【親日有罪】韓国の反日は“聖域”?批判を許さない恐ろしい法案

 

「干天(かんてん)の慈雨」といえば、長いあいだ雨が降らず、乾ききった大地に降る恵みの雨のこと。
ずっと待ち望んでいたことが実現したり、ピンチの時に救世主が現れるときにこの言葉が使われる。

戦後最悪と言われるいまの日本と韓国の関係、そんな干天に降った慈雨は「反日種族主義」という本だった。
元ソウル大学教授のイ・ヨンフン氏を中心に、それまで韓国社会で常識とされていた説を検証して、根拠のないものはその虚構を暴く。
韓国の反日を否定する本であるにもかかわらず、韓国でベストセラーになったことで日本も大きな話題となった。
イ・ヨンフン氏がこの本を書いた目的は、事実や正しい歴史認識にもとづく韓日関係を築くため。
「干天の慈雨」と呼ぶにふさわしい。

FNNプライムニュースの報道(2019年9月11日)でイ・ヨンフン氏はこう語る。

「私はこの本で慰安婦に関する韓国人の偏見、つまり奴隷、拉致、監禁、暴力、無給、奴隷的に性を搾取されたという、初等教育からなされる教育内容が誤った事だと批判するのに重点を置いている」

『反日種族主義』主著者が語る慰安婦問題…韓国の「シャーマニズム的非科学性」 異例のベストセラーの背景に韓国社会の変化はあるのか

 

精力的に取り組んでいらっしゃるけど、慰安婦問題についてはとりあえず、「性奴隷説」と「強制連行」を否定・論破して歴史教育を正してほしい。
日本軍が朝鮮人女性を銃で脅して強制的に連行したとか、慰安所で女性(しかも少女)を性奴隷として働かせたという説が韓国では絶対的な事実として確立しているけど、それを裏付ける根拠はいまだにひとつもない。

日韓関係が改善しない大きな原因にこの虚構がある。
自分の利益からこんな主張をする人たちがいるから、うまくいくものも地に落ちてしまう。

でも、韓国でこの“歴史的真実”を否定する行為は国民感情を傷つけることになるから、それをした人間は徹底的な制裁を加えられる。

実際、この本の一部を書いた李宇衍氏はソウル市内である男から、「こいつを殺しに来た!」「おまえはゴミだ!」「いくら日本からカネをもらったんだ」などの罵声を浴びせられた。

韓国社会で反日を否定するのは命がけなのだ。

韓国事情にくわしく、この本を「韓国における「反日」の「終わりの始まり」かもしれない」と表現したNHKキャスターの池畑修平氏は、文藝春秋特選記事でその危険性をこう指摘する。(2020/2/21)

韓国において研究者らが「反日」に異を唱えることは、大袈裟ではなく、社会的に抹殺される恐れを伴うためだ。

 

でも、もともと根拠のない話を「事実」と主張して、それを否定する人間には「親日(=裏切り者)」とレッテルを貼って黙らせることに無理があった。
この本に正面から反論することができないから、闇に葬る動きもある。

2019年12月から2020年1月にかけて華城市、平沢市、光明市の公立図書館が「国民情緒に反する」として本書の閲覧制限に踏み切り、他の自治体にも追随の動きがあると報じられている。

反日種族主義

根拠の有無や内容の正確性ではなくて、国民情緒を理由に、図書館が読ませないようにするのだから恐ろしい。

 

4月15日に行われた韓国国会の総選挙で歴史的大勝利を収めた政権与党側では、国会で「親日称賛禁止法」という法律を成立しようと動いている。
デイリー新潮の記事(2020年4月22日)によると、この中身も背筋が冷たくなるシロモノだ。

日本統治時代に対して事実と異なる主張をしたり事実を歪曲したりすれば処罰されるという法案だ。具体的には、慰安婦と徴用工の問題をはじめ、日帝の植民地支配や侵略戦争行為について歪曲・美化・鼓舞または宣伝する者には、「2年以下の懲役、または2000万ウォン以下の罰金を科する」となっている。

