先が日本列島に渡ってきた可能性は高いでしょうね。徐福を含めて、中国からも、南方からも、北方からも、古代から多くの人々が日本へやってきて住み着いたに違いない。
    それに比べると、日本から出ていった人々はほとんど記録もないし、ごく少数だったように思います。多数の日本人がまとまって海外へ移住したのは、戦国末期の東南アジア方面と、戦前の南米開拓団くらいじゃないでしょうか。満州は、結局、全ての日本人が帰ってくることになってしまいました。

  • 中国大陸からきた人も当然いるでしょう。
    いろんなところからやってきていまの日本人が形成されたのは間違いありません。
    まあ、「へえ」で終わる話ですけど。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。