2019年の9月まで日本の大学で学んでいて、いまは母国にいるドイツ人の知人がいる。
「日本語を忘れたくないですっ」と言うので、このまえスカイプで彼と話をしていたときに夕食のメニューの話題になって、「きのうはカボチャの天ぷらを作った」と言う。
最近はドイツで日本料理店が増えていると聞いたから、天ぷらも知られているかたずねたら、ドイツで日本料理といえばSUSHIがとびぬけて有名で、天ぷらを知っている人はほとんどいないだろうとのこと。
もともと日本に米粉などを衣にした揚げ物はあったけど、16世紀にヨーロッパ人の宣教師が小麦粉を使った揚げ物を日本に伝えのが天ぷらのはじまりで、「天ぷら」という言葉はポルトガル語からきたという説がある。
天ぷらが南蛮料理だったことはまず間違いないなく、この語源は一説によるとポルトガル語の「テンポーラ(temporas)」。
キリスト教のカトリックでは、肉食を禁じる斎日(テンポーラ)に野菜や魚に小麦粉をつけて揚げた料理を食べていたという。
くわしいことは「天ぷら・語源」を参照のこと。
そんなことをドイツ人に話すと、「え!あれはヨーロッパの料理だったの?ぜんぜん知らなかった」とおどろく。
まぁ日本人だって知らない人がいるし、そりゃそうだろうなあと思って話を聞いていると、「ドイツ人はカボチャのことをホッカイドーと呼ぶ」と彼が言う。
そうそう、ホッカイドーホッカイドー。って北海道?
なんでドイツでカボチャがそうなったんだ?
彼もホッカイドーと呼ばれる理由は知らない。
前からドイツのスーパーでは「Hokkaido Kürbis」(キュルビスはカボチャ)というカボチャが売られていたから、彼はそれをカボチャの名称としておぼえて、あとから日本に北海道という地名があることを知って驚いたという。
ドイツのスーパーにある「Hokkaido Kürbis」
なんでドイツに北海道があるんだ?
このカボチャを持ち込んだのはどいつだ?
調べてみたら、1990年代に北海道のカボチャをドイツに持ち込んだ日本人がいて、その品種のカボチャが「おいしい!」とドイツ人のハートをぶち抜いて、いまではすっかり定番の野菜となっているらしい。
だからこれは日本からの輸入品ではなくて、ドイツの大地で育った日本カボチャ。
赤い見た目からして、ホッカイドーカボチャの品種は金沢の「打木赤皮栗カボチャ」だろう。
日本で北海道といえばソフトクリームが有名
このカボチャは彼の住むブレーメン地方だけではなく、全国どこのスーパーにも置いてあるから、ドイツ人が「ホッカイドー」と聞けばふつうはカボチャを連想して、日本の北海道は知らない人が多いだろうと彼は言う。
ちなみにドイツ人はカボチャのスープが好きだから、ホッカイドーでスープをよく作るらしい。
個人的に「北海道スープ」と聞くと、あったかいクリームシチューが思い浮かぶけど。
ネットを見るとこのカボチャの人気はドイツ国外にも広がっていって、いまではスイスのスーパーでも「Hokkaido」という名称で売られている。
ひょっとしたらヨーロッパでの知名度で、北海道はホッカイドーにかなわないかも。
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日本の「かぼちゃ」という名称自体、ポルトガル語由来で通説としては「カンボジア」を意味する Camboja (カンボジャ)の転訛であるとのことです(Wikipediaより)。日本へ来た「カンボジア」が、北海道からドイツへ渡って「ホッカイドー」になるなんて・・・。面白いものですね。
オリジナルは、いったい何と呼ばれていたんでしょうか?
さらに日本でカボチャは「南京」とも呼ばれていました。
それを見て台湾人が驚いていましたよ。