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「事実と異なる主張をしたり事実を歪曲したりすれば」が正しいなら、強制連行や性奴隷を主張した人間が罰せられるのだけど「鏡の国」では逆になる。

 

この記事で“反日議員”と書かれていて、今回の選挙では与党側の候補者として出馬して当選した尹美香(ユン・ミヒャン)議員はこう話す。

「私が国会でしなければならない一番大きな役割の一つは、日本軍の性奴隷制度と関連した真相究明と謝罪、そしてそれを未来世代へ伝えるための教育など、様々な活動を支援できる法制度を整えることだ。」

性奴隷説や強制連行説を唱え、2015年の日韓慰安婦合意の破棄を唱える人物を候補者にする時点で、韓国の与党は日本との関係改善を本気で考えていないことがわかる。

 

与党議員の言う事実と異なる主張や事実の歪曲というのは、「反日種族主義」に書いてある内容とみて間違いないだろう。
結局、この本の中身を否定することはできなかった。
だから法律をつくり、処罰をちらつかせて反日批判を黙らせるつもりか。

法律に違反して慰安婦像を建てて、あとから合法にする「反日無罪」というのは韓国にはあったけど、これでは「親日有罪」になってしまう。
批判を許さないというとこれは“聖域”だから、この法案は本当にヤバい。

 

このまえ池上彰氏と対談した『反日種族主義』の主著者のイ・ヨンフン氏は、反日の根源となる歴史の嘘を指摘した。

*以下、「池上彰スペシャル!」(フジテレビ系 2月2日放送)のキャプチャー

 

 

イ氏が『反日種族主義』を書いた目的は韓日の友好親善。

 

 

 

 

法案が成立したら、この人も「有罪」になる可能性が高い。

「韓国における「反日」の「終わりの始まり」かもしれない」とNHKキャスターの池畑氏は期待したけど、韓国には「反日」を終わらせたくない人たちがいる。
そういう人間が権力を握っている限り、まともな韓日関係の構築はむずかしい。
これからの韓国では、関係改善を本気で考えてる人たちが自由に話すのは困難になりそうだから、その機会は日本が提供するしかないだろう。

 

 

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4 件のコメント

  • >これからの韓国では、関係改善を本気で考えてる人たちが自由に話すのは困難になりそうだから、その機会は日本が提供するしかないだろう。

    それしかない? 最後の2行だけが意味不明(というか意図不明)で、残念ですね。
    その機会を日本が提供する? そんなことをしても問題の解決にはつながらないと思いますよ。
    日本ができることは、おそらくこの教授は法律によって裁きを受ける身に陥るだろうから、その時になってもしも本人が希望すれば、可能な範囲で救いの手を差し伸べてやる、それくらいでしょう。
    国民一人一人が自由に話す機会を確保したければ、それは、そう考えている人たちが自分で勝ち取るより他に方法はないのです。他国が、しかも問題の当事者である隣国が、余計な手を差し伸べることは、凡そ失敗に終わるだろうと思います。日本のことは、日本人が責任を持って主張するのが第一です。
    日本へ来て発言したければいくらでも発言させて構わないとは思いますけどね。残念ながら、おそらくそれも逆効果にしかならないでしょう。

  • >これからの韓国では、関係改善を本気で考えてる人たちが自由に話すのは困難になりそうだから、その機会は日本が提供するしかないだろう。

    戦後からずっと、韓国がいずれ分かってくれると援助や譲歩してきたが、韓国は変わらなかった。
    これ以上日本から行動する必要はないと考えます。
    (無理でしょうが)韓国が自ら変われば、また日韓の繋がりが復活するかもでしょう。

  • イさんの事実に基づく歴史認識や日韓関係の構築という主張は正しく、日本にとって必要です。
    だからいろんな日本のメディアが取り上げたのでしょうし。
    でも韓国社会でそれを主張することがむずかしくなりそうなので、日本がその場を提供するのは日本にとってのメリットになりますよ。

  • ただ韓国の反日を批判する本が韓国でベストセラーになったというのは記憶にありません。
    変化は起きているような気がします。
    そのアシストを日本がしてもいいと思いますよ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。