【世界語】ドイツ人やブラジル人が柿を「カキ」と呼ぶ理由

 

「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日

そんな短歌を作ったのが俵万智さんで、

「柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺」

と、1895年10月26日に正岡子規が詠んだから、きょうは「柿の日」という記念日。

このまえブラジル人やドイツ人と京都旅行に出かけて、嵯峨野をぶらぶら歩いていると、枝にいくつも大きな柿が実っていて、「いつでも召し上がれ」とアピールしていた。
日本人にとって柿は秋の味覚や季語で、もう秋の象徴そのもの。
そんな柿をドイツ語でなんて言うのか聞くと、「ああ、あれ?“カキ(Kaki)”だよ。ドイツでもスーパーで売ってる」と言う。

あ、そうだった…。前に別のドイツ人に同じことを聞いて、同じ答えが返ってきたっけ。
柿が認知症に効くなら、鬼のように食べるのだけど。
ちなみにドイツ人はカボチャをこう呼ぶのだ。

ドイツ人がカボチャを「ホッカイドー」と呼ぶわけ

で、今度はブラジル人に柿をなんて言うのか尋ねたら、「ブラジルも同じです。柿はポルトガル語でカキ(Caqui)と言います」とのこと。

え? 南米とヨーロッパで同じ名前って、日本の柿って実はめっちゃワールドワイド?

 

日本で柿が食べられた歴史は法隆寺よりもずっとずっ~と古くて、縄文・弥生時代の遺跡から柿の種が見つかっている。
もちろんピーナッツは無い。
「カキ」の名称は江戸時代の『和訓栞』(わくんしおり)』に、

「柿は実の赤きより名を得たるにや、葉もまた紅葉す」

と書いてあって、実が赤くなることから「カキ」と呼ばれるようになったという説がある。

中国から伝わったという柿は奈良時代に日本各地で栽培されるようになったものの、それは渋柿で干し柿などにして食べていた。
鎌倉時代になると、なぜか渋柿の突然変異で甘柿が爆誕。
それで甘柿は日本原産の果物とされて、日本人の秋の味覚として現在にいたる。

そんなことが全農のWEBマガジン「エプロン」の記事にある。

日本の秋の味覚【柿】

 

この日本の固有種の柿(甘柿)が江戸・明治時代に欧米へ伝わった。

日本から1789年にヨーロッパへ、1870年に北アメリカへ伝わったことから、学名にも和名の発音と同じ kaki の名が使われている。

カキノキ 

 

そんなことで柿の学名には「Diospyros kaki」と日本語が採用されているのだ。
ドイツやブラジルで柿を「カキ」と呼ぶのも、これが理由になっているはず。
ただ、おいしくてヘルシーな柿が世界中に広がっても、「柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺」のしみじみとした秋の情感を外国人が理解するのはきっと無理。

 

 

【食と偏見】欧米での中国・韓国・日本人への差別行為 

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  • >日本で柿が食べられた歴史は…縄文・弥生時代の遺跡から柿の種が見つかっている ➔ 中国から伝わったという柿は奈良時代に日本各地で栽培…
    縄文いぜんに

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。