新型コロナウイルスに国境は無意味で、いまは日本の裏側にあるトリニダード・トバゴでも広がっている。
マジか!トリバゴでも!
という人が多いと思うから、日本ではほとんど知られていないこの国の場所ぐらいは確認しておこう。
トリニダード・トバゴはベネズエラの右上にある小さな島国。
トリニダード・トバゴでは英語が話されていて、知人のトリニダード・トバゴ人は日本の小中学校で5年ほど英語を教えていた。
最近その人からきたメールによると、コロナウイルスが急速に拡大したことで国はロックダウン(都市封鎖)となって、いまはみんなが室内にいないといけない。
「Everyone has to stay in door for the next two weeks because of how fast the virus is spreading.
In the meantime I am taking the time to do some reading…」
この人はヒマな時間に、本かサイトか知らないけど読み物をしているという。
それで、こんなとても興味深いものを発見。
「Do you know of this story? The Mystery of Utsuro-Bune? I am presently reading up on it and I find it quite interesting.」
「うつろ骨?なんの骨だ?」と思ってよく見たら、ウツロブネとある。
銀魂に出てくる「虚」(うつろ)なら知ってるけど、そんな舟は聞いたことない。なにこれ。
空ろ・虚ろ・洞ろ(うつろ)というのは内部がからっぽの状態を表す言葉だ。
「空っぽの船」というのがどんな船のことなのか想像がつかない。ひょっとしたら幽霊船?
でも、トリニダード・トバゴ人がquite interesting(本当におもしろい)ミステリーと言うのを聞くと、こっちも知りたくなってくる。
でさっそく今回のオチというか、ネタバレ。
虚舟(うつろぶね)とは、日本の伝承にでてくるこんな想像上の舟のことだった。
1844年に描かれた絵
こんな不思議な舟が江戸時代から明治時代にかけて、日本各地で現れたという。
1803年には常陸国、1796年には加賀国、1681年尾張国、そして1883年(明治16年)には神戸沖で虚舟(うつろぶね)が見つかったという記録がある。
民族学者の柳田 國男(やなぎた くにお:明治8年 – 昭和37年)はこれを、「神の乗り物」で潜水艇のようなものではないかと考えた。
また同じく民族学者の折口 信夫(おりくち しのぶ:明治20年 – 昭和28年)の見方はこうだ。
折口信夫は、うつぼ舟は、他界から来た神がこの世の姿になるまでの間入っている必要があるため「いれもの」のような形になっていると説いている。
うつろ舟伝説の中で最も有名なのが、1803年(享和3年)に常陸国(ひたちのくに:茨城県)に漂着したというもので、そのうつろ舟は鉄でできていて窓(ガラス?)があって丸い形をしていた。
舟には文字のようなものが書かれていて、箱を持った異国の女性が乗っていたという。
先ほどの絵はその情報を基に描かれたものだろう。
では、外国人はうつろ舟伝説についてどう思うのか?
トリニダード・トバゴ人が紹介してくれたサイトにはこう書いてある。
Utsuro-bune has captured the minds of historians and ufologists for quite some time. Legend has it that on February 22nd in 1803, some local fishermen in the Hitachi province
うつろ舟の話はとても長い間、歴史家やUFO研究家の心をつかんできた。
この続きは先ほどの常陸国の話と同じで、「a strange vessel floating in the sea」(不思議な舟が海に浮かんでいるのが見つかった)という。
1825年に描かれたうつろ舟
ボクははじめて聞いた話だけど、意外なことに、うつろ舟は海外ではわりと知られているらしい。
英語版ウィキペディアの文章は本家の日本語版よりもかなり長くてくわしいし、日本語版にはなかった「魯西亜聞見録」にも触れてこの伝説を説明している。
The book describes traditional Russian clothes and hairstyles and mentions a popular method to dust hair with white powder. It also mentions that many Russian women have natural red hair and that they wear skirts, similar to that of the lady of the legend
うつろ舟に乗っていたのはロシア人女性か?
日本語版と英語版ウィキペディアのページを開いてくれたら分かるけど、英語版の解説は本当に長くてくわしい。
うつろ舟の話はひょっとしたら、海外のほうが有名なのでは?
「魯西亜聞見録」がでてきたからロシア人にこのこの話をおしえると、
Good evening! Thank you very much for the link! It’s very interesting!
「とてもおもしろい!」とやっぱりトリニダード・トバゴ人と同じことを言う。
うつろ舟伝説は、歴史やUFO・妖怪などの不思議系の話が好きな外国人にはきっと受ける。
でも一体どれだけの日本人が知っているのだろう。
おまけ
うつろ舟の話を知人のアメリカ人におしえたら彼も興味を持って、「It’s a pretty interesting story!」というメッセージと一緒にこの動画を紹介してくれた。
こちらもどうぞ。
あーこれ、子供の時に記事を見たことがあったような気がします。丁度「ノストラダムスの大予言」とかブームになった、1970年代くらいに。
江戸時代の末期のことだそうだから、平安時代末期と同様、「末法の世」を嘆くあまりに極楽浄土を求めて潜水艇(?)に乗り込み、竜宮城へでも旅立つ人たちがいたんじゃないですかね? ま、真相は不明ですけど。
それにしても、同じ絵をブログに2回も掲載しているのは何か理由が? 実は間違い探しとか?
どこかの英語サイトにうつろ舟と竜宮城に関係づけているものがありました。
あの絵は再度確認するためです。