【ナチュラルな差別】外国人を不快、怒らせる日本人の言動

 

「日本は人種差別的な国か?」

日本に興味のある外国人が集まるSNS上のグループに、ある外国人がそんな質問を投げかけたところ、以前日本に住んでいたという外国人がこんな見方を書き込む。

「japan isn’t racist. just ignorant. it’s not an evil intent. just a lack of knowledge.」

日本は人種差別的ではない。日本人はただ無知(ignorant)なだけで悪意はない。これに加えて「知識に欠けている」と日本人の無自覚ぶりを強調。
この外国人の考えでは日本人が外国人をジロジロ見るのも、電車の中で外国人の隣に座ろうとしないのも人種差別ではなくて無知・無自覚によるもの。

 

このコメントには、日本で働いていたという外国人が何人も賛成していた。
だから、日本人は人種に対して憎悪や敵意といった悪意はないけど、知識の欠如から「人種差別的」とみられる言動をするという見方が在日外国人のあいだで多いのだろう。

実際、日本で何年も英語を教えているアメリカ人やイギリス人からもそんな話を聞いたことがある。
その日本人には差別の意図はまったくないけど、外国人から見ると差別的な行為をする。ここではそれを天然・自然におこなわれる日本人の「ナチュラルな差別」と呼ぼう。
これは「在日外国人あるある」のひとつかもしれない。

さて最近、そんな事例を見つけたから、これからそれを紹介しようと思う。

 

東京の大学に通う日本人女性が「外国人の友達を作ろう」というグループにこんなリクエストを投下したところ、プチ炎上してしまった。

 

 

これに寄せられた返信がこちら。

 

 

上の2人は女子大生の条件にかなう欧米人らしくて、彼らにはこのメッセージを気にする様子ない。
3番目は対象外の日本人男性で、「女子大生」というパワーワードに反応しただろう。
これに怒ったり不快になったのが下のアラブ人とブラジル人。

「ブラジル人だと何か問題あるの?」はまだ皮肉かもしれないけど、アラブ人の方は「この人種差別は何なんだ?おまえが指定した国以外の人間は友達に相応しくない、不適切ということか(not appropriate)?」と完全にお怒りモード。
「iam Sorry」でSだけが大文字になっているのはきっと意図的で、英語では強調したい部分をあえて大文字にすることがよくある。
日本語なら「悪いけど」ではなくて、「悪いけど」と太文字にするような感じだ。

他にもインドネシア人が「One of the REAL old fashion japanese」とコメントしていた。
アラブ人のように人種差別とは言わないけど、本当に古い考え方(時代遅れ)の日本人だとあきれている。

 

たしかにボクもこの友達リクエストを見て違和感は感じた。

英語を学びたいのならアメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド人は分かるけど、ヨーロッパ人は関係ない。(イギリス人なら分かる)
中国語を学びたいのなら中国・台湾・香港人なら分かるけど、日本人や韓国人は関係ない。
フランス人なら英語で話しかけられたら、不快そうな顔をして無視するかも。

それに時代は21世紀だ。
英語でコミュニケーションをしたいのなら、相手はフィリピン人でも南アフリカ人でもジャマイカ人でもいいはず。

 

ちょっと話はそれるけど、別の日本人女性が同じグループでこんなメッセージを投稿した。

「I’m looking for Western friends because I want to learn English」

英語を学びたいから西洋人の友達を探している。そんな発想に外国人がこう反応する。

 

 

「jock」はたぶん「joke」の間違いだけど、まあそれはいい。
これに怒りのマークを付けて「なんでこれがジョークなの?」と返したのは投稿した日本人で、この人は外国人の意図に何も気づいていないらしい。

 

さて先ほどの日本人女性が出した条件を見ると、「白人の多いキリスト教文化圏の国家」というイメージが頭に浮かぶ。

国旗やスマイルマーク満載の楽しそうな投稿を見ると、本人には人種差別の意識はまったくないと思うけど、「外国人の友達を作ろう」というグループで、特定の人たちを選択/排除したのはマズい。
世界の中でそのグループでないといけない理由を示せばよかったけど、この日本人はそれをしなかった。そもそもその発想がなかったのでは?

