きょう9月4日は「串の日」だ。
「苦死」だと外出する気になれないけど、この日には半額キャンペーンをやってる串カツ屋もあるから、「串こそ人生のよろこび」と思う人は近所の店をチェックしてみてください。
さて世界で最も有名な「串」といえば、やっぱりこれでしょ。
イタリア・ナヴォーナ広場に立つオベリスク
フランス・パリのコンコルド広場に立つオベリスク
アメリカの首都ワシントンD.Cのオベリスク
イギリス・ロンドンのオベリスク(通称クレオパトラの針)
欧米のあちこちにあるこのオベリスクとは、もともとは「串」という意味のギリシャ語(obeliskos)だった。
この巨大な塔の本家本元はエジプトで、古代エジプト人は太陽神信仰に基づくこの記念碑を神殿の入口に立てていた。
古代エジプトでオベリスクが立てられたころは、ピラミッド状の先端に金や銅の薄板が貼られ、太陽神のシンボルとして光輝いていたという。
王の名前や神への讃辞がヒエログリフで刻まれて、太陽神とファラオ(王)の権威の象徴とされたこの塔を当時のエジプト人は「テケン(保護・防御)」と呼んでいたらしい。
ちなみにやピラミッドとスフィンクスも語源はギリシア語で、エジプトを旅行中、カイロのタクシードライバーに「ピラミッドに行ってほしい」と言っても、「ピラミッドってなんだ?」とナチュラルに聞き返されて困った。
いまネットを見たら、エジプト人はピラミッドを「ハラム」と呼ぶようだ。
日本に本物のオベリスクはないけど、名前だけならちょくちょく聞く。
南アルプスの鳳凰三山(地蔵ヶ岳・観音ヶ岳・薬師ヶ岳)のひとつ、地蔵ヶ岳のてっぺんは巨大な岩場になっていて、オベリスクと呼ばれている。(上の写真がそれ)
『遊戯王』にはオベリスクという巨神兵モンスターがでてくるし、探したら横浜にもオベリスクがあった。
でも、これが「串」の意味であることを知ってる人はどれだけいるか。
ちなみに、パイプなどを組んでタワー状にしたガーデニング用品(バラなどの蔓性植物を絡ませる)もオベリスクと言われる。
古代エジプト人にとっては神や王の権威のシンボルで、人々があおぎ見る記念碑も、欧米人にとってはしょせんは巨大な串。
エジプトの地にやって来た欧米諸国は各地にあったオベリスクを次々と略奪して(きっとおみやげ感覚)、自国へ持って行って好き勝手に公園や広場に立ててしまった。
ロンドンへ運ぶための準備をする様子 (1877年)
エジプトのカルナック神殿にあるオベリスク
もうひとつのオベリスクはいまフランスのコンコルド広場に立っている。
日本のオベリスクは別として、欧米の各地にあるオベリスクはまさに侵略と支配の歴史を示すもので、エジプト人にとっては屈辱の碑でもある。
せめて日本にいる欧米人とエジプト人は、いっしょに串カツでも食べて仲良くしてほしい。
あ、でもイスラーム教徒に豚肉はダメか。
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