英国人女性の話 みかんとオレンジの違い・幕末の日英・大英帝国の闇

いま日本とイギリスの関係は好調だ。
先月、スターマー首相が来日して、東京の総理大臣官邸で高市首相と会談をおこなった。両首脳はじっくり話し合い、スターマー首相が高市首相をイギリスに招待したという。日英関係は過去数十年の中でも、現在が「最も強固だ」とスターマー氏は強調した。

さて、昨年12月、日本に5年以上住んでいるイギリス人女性のシャーロットと、ファミレスで日英雑談を話をしたから、これからその内容をお届けしよう。
なお、彼女は現在30代なのだけど、以下、『ごちうさ』風に「シャロ」と呼ぶことにする。

目次

みかんとオレンジの違い

ーー最近は本格的に寒くなってきたけど、シャロは日本の冬で楽しみなことって何かある?

シャロ:みかんがおいしい季節になったよね。みかん大好き。

ーーもうイギリス人というより静岡県民だな。静岡は「みかん県」で、普通温州みかんなら収穫量と栽培面積は日本一なんだ。温州みかん全体でも、全国ランキングのベスト3位に入っている。

シャロ:寒くて外へ出たくないから、暖房の効いた部屋の中でソファに座って、ミカンを食べながら映画を見るだけで幸せ。

ーーソファがコタツだったら、まさに冬の光景だ。おばあちゃんとネコがいたら、完全に日本の冬の定義を満たしている。そういや、みかんとオレンジって違うの?

シャロ:それは違うよ。オレンジは皮が厚くて硬いから、ナイフを使ってむくっていうイメージ。みかんは皮が柔らかいから、手でむくことができる。味で言うなら、オレンジは酸っぱくみかんは甘い。

ーーいま調べてみたら、オレンジの原産地はインドらしい。それが陸路でイスラム教徒を通じて、10世紀にはヨーロッパへ伝わった。

シャロ:ほ〜。

ーー日本では、大昔に中国からミカンが伝わって栽培されていたけど、オレンジはなかった。明治時代に欧米から導入されて、日本でオレンジが広がったんだって。

日本のゆず、世界へ

シャロ:柑橘系つながりで言うなら、わたしは日本の「ゆず」も好き。冬に飲む甘いゆず茶は最高だよね。

ーーシャロもか。日本で初めてゆず茶を飲んで、気に入ったという外国人はよくいる。ゆずって英語で何て言うの?

シャロ:「Yuzu」。あれはもともと欧米にないフルーツで、日本から伝わったから、そのまま日本語が使われていると思う。

ーーゆずは、同じシトラス系のライムやレモンとどう違う?

シャロ:酸味は「ライム<ゆず<レモン」の順で、ゆずの独特の香りが最近の欧米で受けている。直接食べるんじゃなくて、風味を豊かにするために使われることが多いかな。

ーー柿は? ドイツで柿は「カキ」って呼ばれていると聞いた。イギリスでも柿は日本語が使われてる?

シャロ:柿は「シャロンフルーツ」って言う。「カキ」は聞いたことないな〜。といっても、日本にずっといるから、最近のイギリス事情はよく分からない。

【もう世界語】ドイツ人やブラジル人が柿を“カキ”と呼ぶ理由

 

ロンドンのスーパーで売っていた「サツマ」

「サツマ」の正体

ーーイギリスでみかんは「サツマ」って言われてるよね?

シャロ:そうだけど、それが何か?

ーースイートポテトって日本語で「サツマイモ」って言うじゃん? あれは同じ「サツマ」って知ってた?

シャロ:そうなの? それは初耳。

ーー「サツマ」は英語の響きじゃないと思うんだけど、今まで違和感を感じたことはなかった?

シャロ:子供のころから、「SATUMA」だったから、由来を気にしたことはなかった。

ーーサツマは鹿児島の昔の名前で、19世紀後半にイギリスと戦争をした(薩英戦争)。それがきっかけで、薩摩藩からイギリスへ温州みかんが送られて、「SATUMA」と呼ばれるようになったと思っている。

シャロ:へ〜、鹿児島には行ったことがあるけど、そんな歴史秘話があったとは。っていうか、薩摩とイギリスは戦争をしたのに仲良くなったの?

ーー戦争の賠償について話し合っているうちに、お互いに相手を利用したほうが「得」だと考えて、結果的に友好関係を結んだらしい。

ーー利益を優先して立場を変えるのは、たしかにイギリス人っぽいわね。

幕末の「死の商人」グラバーと大英帝国の繁栄

ーーグラバーってイギリス人がまさにそんな感じだった。グラバーって知ってる?

シャロ:バカにしてる? あたしバカにされてる? あなたが正しく知ってるかとうか確認するから、説明して。

ーーグラバーは幕末に活躍した「死の商人」。彼は薩摩・長州藩と江戸幕府に銃などを売っていた。戊辰戦争で両方の陣営がグラバーの武器を使って戦った。彼は戦争を激化させて大儲けをしたわけだ。

シャロ:えっ!そんなひどいことをしてたの!なんて驚くことじゃないわね。あの時代、大英帝国は世界中で悪いことをして、巨額の利益を得て繁栄していたのは有名なことだから。

ーー実際、19世紀のイギリスはひどかったよね。インドでは大砲の口に人間を縛り付けたままぶっ放して、肉片に変えたし、南アフリカでは強制収容所を発明して、現地民をそこへぶち込んだし。後にナチスがそれを参考にして、アウシュヴィッツ絶滅収容所を建設した。

【強制収容所】イギリスが“発明”して、ナチスが“発展”させた

英国紳士のウラの顔 1857年のインド大反乱でイギリス軍がした蛮行

シャロ:日本も第二次世界大戦では、あちこちで悪いことをやったよね? 善行しかしてない国なんてあるわけない。大切なのは、過去の悪事を否定しないことと、今それを繰り返さないことでしょ。

ーーそれは開き直りでは…。でも、自分が生まれる前の出来事に、罪悪感を感じる必要はないのは確か。それに、ツラの皮の厚さはみかんよりも、オレンジのほうが生きやすい。

シャロ:それは心の中で言ってくれないかな。

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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