日本人と韓国人、「ルール」に対する価値観の根本的な違い

 

日本にとって韓国は「近くて遠い国」と表現されることがよくある。
地理的にはすぐ隣だけど、価値観や考え方(特に政治問題や歴史認識)では銀河系レベルで遠い。

韓国の全国紙・中央日報の東京総局長だった記者も約3年間の日本滞在でそう感じたらしく、コラム「グローバルアイ」(2020.07.12)で「不思議」という言葉を何度も使って韓日関係についてこう書く。

韓日関係は外交的常識や慣例、基本的な職業倫理まで壊すほど不思議な空間という点だ。(中略)こうした不思議で、非常識な枠組みの中で関係改善は不可能だ。お互いに対する尊重が問題解決の出発点だ。

韓日関係、その不思議な空間

 

両国の関係はいま、戦後最悪といわれるほど悪化している。
その主な責任は「歴史問題に経済報復カードを突きつけた日本の安倍政権にある」とこの記者は指摘して、「輸出規制に対する日本の態度は特に非常識だ」と非難する。

まーあちらの怒りどころは他にもあるけど、このコラムでは元徴用問題に対して「経済報復」を行ったことを取り上げて、日本を常識や慣例が通じない相手のように描いている。

ただ「韓国の記者らも限度を超える時がある」と自分たちの問題点にも触れる。
韓国の一部メディアは、日本のネットユーザーの反応だけを基に安倍政権批判の記事を書いていることから、こんな疑問を投げかける。

もし日本の記者が韓国のポータルサイトのコメントだけを根拠に文在寅(ムン・ジェイン)大統領を批判するならわれわれは簡単にうなずくことができるだろうか。

 

この指摘はとっても正解。
「安倍首相は韓国にゆずれ」といった一部のコメントをつまみ出して、「日本の民意を無視する安倍政権が韓日関係改善を邪魔している」とするような韓国紙の記事はいままで何度も見たことがある。
ネットの書き込みを根拠にしていいなら何でも書けるわ。
でも、そんな客観性や正確性を書いた記事を新聞に載せてはいけない。

それに日本が歴史問題に経済報復カードを突きつけたと怒っても、それはそもそも日韓請求権協定をひっくり返した韓国側に原因がある。
これによって韓国は国際法違反の状態も生んでしまった。
さらに言えば、文政権は2015年の慰安婦合意も実質的に破棄した。
これについては「どっちもどっち」ではなくて、日本との合意や国際法を一方的に破った韓国側が悪い。
だから「お互いに対する尊重が問題解決の出発点だ」ではなくて、まずは文政権が国際法を尊重する形で解決案を提示する必要がある。

自分たちの約束違反については一切スルーで、韓日関係を「不思議な空間」「非常識な枠組みの中で関係改善は不可能」となげく方がおかしい。

 

「不思議」と言えば半年ほど前、韓国でこんな出来事がありましたよ。

朝鮮日報の記事(2019/11/14)

【校門の間をギリギリで通過】「パトカーで果敢に校門突入」 受験生救った2人の警官…「試験頑張れ」

大学修学能力試験(入試試験)が行われた朝、試験会場に遅れそうになった受験生が「警察に支援を要請した」。つまり、パトカーで会場に運んでくれと電話で依頼したのだ。
この時点で日本の価値観とは違う。
受験生を乗せたパトカーは「サイレンを鳴らしてバス専用車線を利用し、スピードを上げた」という。
クライマックスはここだ。

車両の進入が禁止されている正門は、車1台ほどの幅が開いていた。パク警長は「『後で言えばいいだろう』と考えてとりあえず中に入った」として「正門前で降りて走れ、という訳にもいかないだろうから」と話した。

 

映画のシーンみたいだけど、じっさいパトカーのドアを正門の一部にぶつけた。
でも「パトカーは停止せずに校庭を横切り」、受験生を降ろしたとか。
ホント何の映画だ?

パトカーで受験生を送り届けたパク警長らに対して記事は、「初めて会った受験生のために力を尽くした理由は、他人事とは思えなかったからだ」と英雄のように描く。
この警察官に「取材陣は拍手を送った」というから、これが韓国人の一般的には感覚だ。
校門の一部が壊された学校側は「公務のために起きたことなので、学校の方で修理する」とおとがめなし。

 

「銀河系レベル」の意味がおわかりいただけただろうか。

他の受験生も同じ条件で開始時刻に間に合わなかったら、その受験生は受験資格を失ったと同じで試験は受けられない。
パトカーで「サイレンを鳴らしてバス専用車線を利用し、スピードを上げた」ということだけでも、いろんなルール違反があるし、きっと法にも反している。

遅刻が美談になる韓国社会を見て、当時の日本のネットでは「根本から何かが狂ってる」「俺の価値観で言ったら、これは「全てが間違ってる」話だ」と違和感噴出だ。

日本人の価値観からしたら、「ルールはルールだから、遅刻した受験生が悪い。パトカーで会場まで運んでくれ、なんて甘えは通用しない。そもそももっと早く起きろよ」といったところで、この意見については嫌韓・親韓の関係はなくて全国的に一致するはず。
バス専用車線をパトカーが猛スピードで走って校門の一部を壊したら、たたかれる要素しかない。

でも情を優先する韓国人としては「それでは冷たい」とこれが美談になるから、結果的にきまりやルールが軽視される社会となる。

 

日本人にはどんなに不思議な価値観でも、韓国国内ならそれを当てはめてもいいけど、両国関係は合意や法を守るといった国際社会のルールに基づかないといけない。
でも「情」が優先されて、遅刻が美談になる韓国ではこの最高裁の判決は正しくて、それを受け入れない日本の方がおかしくなる。

このへんのところがすれ違ったまま、もうすぐ元徴用工裁判で原告側が差し押さえていた日本企業の財産の現金化が始まりそうだ。

プレジデントオンラインの記事(2020/7/10)

韓国・文在寅いよいよ日本と本気で喧嘩へ…8月4日、”全面戦争”に乗り出す構え

「韓日関係、その不思議な空間」なんてポエムしている場合じゃないゾ。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

 

4 件のコメント

  • これだけのブログですし、自費出版を検討されてはどうでしょうか。
    こんな方法などがあります。
    kindle ダイレクト・パブリッシング https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/

  • > でも情を優先する韓国人としては「それでは冷たい」とこれが美談になる

    そのことは知っていますけれども、それが受験生であれば誰でもそうしてもらえるのでしょうか?
    犯罪者の子供であってもそうなのですか?
    あるいは親日派の子供であっても?
    単に、気まぐれに「施しをしてやった」だけの行為にしか、見えないのですが。

  • なんか韓国の「情」のイメージって
    あきらかに悪いのに仲間ってだけで味方する感じ

    あと自分たちの考え方・価値観が絶対的に正しく相手を批判する「グローバルアイ」
    ・・・なんの冗談ですか?

  • コメントを残す

    ABOUTこの記事をかいた人

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。