日本文化の特徴「つくり変える力」、中国由来の七夕も独特に

 

本日7月7日は棚ぼた、ではなくて七夕の日。

ということで山陽新聞のコラム「滴一滴」では、ひこぼし・おりひめの間にある15光年という距離をコロナ対策のソーシャル・ディスタンス(社会的距離)にひっかけてこう書く。(2020年07月07日)

花火大会や祭りなど密集や密接が避けられない催しの中止も相次ぐ。ワクチンや治療法の確立が待ち遠しい。「どうかコロナ以前の社会に戻りますように」―。七夕に寄せて願いをかけようか。

きょうは七夕。伝説によれば、天…

 

「どうかコロナ以前の社会に戻りますように」というコラムに対して、ネット民の反応はけっこうドライ。

・雨降った程度で会えない奴らに何を願うのか
・天の川増水の為今年は順延です
・実際に1年に一度しか会わない恋人がいたら、翌年にはフェードアウトしてるよね
・ZOOM使えよ
・石原さとみと付き合えますように
・星の寿命を人間換算すると織姫と彦星は0.3秒に1回会ってる事になるって
小学校だか中学校の頃先生に教えられました
・ずっと雨予報だから来年にキャリーオーバーだな

では年に一度の機会なので、これから七夕の歴史や由来についてみていきましょうー。
「七夕に寄せて願いをかけよう」と短冊に書いて、それを笹竹に結び付けるのは日本だけの文化だった。

 

妖怪アマビエを飾ると日本のらしさ倍増

 

古代中国では7月7日の夜に、天の川の両岸にある牽牛(けんぎゅう)星と織女(しゅくじょ)星が年に一度だけ会うことができるという伝説があって、星をまつる行事が行われていた。

*ここでは中国人が星を擬人化しているけど、こういうのは現代の日本人が得意。アニメでは戦艦でも国でも何でも擬人化してしまう。

日本ではこの牽牛星がひこぼし(わし座の星アルタイル)、織女星がおりひめ(こと座の星ベガ)と呼ばれていて、「愛し合う二人が会えるのはこの日だけ」という悲しさとロマンチシズムが昔から人々の心をとらえて離さない。

奈良時代に中国から日本へ伝わったこの伝承がいまでも受け継がれているのは、いつの時代の日本人にとってもそれが魅力的だからだろう。

 

ひこぼし(アルタイル)とおりひめ(ベガ)の距離は約15光年離れているから、光のスピードで行っても15年はかかってしまう。
でも7月7日にはたくさんのカササギが集まって橋をつくるから、2人はそこを渡って会うという。

*浜松にはこれにちなんだ「カササギ橋」がある。

 

ひこぼし(中国名は牛郎)とおりひめ(中国名は織女)が会うようす(中国の絵)

 

幸運が向こうから勝手に飛び込んでくるのは棚ぼただけど、人生はそんなにスイートではないから、普通はちゃんと祈らないといけない。

いまの日本では、短冊に願いごとを書いて笹竹にくくりつけるのが七夕のお約束。
文化というのは上から下へ、宮廷行事(例えばひな祭り)が時代とともに庶民に伝わっていくことがよくる。七夕のばあい、平家物語には貴族が願いごとをカジの葉に書くシーンがあるけれど、江戸時代になると習いごとの願かけが庶民の間にも広がった。

中国で生まれてベトナムや朝鮮半島にも伝わった七夕は、日本では独自の発展をとげていまに至る。

短冊などを笹に飾る風習は、夏越の大祓に設置される茅の輪の両脇の笹竹に因んで江戸時代から始まったもので、日本以外では見られない。

現代の日本に遺る風習

 

現在の中国や台湾では、七夕は愛情節(情人節)と呼ばれる「恋人の日」になっていて、バレンタインデーみたいにプレゼントを渡すことが多いらしい。
「願いごとをする日」というのも日本人には魅力的だったはずだ。

 

江戸時代の七夕祭り

 

七夕のように、独自に変えてしまうというのが日本文化の大きな特徴。
日本人は中国の文物をそのままコピーすることなく、それに新しい価値観や表現を加えて和風の別ものにしてしまう。
餃子でもラーメンでも。何なら天津にはない天津飯や天津甘栗もつくってしまった。

日本の基準で取捨選択して中国文化を受け入れて、あとは自分たちの好みに応じて発達させる。
そんな日本文化の「起源論」は明治維新のまえ、江戸時代には定説となっていて、戦前の日本を代表する東洋学者・内藤湖南はこう書いた。

維新以前の日本文化起原論とも云ふべきものは、最後に此の立論の方法で殆ど確定せられてゐた。日本が支那文化を採つて、其れに依つて、進歩發達を來したと云ふことは大體に於て異論はない。

「日本文化とは何ぞや(其一) 内藤 湖南」

*支那とは中国のこと。でもいまは侮辱語だからNGワード。發達は発達、大體は大体。

 

1909年(明治42年) に京都帝大教授。講師となって以後、東洋史担当講座に足掛け20年務め、同僚の狩野直喜・桑原隲蔵とともに「京都支那学」を形成、京大の学宝とまで呼ばれた。

内藤湖南 

 

「つくり変える」という日本文化の特徴は中国のもの以外でも見られ、西洋由来のクリスマスもキリスト教から離れて、いまでは完全に日本のイベントになっている。

ただ、そもそも伝統的な七夕の7月7日というのは旧暦での話で、現代のカレンダーとはまったく別の日。
だけどロマンティックだし楽しいから、まーいいか。

 

 

外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

外国人から見た日本と日本人 15の言葉 「目次」

ヨーロッパ 目次 ③

外国人の質問「すしを食べるのは箸か素手か?」の答え

外国人の好きな日本文化:縁起物や精霊馬としての「ナス」

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

アバター

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。