いま世界中の関心が新型コロナウイルスに集中している。
特に日中韓などの東アジアでは、これ以外のことは「その他」でまとめていいほどこの話題で持ちきりだ。
このウイルスに感染した人やその疑いのある人は隔離施設や特別な対応がとれる所に送られて、いまはそこで過ごしている。
感染症ならやむを得ないけど、人種が理由となってこういう措置をすると人類的な犯罪になる。
太平洋戦争中、国内にいた日本人移民や日系人を「敵性外国人」とみなしてアメリカ政府が強制収容所にぶち込んだことは、国家がした人種差別的対応だったことから、アメリカ政府はのちに公式な謝罪と賠償を行った。
くわしいことはここを。
ちなみにこの措置に決定的な役割をはたしたフランクリン・ルーズベルト大統領は異常なほど反日感情の強い人物だったから、“個人的憎悪”もこの背後にあったはず。
日系アメリカ人の強制退去を伝えるビラ(サンフランシスコ)
日本人と日系人が入れられた収容所のひとつ、アマチ強制収容所
収容所の畑で働かされる日系人
国家が強制力をもって特定の人間を隔離・収容する強制収容所として、世界で最も有名なのはナチス=ドイツがユダヤ人の抹殺(ホロコースト)を目的につくったアウシュヴィッツ強制収容所だ。
ふつうの強制収容所は労働を目的としたものだけど、ナチスの場合は違う。
それで「絶滅収容所」という言葉がつくられた。
ホロコーストを目的として、ナチス・ドイツが第二次世界大戦中に設立した強制収容所の一種である。絶滅収容所は大戦中に絶滅政策の総仕上げとして建てられた。
ある民族を計画的に絶滅させるという考え方はあまりに異常で、戦後はこの発想が罪に問われた。
「国家もしくは集団によって一般の国民に対してなされた謀殺、絶滅を目的とした大量殺人、奴隷化、追放その他の非人道的行為」と規定されるもので、くわしいことは下で確認されたし。
日本も戦後、いろんな戦争犯罪を裁かれたけど、それは行為に対するもので思想ではなかった。
日本人はナチスのような人種差別的な考え方を持っていなかったから。
*これからの写真は絶滅収容所のものだからそのつもりで。
解放にきたアメリカ軍を見てよろこぶダッハウ強制収容所の囚人
解放直後、やせ衰えたマウトハウゼン付属収容所の囚人
解放されたときには死体となっていた人たち(ブーヘンヴァルト収容所)
むかしボクはこうした強制収容所はナチス=ドイツの“発明”と思っていたけど、前に大学で歴史を専攻したアメリカ人から「ちげーよ。あれはイギリス人だ」と指摘された。
それは初耳で「え?」とおもったけど、作家で慶応大学教授の福田和也氏も「じつはナチスの強制収容所というのは、このボーア戦争の収容所をヒントに作られています(新・世界地図 光文社)」と書いている。
アウシュヴィッツ収容所の生みの親といえるヒトラーも、「強制収容所の発明者はドイツ人ではない。イギリス人だ。彼らはこの種の方法で諸民族を骨抜きにできると思っている」と話していた。
絶滅収容所はナチスの発想だけど、その元となる強制収容所はイギリスが作ったものだった。
「ローマは一日にして成らず」で、ナチスの巨悪にもそれまでの“積み重ね”がある。
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米国人がそれを言うかぁ。
英国人によるボーア戦争収容所も古いですが、それよりも、米国で行われた原住民(インディアン)に対する追い出し、圧迫、時には虐殺、そして居留地への追い込み、さらには強制収容所送りといった一連の迫害の方が時代的には古いのじゃないですか? その伝統があったからこそ、アフリカから黒人奴隷を導入して米国内で奴隷制度を運用するという発想が受け入れられたんでしょ。
これに限らず、米国人による英国人に対する話はバイアスかかった見方が結構あるので、注意したほうがいいですよ。
先住民に対するものは内容が違いますから別です。