きょねんから新型コロナウイルスの脅威が全世界に広がり、これを「中国のせい」と考える人が増えたせいで、欧米ではアジア人への人種差別行為が深刻な問題になっている。
英BBCのニュース(2021年5月4日)
「お前が中国ウイルスだ」 イギリスでも増えたアジア系へのヘイト
NHKのニュース(2021年5月6日)
アメリカ アジア系住民へのヘイトクライム 去年の2.6倍に
アメリカでは日系人やフィリピン系の住民が、街でいきなり殴られるようなことがあったし、そんな直接的・暴力的な行為ではなくて、”陰湿な差別行為”なら数え切れないほどあるはずだ。
今月にはカリフォルニア州で中国系の人がピザを買ったら、その箱には「Chinc」という文字が書いてあった。
中国人を侮辱する「チンク(Chink)」と一文字ちがうだけで同じ発音だから、「Chinc」が侮辱表現であることは間違いない。
イギリスでは韓国人への人種差別行為が発覚し8人が逮捕された。
朝鮮日報の記事(2021/05/22)
「イヌでも食っていろ」ソン・フンミンへの人種差別的書き込みで8人逮捕
イギリスで活躍しているサッカーのソン・フンミン選手の試合中の行為(大げさに転がってファウルを訴えた)に怒った人たちが、ソン選手のSNSにアンチコメントを書き込む。
「ふざけんな!恥を知れ!」ぐらいならよかった。
でも、「帰ってコウモリとイヌでも食っていろ」、「米を食う詐欺師」は人種差別発言で一発アウト、20~32歳の人物8人がロンドン警察に逮捕された。
これにもコロナの感染拡大で、「反アジア人感情」が高まっていることが背景にあるだろう。
ただ、「イヌでも食っていろ」が人種差別発言というのは分かるけど、米もダメなのか?というのが個人的な感想。
「詐欺師」は人種差別とは関係ないだろう。
ということでこのまえイギリス人に聞いてみたら、特定の食べ物と人種を結びつけるのは基本的に差別行為になるという。
もちろん「米」より「犬」のほうが悪質で差別意識も強い。
今回のケースもふだんなら見逃されたかもしれないが、最近はアジア人への蔑視や差別感情が高まっているから、「米を食う詐欺師」も一線を越えた発言として警察に捕まったのでは?とそのイギリス人は言う。
先週ドイツ人と話す機会があったから、彼にも聞いてみた。
すると、「犬でも食ってろ」はドイツでも一発アウトで、「米でも食ってろ」と言うのも人種差別行為ではあるものの、逮捕されるかどうかは微妙。
ことし3月、ドイツのサッカーチームに所属している室屋 成(むろや せい)選手が試合中、チャンスを決められなかったとき、解説者のダールマン氏がこう言った。
「これが決まっていれば、彼のハノーファーでの初ゴールになるはずでした。彼は自身の最後のゴールをスシの国で決めています」
「スシの国」はもちろん日本のこと。
この発言に対して「人種差別は容認できない」といった書き込みが殺到し、テレビ局はダールマン氏を降板させた。
このとき日本の反応(ネット)を見たら、「『スシの国』が、仕事を失うほどの人種差別になるのか?」と驚く人ばかりで、この処分は当然という人は皆無。
むしろ「ダールマンかわいそう」が大勢。
これがダメなら、差別意識なしでドイツを「ビールの国」、「ソーセージの国」と表現することもアウトになる。
三重を「うまし国」と言っても捕まる。いやしらんけど。
でも彼は、やっぱり少なくともドイツでは、特定の食べ物と国民を結びつける発想は偏見で、差別とみなされると言う。
「イタリア人はピザとパスタばかり食べる」とか「フランス人はチーズを食べる人たち」とドイツの政治家が公の場で発言したら、その議員の辞職は避けられないという。「犬でも食ってろ」は論外。
ナチスの蛮行への反省から、ドイツでは人種差別に対して特に敏感だとか。
日本人だと、どうもこのへんの”差別感覚”が薄い気がする。
最近、ある日本人の音楽グループが「インド人はカレーばかり食べている」といった内容をMVで表現したところ、インド人を激怒怒させてちょっとした”国際問題”になった。
非難を浴びたグループはすぐに謝罪し動画を削除したけど、失ったものは大きい。
日本にいる日本人が相手ならいい。
でも、欧米人と話をする機会がある人なら、特定の食と国民を結びつけるのは、ダメとは言わないけど配慮は必要だろう。
「スシの国」と言ったら仕事を失い、「米を食う詐欺師」と書き込んだら人種差別行為として警察に捕まった事例があるのだから。
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> 日本人だと、どうもこのへんの”差別感覚”が薄い気がする。
> 「スシの国」と言ったら仕事を失い、「米を食う詐欺師」と書き込んだら人種差別行為として警察に捕まった事例があるのだから。
なぜ、欧米では食べ物を特定の民族と結びつけた発言が差別になるのか?
わはははは、それこそ、欧米人達に差別意識があるからですよ。彼ら自身、「食べ物を特定民族と結びつける理由は、差別意識の現れだから」ということを理解しているからこそ、差別になるのです。日本人にはそんな「差別感覚」がないですから、理解が難しいのです。
最近では「社会には多様性が必要だ」なんて、もっともらしいことを言ってますが
この手の差別用語(?)で一番に思い出すのが「お箸の国の人だもの」