空から冷蔵庫が降って来た。
そんなマンガのようなことが中国で起きて、ニュースになっている。
Record chinaの記事(2017年7月25日)から。
2017年7月21日、華商網によると、中国陝西省西安市でこのほど、30階建て高層マンションの1階に住む住人の庭に洗濯機が降って来るというトラブルがあった。
ふつうでは起こりえないことが、当たり前のように起きるのが中華人民共和国という国。
中国では過去に、風邪薬・スイカ・ビールなんかが爆発して日本でも話題になった。
冷蔵庫やバキュームカーなんかも爆発している。
そんな中国なら、洗濯機が空から降って来ることもあるかもしれない。
中国の爆発事情は、日本で「チャイナボカン」の名で有名だ。
さてワタクシめ、15年ぐらい前にラオスを旅行したことがある。
その時に3人のフランス人と出会う。
そして彼らから、こんな話を聞いて衝撃を受けた。
「パリでは昔、空からうんちが降って来たんだよ」
フランスには前から行ってみたいと思っていたボクは、彼らにこんなことを言う。
「いつかパリに行ってみたい。日本のテレビや雑誌でパリの街を何回も見たことがある。とてもきれいなところだから、行って見てみたい」
この言葉を聞いた彼らは苦笑いを浮かべる。
「パリはとてもきれいだよ。写真で見ればね。実際のパリは汚い。そこらじゅうにタバコや犬のフンが落ちているんだ」
「パリでは上だけ見て歩けばいい。下を見なかったらきっと良い思い出ができる」
そんなことを言って笑う。
これは15年ぐらい前の話だから、今のパリのことは分からない。
パリの人たちの意識が変わって、今では街がきれいになっているかもしれない。
・・・なんて思ったら、そんなことはなかった。
パリに住んでいる日本人がブログでこう書いている。
パリに来たことのある方ならご存知だと思いますが、路上に犬のフンと煙草の吸殻の多いこと、多いこと!
特にフンは踏むとショックが大きいので、絶えずさりげなく足元に気をつけながら歩く癖がつきました。
車からの煙草の吸殻のポイ捨ても多いです。
でも、タバコと犬のフンならまだマシらしい。
ラオスで会ったフランス人が、「昔のパリでは、人のおしっこやうんちが落ちていたからね」なんて言っていた。
ボクはこの時に初めて知ったけど、17、8世紀のパリではそこらじゅうに人の糞尿が落ちていた。
「パリでは、建物の上の階からうんちを投げ捨てることもあったよ。タバコと犬のフンぐらいならまだマシだ」
「そうそう、フランス人はだいぶ進歩したんだ」
そんなことを言って笑っている。
その一方で、ボクのなかで「花の都パリ」が音を立てて崩れていった。
でもこれはパリだけではない。
他のヨーロッパの都市も同じような状況だった。
19世紀ごろのロンドンのパリでは、まだ下水道が普及していなかった。
だから、オマルのような便器に排せつ行為をする。
おしっこやうんちが便器にたまったら、どうするのか?
決められた場所や近くの川に捨てていた。
まあ、これは分かる。
でもなかには、2階から汚物を外に投げ捨てる人たちもいた。
だから運の悪い歩行者は、その直撃弾をあびていた。
司馬遼太郎の「街道を行く」にそんな内容がある。
このへんのことは、循環社会―江戸時代を見習おうをご覧あれ。
便器にたまった汚物を捨てるのは夕方が多かったらしい。
だから日が沈むころのパリは、汚物と悪臭に満たされる。
「パリのトイレの歴史」から。
パリに夕闇が迫るころになると、便器の中身が通りに投げ捨てられ、自然的欲求を我慢できない多くの人々は通りの隅で用を足しました。パリ市内で悪臭を発しない場所はなく、また安全に歩くことができる場所もありませんでした。交差点や教会の周囲、繁華な通りは恐ろしいことにパリジャンたちの糞便にまみれていました。
チャイナボカンではバキュームカーが爆発している。
夕方のパリはその時の惨状に近いと思う。
「ヴェルサイユ宮殿にさえ便器が1つしかなかった」と書いてあるとおり、17世紀のパリの王宮や宮殿には便器がなかったらしい(これには異説もある)。
今では想像できないけど、ルーブルやフォンテーヌブローというすばらしい宮殿でも、汚物による悪臭がただよっていたという。
パリの街は汚臭に満ちている。
こんな状況にガマンできなかった一人の市民が声を上げる。
「公衆トイレを設置しよう」
公衆トイレがあれば、パリは汚物から解放される。
それだけではなくて、ペストを防ぐことにも役立つ。
公衆トイレの使用料は有料にして、そのお金をトイレの維持費に使う。
だけど、貧しい人は無料で使うことができるようにする。
あるパリ市民がそんな請願書を作ったけれど、それが採用されることはなかった。
くわしくはこの記事を見てください↓
話を21世紀の中国に戻す。
「冷蔵庫が空から降って来る」というのは日本では考えられないけど、中国ならあるのかもしれない。
考えてみたら、そんな自分勝手なことをするのは「中国人らしいかも」と思う。
それ以上に、「中国人らしいな」と感じたのはこれ。
これまでのところ、上層階に住む住人は誰一人として「わが家の洗濯機」と認めていないという。
中国の人たちは、自分のミスを「絶対に」というぐらい認めようとしないらしい。
そのことで、中国人と働いていた日本人の友人がまいっていた。
でもひょっとしたら、「自分のミスを認めようとしない」というのはフランス人も同じかもしれない。
ラオスで会ったフランス人は地方の出身で、パリについてこんなも言っていた。
「パリには、自己中心的で冷たいヤツが多いんだよ。だからオレはパリが好きじゃない」
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