【新型肺炎の恐怖】いま日本にいる香港人や台湾人の思いは?

 

新型のコロナウイルスの拡大と恐怖が止まらない。
2月17日の時点で中国での死者は1770人、感染者は7万人を超えた。
日本でも感染者の数は50人を突破して、神奈川では80代の女性が死亡した。
しかもこれで打ち止めではない。

多くの感染者が確認されたクルーズ船で作業をしていた厚生労働省の職員まで感染したのだから、この厄災はまだまだ終わりそうにない。

そんなことがあるから、いま日本で中国人に対する視線は冷えて切っている。
これが飛び火して、このまえ知り合いの日本人が「日本にいる香港人から、『いまわたしとレストランでご飯を食べても大丈夫ですか?』と聞かれた」と話していた。

その香港人の話では、イオンや街中で香港人の友人と話をしていると、日本人からジロリとにらまれることが何度かあった。
日本人のあんな冷たい目を見たのは初めてという。
同じような経験をした台湾人の話も聞いたことがある。

とはいえ、香港や台湾にいる中国人もこれと同じ経験をしているかもしれない。
香港なら、現地の広東語ではなくて普通語を話したらすぐに分かるはずだ。

ちなみに2月16日の朝の時点で、新型肺炎に感染した人は香港で56人(うち1人死亡)、台湾で18人(のちに1人死亡)となっている。
中国以外ではシンガポールが72人と最も多い。

 

範囲を広げたら、こんな動きはいま世界中である。
ヨーロッパでは、中国人・日本人・韓国人を「東洋人」とまとめて授業への出席を禁止した学校があるし、「“黄色”には注意しろ」と書いたフランスメディアもあった。
オランダにいる韓国人学生がくしゃみをしたら、周囲の白人が虫を見るような表情で見たと韓国紙に書いてあった。
日本にいる香港人や台湾人もこんな思いをしているのかも。

ヨーロッパでは「これは差別ではなくて予防だ」と言う人もいるけど、イタリアで中国人観光客がつばを吐きかけられたというのは予防とは関係ない。

 

話は少しそれるけど、日本政府のあいまいな対応もコロナウイルスの恐怖を広げている気がする。

例えば厚生労働省のホームページ「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」を見ると、「新型コロナウイルスは動物からうつりますか?」という質問には「ペットからは感染しません」と書いてあるけど、「新型コロナウイルスはヒトからヒトへうつりますか?」という質問にはこう回答している。

風邪やインフルエンザと同様に、まずは、マスクやティッシュ・ハンカチ、袖を使って口や鼻をおさえる「咳エチケット」や、石けんを使った手洗いなどの感染症対策を行うことが重要です。

これじゃ答えをはぐらかしている。

 

クルーズ船で厚生労働省の職員が感染したこともふくめて、いまの日本でヒトからヒトへうつっていることは誰の目からも明らかだ。
別の質問への回答で「確かなことは現時点では分かっていません」と書いてあるから、慎重になっているかもしれないけど、言葉をにごして「手洗いが重要です」というのでは国民の不安解消にはならない。
「過度な心配は必要ない。しかし注意する必要はある」みたいな言い方をされても政府へのイライラがつのって、結果的に外国人への視線冷却化につながると思う。

 

話は一気に変わって、明治時代にさかのぼる。
江戸時代に蔑視や差別されていた人たちが「平民」と同じ立場になるという「(身分)解放令」が明治4年に政府から出された。
それで低い身分だった家の子供が学校に入学しようとしたところ、ある親が「うちの子どもを、そんな子どもと一緒に学ばせることはできません!」と言い出す。

当時の日本を旅行していたアメリカ人が、それを知って激怒した知事の行動を書いている。

怒った知事は自ら生徒となって入校し、同じクラスの部落の子供と並んで座り授業を受けました。理に適った威厳ある示威行動の結果、身分差別は消滅へと向かっています

「シドモア日本紀行 (講談社学術文庫)」

いま必要なのは香港人や台湾人と一緒に食事をする日本人だ。

 

 

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2 件のコメント

  • いま現在、日本人が中国人・香港人・台湾人を恐れていること、ヨーロッパ人が(日本人を含めて)東洋人を恐れていること、それは無理もないことです。日本で、誰かツバを吐きかけた人がいましたか? 中国語で会話していたら周囲から冷たい目で見られたって? その香港人女性は、友人と(おそらく中国人らしい大声で)話していて口からツバを周囲に飛ばしていたのでしょう。(おしゃべりでやかましいのだから、そう見られても仕方がないです。)

    ところで、それらの話と、江戸から明治になって「新平民」が受けた差別とは全然話が違います。ここに並べるのは適切じゃないと思いますね。

    >いま必要なのは香港人や台湾人と一緒に食事をする日本人だ。
    もうそんな段階は過ぎていると思います。もし必要と考えるなら、ブログ主さん達だけがご自身でどうぞ。私は、多文化共生への貢献よりも、今は、自分自身や家族のリスクをなるべく避けることを優先したいので。
    外国人相手にどころか、日本人同士だって、「不要不急の外出は避ける」「不特定多数の集まりには出ない」「通勤ではなく在宅勤務・テレワークを推奨する」との方針が行政からは示されてますよ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。