はじめの一言
*「一休」はアニメの「一休さん」ではなくて実在した一休。
「罵って」は「ののしって」
「この経験を講演としてはじめてアメリカで発表したのですが、ぼくの講演であんなに成功したものはなかったでしょう。若い人が多く、みんな感激していました。
それは私の講演がじょうずだったからじゃなく、やはり一休の悩みに不思議な普遍性があって、現代の人に訴えるような力があるからなのです。
彼は、偽善者を徹底的に嫌って、罵って、ある意味ではずいぶんわがままな、ある意味では不道徳な生活をしたのですが、しかし、彼の怒り、彼の憤慨は、ほんとに身をもって理解できるような気がしました。(中略)ただ一休という人物にひかれて、まったく世界史のなかで有数の偉人だったと思うようになったのです
「日本人と日本文化 司馬遼太郎 ドナルド・キーン(中公新書)」
一休(ウィキペディア)
一休宗純(いっきゅうそうじゅん:1394~1481)
室町中期の臨済宗のお坊さんで、大徳寺の住持となる。
詩や書画をよくしていて、奇行でも有名。
タイでもアニメ「一休さん」は、大人気。
なぜか友人のタイ人は、金閣寺を「一休さんの寺」と呼んでいた。
タイではそう呼ばれているらしい。
知人のアメリカ人が、ALTとして日本の中学校で英語を教えていた。
そのアメリカ人が、その学校でおこわれた英語のディベートで「とても驚いた!」という。
今回と次回で、日本の中学校でおこなわれたその討論のことを書いていく。
それは、アメリカ人の想像をはるかに越えたものだった。
ある日、彼女が日本人の英語の先生からこう頼まれた。
「今度の授業で英語のディベートをしたいから、協力してほしいんだけど」
ディベートの授業が大好きだった彼女は、「もちろん!」と二つ返事でOKする。
「日本の学校でやるディベートって、どんなものなんだろう?」
正直、ふつうの英語の授業には飽きていた彼女にとってディベートという言葉は新鮮に響いた。
「アメリカの学校で学んだディベートの知識や技術を、どうやっていかそうか?」と、期待に胸が高まったという。
そうだろう。
この時点では、これからおこなわれるディベートはどんなものかまったく知らなかったのだから。
アメリでは、「ディベート(討論)の能力」をとても重要視している。
今アメリカでおこなわれている大統領選挙では、候補者によるディベートが選挙の結果を大きく左右する。
ディベートやスピーチの力がない人間は、アメリカの大統領や政治家にはなれないだろう。
アメリカの社会では政治家だけではなくて、ビジネスでも必須の力のはず。
このとき、英語の先生から「どんなテーマがいいかな?」と聞かれた。
そこで彼女が提案したのは、「アルバイトについて」というもの。
「アルバイトなら、みんな知ってるでしょ?生徒が興味をもちそうなテーマだし、中学生がアルバイトをすることに賛成か反対かなら、自分の意見も言いやすいだろうし」
でも、この提案は先生に却下されてしまった。
その提案を聞いた先生は厳しい顔でこう言う。
「校則でアルバイトは禁止されているから。校則で禁止されていることをテーマに話し合うのは、学校の授業でするにはふさわしくない」
これを聞いた彼女は目が点になった。
「別に校則を変えろって言っているわけじゃないのに、なんでダメなのか分からない。それで思ったのよ。そもそも、何のためにディベートをするのかって?」
彼女は先生に今回おこなうディベートの目的を聞いてみた。
それはまったく予想もしなかった目的だった。
「校長から『やれ』って言われたんだよ。その様子を写真に撮って学校通信の記事にして、保護者に配りたいらしい。『アメリカ人の指導を受けて、英語で討論している』っていう写真を撮れたらいいんだよ。校長も来るから、テーマは無難なものにしよう」
これを聞いた時には驚きのあまり、言葉を失ってしまった。
こういう目的におこなわれるディベートがあるということを、生まれて初めて知ったという。
「あるテーマについて賛成か反対かを考えて、自分の意見を発表するのがディベートじゃないの?」
世界中の人びとはそう考えるだろうね。
保護者に「ウチの学校は、こんな素晴らしい指導をしてます」とアピールするための討論だと知って、彼女はすっかり肩の力が抜けてしまった。
じゃ、どんなテーマから良いねん?
三方原の戦いに負けた直後の徳川家康。
「中学生がアルバイトをすることは、良いことかダメなことか?」
これは良いテーマだと思う。
中学生ならアルバイトはどんなものか知っているし、「お金を稼ぐ」ということには興味もあるだろう。
さらに、どんな賛成の意見を言ってたとしても「間違ったことを言って恥をかく」と思うことはあまりないんじゃ。
中学生の討論にふさわしいテーマだとボクも思ったけど、その中学の先生からはNGらしい。
「大麻の合法化に賛成か反対か?」というテーマはさすがにマズイだろうけど、「アルバイトは良いか悪いか?」ぐらいなら良いと思う。
「では、ディベートのテーマはどんなものがいいか?」をその先生と話し合った。
そして先生がこう言った。
「好きな食べ物とその理由はどうだろうか?」
それを聞いたアメリカ人は思った。
「は?」
続きは次回に。
*「アルバイト」はドイツ語で、英語だと「パートタイムジョブ」になる。
これマメね。
最後に英会話の勉強をしてみましょうか?
友人のアメリカ人がこんなチョコケーキ写真をSNSに投稿していた。
この写真を見た彼女の友人は、「It looks like heaven to me 」とメッセージを打っていた。
「それは、私には天国のように見えます」だと直訳すぎる。
「もう、天国ね」という感じかな?
このメッセージに対する彼女の返事がこれ。
「I think you would like it! I don’t like white chocolate」
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