【四角いスイカ】ドイツ人が想像した日本と現実の日本の違い

 

1か月ほどまえ共同通信に、こんな「日本ならでは」という記事(6/24)があった。

四角スイカ、出荷始まる 香川特産、観賞用で人気

もうすっかり有名になった「四角スイカ」。
記事の香川特産のスイカは1個1万円ほどで、食用ではなくて装飾や観賞用として人気が高い。

熟す前のスイカを立方体の容器に入れて栽培するこのスイカ、きれいな四角になるのは8割ぐらいだとか。

さてさてこれにネットの声は?

・15000円・・・・高いわw
・なお、切ったらうどんが出てきます
・なんか中国の悪習「てんそく」を思わせる、野蛮なイメージが払拭出来ない。
・ゲーム規制県なのにマイクラを彷彿とさせるスイカ作っていいの?
・でも西洋ではハロウィンでカボチャくり抜いて鑑賞してますやん
・植物虐待だぞこれは

いまじゃさらに進化して、ハート型のスイカもある。

そう言えば日本の小中学校で英語を教えていたアメリカ人が、「日本の教育は自由度が少なくて、教師は子供を同じ方向に育てようとする」みたいな批判をしていた。
日本ではスイカでさえ、型にはまった生き方をしないといけないらしい。

 

 

スイカを夏の食べ物と考える人は世界中にいて、あるアメリカ人はこんなことを言っていた。

・My favorite food to cool off in hot Arizona, USA is to eat cold watermelon and drink lemonade by the pool.
プールサイドで冷たいスイカを食べて、レモネードを飲むのがアメリカン。

これはハンガリー人の書き込み。

・We eat watermelons in the summer

 

 

世界でよく見るスイカは楕円形や丸いもの。

 

 

スイカと人類の付き合いはとても古く、リビアでは5000年前のスイカの種が見つかったとか、エジプトでは4000年前の壁画にスイカが描かれているといった話がある。
まーくわしいことはここを見てくれ。

スイカの歴史

 

知人に、きょねん日本の大学で学んでいたドイツ人(30代・男性)がいる。
彼に日本の印象をたずねたら、「日本は思っていたよりずっと普通だった。それがすごく意外」と変なことを言う。

彼が来日するまえ、日本に関する情報はおもにユーチューブで仕入れていた。
そこに描かれた日本は、一言でいえば「クレイジー」。
そのドイツ人にとって印象的だったのが「四角スイカ」で、こんな形はヨーロッパであり得ないし、100ユーロ(約1万2000円)以上のスイカが日本では普通のスーパーで売っている。
そんな場面を映して、「信じられないだろ?でもここでは現実だ。日本はこんな変な国なんだ!」と大げさに言う。

ちなみにこれは四角スイカを見たジャマイカ人の反応。

Woahw ! It sure has a shape ! Thats incredible, I never saw a watermelon with different shapes beside of circle.

信じられない!球形以外のスイカなんて見たことない!

これが外国人の一般的な反応だ。
ちなみにドイツでスイカは「Wassermelone」と言う。

 

 

日本の例外的な部分を取り上げて、それを一般化させて伝えるのはテレビ局も同じ。
彼が見た地上波のテレビ番組では、奇抜なファッションや化粧をして原宿を歩く10代20代の女の子を特集していて、「ここではこれが普通なんです。驚くのはわれわれだけで、日本人は誰も気にしません!」とレポーターが興奮して話していたとか。

母国でそんな情報ばかり見てきたから、ドイツ人の言うクレージーが日本ではノーマル、ごく普通のことだと思い込んでいた。
でも日本に来てみたら四角いスイカなんてどこにもないし、スーパーにはドイツにもあるような丸いスイカがゴロゴロ並んでいる。
値段はドイツよりは高いけど、1個100ユーロ以上というバカげたものじゃない。
日本で生活していると、事前にイメージしていた「クレージーな日本」は日本人にとってもクレージーで、日本の日常はドイツと同じとは言えないけど、想像していた世界よりはすごく近い。

頭の中にあった日本と現実の日本とのギャップは、彼にとってはちょうど四角スイカと丸いスイカのようなものだった。

 

日本の一般的な生活を紹介しても視聴者には受けないから、ドイツ人の興味を引きそうな面白おかしい部分ばかりを取り上げるから、それでできる日本はとてもアブノーマルな国。
でもそれを普通と思っちゃう人は多いから、彼の友人には日本を「別の惑星」のように思っている人もいるらしい。

でもこの傾向は日本のテレビやユーチューブでもあるはずだ。

一時期中国では風邪薬やスイカ、ビールといった「なぜそれが?」というようなものが爆発して、日本のネットでは「チャイナボカン」の名で一躍有名になった。
でも中国で爆発するスイカはごく一部で(それでもアメージングだけど)、それが普通のスイカというわけではない。
「チャイナボカン」に興味のある人はここで確認されたし。

 

ベトナムの正月祝い用のスイカ。
「發財(発財)」と書いてある。

 

では最後にドイツに住んでいる日本人の声を紹介しよう。

・日本のフルーツや食物のブランディング戦略はドイツから見ると不思議だと思います

・日本びいき?と思うほど良く日本の話題を出すPro7というテレビ局があります。特にガリレオという夕方の情報エンターテイメント番組がネタとして色々日本のトレンド情報などを流しているので、それを見て勘違いするドイツ人はたくさんいるのでは。日本でいうイッテQ感覚かな…
スイカの件も同じ番組で見ました。面白いところを誇張して表現するから誤解しちゃうんですよね。
ProSieben, Japan, (Wassermelone)で検索してみてください。YouTubeだと放送内容がそのまま見れるのでイメージしやすいと思います。

・日本の果物は高い、という話をすると生徒が必ず「日本のスイカは四角いんですか?」と聞くので、「そういうのもあるかもしれないけど」と言っておりました。テレビの影響だったんですね。それでも普通のマスクメロン(ネットの模様の)も一玉で3000円、4000円がザラで、ドイツでは、一個で10ユーロ以上の果物って見つけることができませんでした(5ユーロでもないかも)

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。