日本人はアフリカに対してどんなイメージを持っているのか?
そう思ってネットを見てみたら、明治大学のアフリカ研究会が2016年におこなったアンケート調査を発見。
アフリカ55ヵ国プロジェクト ~日本人が持つアフリカに対するイメージとは?
どんな人に聞いたのかという重要情報はないけれど、「113名の方にご回答いただきました!」と元気はとてもいい。
さすがアフリカ研究会。
さてその結果、日本人はアフリカに対してこんな印象を持っていることが分かった。
1位:豊かな自然・野生動物
2位:貧困
3位:開発途上国
4位:危険・こわい・治安が悪い
これだけでほぼ5割を占めている。
1位と見ると日本でアフリカというと、茶色と緑が広がる大地にゾウやライオン、キリンなどがいて、走る・襲う・逃げるといった野生の王国のイメージが強いのだろう。
こうしたアフリカ像を持ったきっかけの1位は「テレビ」で、ほぼ半分の人がこう答えた。
たしかに日本のテレビ番組で紹介するアフリカは、野生動物・貧困・開発途上国といったものが多い。
でもアフリカはとてもとてもとても広いのだ。
20年ぐらい前、少数民族のドゴン族がくらす村や奴隷貿易が行われていた負の歴史遺産を見るために、セネガル・マリ・ブルキナファソ・ガーナの西アフリカを旅した。
アフリカは初めてで、「この地で一体何が待っているのだろう」と思ったら泥棒で、最初についたセネガルで現地の人間にメガネを盗まれてしまった。
スペアメガネもコンタクトレンズも持っていなかったボクの視界は0.02以下になり、しかもマリとブルキナファソには日本大使館もなかったから(何かあったら、とりあえずフランス大使館に行ってくださいとセネガルの日本大使館で言われた)、「危険・こわい・治安が悪い」のイメージが極限にまで増大して、無事に日本へ戻ることが最大の目標になってしまった。
この絶望旅行にでる前、テレビのバラエティー番組でアフリカ人のタレントが、「アフリカでは都市部にいたから、わたしはゾウやライオンを見たことがなかった。日本の動物園で初めて見て感動した!」といったことを話すのを見た。
「ええ~っ」とどよめくスタジオと「おまえそれネタやろ!」というMCのツッコミにはボクも同感で、この話を半信半疑に思っていたから、西アフリカで何人かに聞いてみた。
そしたらなんと全員、「オレもそう。ゾウもやライオンなんて、生まれてから一度も見たことがない」と言うではないか。
百歩ゆずって「動物園ではどうか?」とたずねたら、「ウチの国に動物園なんてあったっけ?」と首をひねる始末。
日本人にとってのアフリカは何と言っても「豊かな自然・野生動物」で、ボクもそんな印象を持っていたから、じつはアフリカ人より日本人のほうが動物になれ親しんでいたという事実はかなり意外でもはや衝撃的だ。
まあボクが聞いてみた範囲での調査だけど。
きょんねん2019年、京都精華大学長に就任したマリ出身のウスビ・サコさんが、朝日新聞とのインタビューで「日本人のアフリカ像」について話している。(2019年8月26日)
「ライオンと住んでる」日本人が抱いたアフリカ像と現実
1991年に来日したころ、「私はアフリカから来た」と言うと、日本人からはよく「ライオンとか動物と一緒に生活してたんでしょう」「目がよくて遠くまで見えるんでしょう」といった反応が返ってきたという。
もろテレビの影響じゃん。
そんな虚像を否定して、本物のアフリカ人はこう語る。
「いやいや、私は眼鏡をかけていましたし、マリの中でも都市部に住んでいたので、野生動物との接触はありませんでした。ライオンを初めて見たのは日本の動物園です。『おお、ライオンってこんなふうに動くんや』って驚いた記憶があります」
あのタレントの話はネタじゃなくてガチだったか。
もちろん「豊かな自然・野生動物」「貧困」「開発途上国」「危険・治安が悪い」といった日本人のイメージも間違いじゃないけど、なんせアフリカはとてつもなく広い。
それにそうしたアフリカ像には、視聴者の興味関心や視聴率を計算したテレビ番組の影響が大きい。
だからアフリカ人から聞くリアルなアフリカはちょっと違う。
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