実際、「英語を勉強しているから、アメリカ人やイギリス人などネイティブスピーカーの友達がほしい」というメッセージはよくあるけど、これに「racism(人種差別)」という反応がきたのを見たことがない。

欧米人の友人がほしいこの女子大生が「人種差別は絶対ダメっ」と言っても、同じ日本人のボクならその感覚は分かるけど、外国人なら「Hahaha,nice joke」と笑うかも。するとその日本人は「なんでっ!」と怒る気がする。

 

個人的にはこれが人種差別とまでは思わないけど、そう感じて不快になったり怒ったりする外国人が出てくることは想像できる。
この投稿こそ「not appropriate」だった。
日本人のこういう発想や言動は「evil intent(悪意)」のない、無邪気で天然なナチュラルな差別だと思う。

この日本人女性の投稿がどうなったか気になって、あとから探してみたけど見当たらない。
予期せぬ炎上に驚いて削除したのだろう。

 

ちなみに同じグループにあったこのメッセージなら大丈夫。

 

特に炎上する要素がないから、これにはこんな好意的な返信がきていた。

Hi 〇〇san
Me too i live in Tokyo and I’m learning Japanese
We can help each together
Yoroshoku onegaishimasu

 

 

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3 件のコメント

  • >英語を学びたいのならアメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド人は分かるけど、ヨーロッパ人は関係ない。(イギリス人なら分かる)

    ブログ主さんは本当に優しいですねぇ。私だったら、「この女子大生は、ヨーロッパと英国の区別もできない(おそらく英国もヨーロッパもほとんど同じだと思っている)だろうな、可哀想に。悪気はないのだろうが、恥を外国へ向かって晒すなよ」と、一刀両断しますけどね。

    >フランス人なら英語で話しかけられたら、不快そうな顔をして無視するかも。

    20年前であれば確実にそうでしたね。現地での実体験でそのことをひしひしと感じました。
    でも最近はちょっと状況が違うのでは?インターネットによる英語の普及、EU結成で共通語としての英語の地位向上、それらの動きが英語を世界標準語的な地位に近づけ、あの自国語に高いプライドを有するフランス人でさえ、少なくとも日本を訪れる人は英語をしゃべるようになってきました。

    にもかかわらず、英国はEUから一人で脱退してどうしようというのだろうか? 孤立してやっていけるのか? 疑問だなぁ。巻き込まれるスコットランドやアイルランドはたまったものじゃない。

  • あの投稿には思うところはありますが、いまの時代、うかつな表現をするとサイトの価値が下げられていろいろとペナルティーを受けますから、かなり慎重で穏やかな言葉になってしまいますよ。
    まあ世界中の人が集まるところで、理由を付けずに欧米限定はマズいですね。

    フランス人ですが、知人のイギリス人が「観光地のフンラス人は英語を話すけど、それ以外のところではどこか冷たい」、ドイツ人もフランス人は英語を話したがらないと言っていました。だからいまでもそういう雰囲気なのかなと思います。

  • >知人のイギリス人が「観光地のフンラス人は英語を話すけど、それ以外のところではどこか冷たい」、ドイツ人もフランス人は英語を話したがらないと言っていました。

    あははは~、それですけど、相手がイギリス人だったり、ドイツ人だったりすると、フランス人は余計に意固地になって英語を話さないのですよ。まず、間違いない。昔からそうでした。でも30年前に比べれば、私のような日本人を相手にする場合だと、フランス人は英語をよく話してくれるようになりましたよ。日本や、他の欧州諸国など英語以外に意思伝達方法がない場合は英語を使ってくれるようになった。
    ただ、おそらく今でも、イギリス人(=英語が母国語、それだけで欧州においてずいぶんと有利な立場にいる、実力は大したことないくせに、と他の欧州諸国から思われている)やドイツ人(=一般ホワイトカラーは自国語以外に英語が話せるのが当然で、経済弱小ラテン諸国のいい加減な連中とは我々は一線を画しているのだ、という優越感が見える)が相手だったら、フランス人だとプライドに触る人も結構多いだろうから、そういう人は嫌がるでしょうね。実際には話せても知らないフリをする人も多いと思いますよ。

    カナダのケベック州にもそういう面があります。彼らケベック人が、オンタリオ州の人間とか米国人とかを相手にする場合なんかに。
    しばらく現地に行ってませんが、20~30年前に比べれば、ケベック人もそれなりに英語の便利さを認めて妥協する人が多くなったことでしょう。なので現在では、ケベック方言フランス語(訛りが強すぎてフランス人にも聞き取れないらしい)よりも、英語を使える人が増えたことでしょうね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。