日本は世界的にも雨がたくさん降る国で、大・小いろいろな河や川が全国各地に流れている。
でも、川の流れと人の意思はまったく関係ない。
自然が人に忖度してくれるわけがなく、川は魚や涼などのめぐみんと爆裂魔法を日本人に与えてくれる(いやいや)一方で、洪水がおきれば数十人の命を奪うこともある。
古代から川と付き合ってきた日本人には、いろいろな悩みがあったけどコレはなかった。
朝日新聞の社説(2020年7月31日)
ナイル川ダム 平和的な利水の調整を
ギリシャの歴史家ヘロドトスが「エジプトはナイルのたまもの」と呼んだところで、下手したら戦争に発展しかねないような対立がおきている。
ナイル川の上流にエチオピア、下流にエジプトがあることを頭に入れておこう。
争いのきっかけは、エチオピアが9年前に巨大ダムの建設を始めたこと。
このダムの総貯水量は琵琶湖の2.7倍(約740億立方メートル)で、発電能力は6000メガワットとアフリカ最大。
世界でもかなり貧しい国とされるエチオピアでは、電気を使うことができるのは人口の半数以下。
そんなことから、エチオピア政府は4千億円以上を使い、国家の威信をかけてダム建設を始めた。
この国家事業に「コラコラ」と異を唱えたのがエジプト。
「ナイルのたまもの」であるエジプトは水資源のほぼ全てをこの川に頼っていて、例えば流量が2%減れば100万人の農民が収入を失うという試算もあるのだ。
だからナイル川の上流にアフリカ最大のダムができるというのは、エジプトにとっては国家の存亡にかかわる重大事で、いまかなり強い危機感を感じている。
軍の力を利用して現在の地位にいるシーシ大統領も、国民に「弱い指導者」というヘタレなイメージを持たせるわけにはないかない。
エジプトとエチオピア(それと中間のスーダン)の間で話し合いは続いているものの、最終的合意のめどが立っていないのが現状。
それどころかエチオピアのアビー首相はめちゃくちゃ強気だ。
アビー氏は昨秋に「戦争になれば何百万人も動員できる」と発言した。エジプトの外相は国連で、一方的な貯水開始は「紛争を引き起こす」と警告した。ナショナリズムをあおる言葉の応酬で、さらに対立を深める悪循環に陥ってはならない。
アビー氏は2019年にノーベル平和賞を受賞したのだけど、平気でこんなことを言う。
複数の国を流れる国際河川(ドナウ川、メコン川、ガンジス川など)では、上流にある国が自国の利益のために行動すると、下流の国が「ふざけんな!」と抗議してこんなトラブルがおこることもある。
こういうご近所トラブルは日本には無縁だから(黄砂で九州が大変という話は聞く)、その点は四方を海にかこまれている日本はとってもラッキーマン。
「人類にとって貴重な資源を地域全体で共有し、生かす道を探ることが肝要だ」と朝日新聞は言うけど、エジプトやエチオピアにそれがどれだけ通じるか。
水をめぐる争いは武力衝突の原因にもなり得る。
こんな国際河川ではなくても、韓国のように、国が大陸の一部の半島にあるとこんなこともおこる。
中央日報の記事(2020.08.03)
中国南部地域にもたらされた長期大雨で、揚子江(長江)流出量が急激に増えて、済州沿岸への低塩分水流入が予想されながら関係当局は緊張している。
「中国・揚子江の雨水が押し寄せる」 韓国・済州が非常事態…塩分・水温をリアルタイム観測
記録的な豪雨で大増水した長江の水が河口に流れ込んだ結果、その「向かい」に位置している韓国にこれから深刻な影響が出てきそうだ。
大量の川水が入り込んで海水の塩分濃度が減少しているため、水産生物が最悪のばあい死んでしまうという。
実際、1996年には済州沿岸に塩分濃度の低い水が大量流入し、サザエやアワビなど約184トンが斃死(えし)して数億円の被害が発生した。
でも今回のばあいはダム建設と違って、豪雨のせいだから仕方ない。
そのせいか中国はまるで気にしていない。
日本を島国につくってくれたイザナギとイザナミには感謝感謝ですね。
日本列島を制作中のイザナギ・イザナミの二神。
くわしいことは国生みをクリック。
エジプト在住日本人の怒りの素、アラブ人の性格「IBM」とは?
>記録的な豪雨で大増水した長江の水が河口に流れ込んだ結果、その「向かい」に位置している韓国にこれから深刻な影響が出てきそうだ。
>大量の川水が入り込んで海水の塩分濃度が減少しているため、水産生物が最悪のばあい死んでしまうという。
???
長江(揚子江)って、上海から東シナ海へ注いでいるんですよね。河口からの位置関係で言うと、韓国も、日本(九州)も、あまり変わらないような気がするのですが。地図を見れば分かります。
海産物が全然取れなくなったら、中国の漁民だって困るでしょ? なのにどうして韓国だけが大騒ぎ?
南北に細長い島国ですから、中央山脈に雨が降っても短い川を経由してすぐに海へ注いでしまう、それが日本です。島国なので隣国と陸続きしているわけでも、それほど長い川があるわけではないですが。
でも昔は、日本でも、隣接する村落との間で「水争い」ってありましたよ。農業にとって利水は非常に大切ですからね。川から水路へ水を引く「水門」を開くかどうかで、死傷者が出るほどの争いになったこともあります。
それから集中豪雨の時。昔は、堤防を高くするしか水害を防ぐ手段がなかった。なので、互いに、向こう岸の村よりも堤防を高くしようと競争が起きました。大雨が降って堤防が切れる恐れが出てくると、向こう岸に渡って相手の村の堤防をわざと決壊させようとするエゴイストもいたのです。
今だったら間違いなく犯罪行為ですけど。
海流の影響はどうでしょう?