8月は日本人にとっては平和月間だ。
1945年(昭和20年)8月6日に広島、9日は長崎に原子爆弾が投下されて数十万人が犠牲となり、そして15日に日本がアメリカに降伏して太平洋戦争は終わった。
だから日本人は8月になると、あの戦争についてよく考える。
原爆投下について外国人はどう考えているのか?
そんなことが知りたくなったから、日本に関心のある外国人が集まるSNSグループにこのデリケートな質問をしてみたところ、外国人から山のようなコメントがきた。
でも、最も多かったのはやっぱりアメリカ人。
なので前回はアメリカ人で最も多かった見方、「戦争を早く終わらせるために、アメリカは原子爆弾を落とした」という説を紹介した。
以前見たアメリカの小学生が学ぶ歴史教科書でも同じことが書いてあったから、これがアメリカ人の一般的な認識だろう。
この見方に沿って、日本がなかなか降伏しなかったから、当時アメリカは東京に3発目の原子爆弾を落とそうとしたとコメントしたアメリカもいた。
アメリカ人:they didn’t already surrender. They wouldn’t concede defeat until after the second bomb and were told the next one was headed for Tokyo. Then they surrendered. It was a heinous act but its how it happened.
これは初耳。
では今回は、2番目に多かったアメリカ人の見方を紹介しようと思う。
それは「目には目を、歯には歯を」のハンムラビ法典のような考え方で、日本が真珠湾の米軍基地を攻撃したから、アメリカは広島や長崎で原子爆弾を投下したというシンプルな理由。
・When we go back to the history Japan bombarded pearl harbor with their kamikazee planes so America just fought back.
歴史を見れば、日本はカミカゼで真珠湾を爆撃した。だからアメリカはやり返した。
*カミカゼは間違い。
これはイギリス人のコメント。
America remembered Pearl Harbour and they wanted their revenge 🙁
They said no country would threaten the USA ever again, but they were wrong.
アメリカは真珠湾を覚えていて、その復讐をしたかった。
彼らは二度とアメリカを脅かす国はないと言っていたが、それは間違っていた。
・I believe the Japanese general said it best after they attacked pearl harbor, “I fear we have awoke a sleeping giant” and they did.
真珠湾を攻撃したあと日本の将軍が、「我々は眠っている巨人を目覚めさせたのではないかと心配している」と最高の言葉を言ったと信じている。
これにイギリス人がこう返信。
Sadly yes, they could not compete with how fast a huge country like the USA can produce ships and planes and people of course.
悲しいけどその通りだ。
アメリカのような大国が船や飛行機、人員を作り出すスピードに日本は太刀打ちできなかった。
このアメリカ人は、原爆投下は日本がアメリカを戦争に巻き込んだ結果と主張する。
Japan. Bombed pearl harbor in order to take the central Pacific, in retaliation, The us bombed Nagasaki and Hiroshima, a lot of people in my country blame Japan for bringing us into a war that was not ours to be in, which ended in result that was proven catastrophic
日本は太平洋を制するために真珠湾を爆撃した。
その報復としてアメリカは長崎と広島に爆撃した。
アメリカでは「破滅的な結果に終わる戦争に、我々を引きずり込んだ」と日本を非難する人がたくさんいる。
でも「Bombed(爆撃した)」といっても、通常兵器と核兵器では別次元だ。
それに真珠湾攻撃で日本軍は米軍基地を爆撃したけど、原子爆弾は都市に住む一般市民をターゲットにした。この点でも両者はまったく違う。
戦争で相手兵士を殺害するのは、悲しいけどルールの範囲内。でも、数十万の市民の命を奪うのはアウト。
「目には目を歯には歯を」というのは、人が他人を傷つけたことに対する罰は同程度のものでないといけないということだから、真珠湾攻撃のお返しが原爆投下ではまったく釣り合いが取れていない。
表現いえば「江戸の敵を長崎で討つ」に近い。
先に仕掛けたのは日本だから、「自分たちは戦争に巻き込まれた」というアメリカ人の気持ちは分からなくもない。
でも原爆投下について、アメリカを“被害者”の立場に置こうとすることには違和感を感じる。
これはひょっとしたら罪の意識の裏返しか。
おまけ
下のアメリカ人は、当時アメリカは日本軍による真珠湾攻撃を前もって知っていたと言う。
Pearl Harbor was attacked only because we were cutting off their oil supplies . And we knew the attack was coming days ahead of time .
Look at the bones of station H on YouTube.
対してイギリス人がこう言う。
Our Prime Minister Churchill also knew of the attack on Pearl Harbour but did not warn them, we needed the USA on our side in the War.
チャーチル首相もそれを知っていた。
でもイギリスは戦争の同盟国としてアメリカを必要としていたから、わざと知らせなかった。
この「アメリカはじつは真珠湾攻撃を知っていた説」は日本でもたまに見る。
こうなると、アメリカが日本を戦争に引きずり込んだことになる。
でも真実は歴史の闇の中。
こちらの記事もどうですか?
>日本がなかなか降伏しなかったから、当時アメリカは東京に3発目の原子爆弾を落とそうとしたとコメントしたアメリカもいた。(以下、途中省略)これは初耳。
そうですか?
その話は私もこれまで何度か耳にしたことがあるのですが。ちょっと根拠を探してみます。
>でも「Bombed(爆撃した)」といっても、通常兵器と核兵器では別次元だ。
核兵器だけを特別扱いするというのは、そういうことですよ。
>それに真珠湾攻撃で日本軍は米軍基地を爆撃したけど、原子爆弾は都市に住む一般市民をターゲットにした。この点でも両者はまったく違う。
>戦争で相手兵士を殺害するのは、悲しいけどルールの範囲内。でも、数十万の市民の命を奪うのはアウト。
日本軍が開戦時に真珠湾の米軍基地を爆撃したのは、別に「人道的な戦争のルールにのっとって」そうした訳じゃありません。
宣戦布告もせずに(実際には間に合わなかったのですが)、真珠湾を先制攻撃で不意打ちに爆撃して、軍人だけでなく民間人にも被害を及ぼした(現在のような精密爆撃技術があるじゃない)
また戦争末期の日本は、軍事基地だけが市民の生活の場から離れて存在していたのではないから、敵の攻撃に市民が巻き込まれるのも当然です。そんなことを非難する余裕があったらさっさと降伏すべきだったと、私は思います。日本にはそれだけの余裕もなかったし、命がけで「敵に降伏すべきだ」と主張する人もほとんどいなかったのですから。これには、大本営発表だけを垂れ流していたメディアの責任が大きいと思う。
最近NHKで、戦時中に原爆を開発しようとしていた日本人研究者の話が出ていましたが、もしもそれが成功して日本が原爆を所有し、米国本土まで届く運搬手段を有していたら、おそらく、同じことを米国に対して行ったことでしょう。戦争とはそういうものです。「攻撃する側は一般市民を犠牲にするな」などという高度な技術を要する難しいルールを守って戦争しているのは、近代になってから、それこそ米国だけですよ。