きょう9月9日の韓国の全国紙・中央日報(電子版)に、日本との関係改善を期待する記事が「これでもかっ」とばかりに載っている。
韓日関係は戦後最悪といわれるほど悪化して、それが続いて慣れてしまい、いまではもうそれがフツーの状態になっている。
でも、「嫌韓政治のリーダー」と韓国側が考えていた安倍首相が電撃的に辞任を発表したことで、現状打破の光が見えた韓国としては今後に注目するしかない。
「韓日関係改善、今年末の韓日中首脳会談が良い機会」という記事はそんな内容。
韓日のジャーナリストが両国関係について話し合ったこの企画は、そもそも韓国側が主催したもので、この記事の大きさは韓国人の関心の高さを示している。
いま日本の主要メディアを見たところ、これほど大きく扱っているところは見当たらない。というかこの出来事の記事も見つからなかった。
この時点でもう、関係改善に対する両国の“熱”の違いが伝わってくる。
記事の中身を見てみると、次の首相には菅房長官がなると想定したうえで、両国関係の展望についてそれぞれのジャーナリストが持論をのべている。
東京新聞の論説委員は、菅氏は『安倍氏のアバター(化身)』とも呼ばれているため、路線変更を期待するのは難しいと言う。
日本経済新聞の論説委員は「結局、徴用工問題は国際法を守るようにし、輸出規制も既存路線を維持するだろう」と、首相が変わってもいまのこう着状態は続くとみる。
朝日新聞の論説委員は、元徴用工訴訟で原告側が差し押さえている日本企業の資産を現金化すれば、関係はさらに悪化するだろうとブラックな未来を予測。
結局、「韓国が徴用工問題の解決意志を示さなければ、日本の首相が訪韓しない可能性もある」と読売新聞のソウル支局長が指摘するように、日本が納得できる具体策を韓国政府が提示しないと、日韓は先に進めないことを出席者は分かっているのだろう。同時に、文政権にその意思がないことも。
でも韓国側は違う。
韓国のジャーナリストも首相が交代したところで、いまの最悪の関係が一新されることはないと考えているけど、やっぱり安倍首相の退場には期待感が高まっている。
東亜日報と韓国日報の論説委員は「今年末に韓日中首脳会談が韓国で開かれれば両国関係改善の良い機会になるだろう」という意見を出し、中央日報の編集局長は「来年初め、東日本大震災から10年を迎え、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が訪日して東北地方を訪問すれば、韓日間の不信を解消するのに多いに役立つだろう」と言う。
新首相誕生後の日韓関係について、日本と韓国のジャーナリストの見方は基本的に「当面は変化なし」というものだけど、日本側の見通しは暗い一方、韓国側はけっこうポジティブで明るく、まるで韓国旗の陰陽(青が陰、赤が陽)のよう。
陰と陽は互いに接点はあるけど、根本的に違うから溶け合うことはない。
東京新聞・朝日新聞・毎日新聞は日本のメディアの中ではわりと韓国寄りで、日韓関係の改善のために日本政府に譲歩を求める意見をよく書いているけど、今回の討論の様子を見るとそれはなく、全体的に暗い見通しをしている。
日本との約束や合意を破ったうえで強気の姿勢をくずさない文政権に、いいかげん疲労感を感じているのかも。
それに対して韓国側は、「ことし中に韓日中首脳会談が開かれれば」「文大統領が訪日して東北地方を訪問すれば、韓日間の不信を解消するのに多いに役立つ」とまったく具体的な根拠のない希望を口にする。
朝鮮日報で韓国人の大学教授が言っていることも楽観的すぎて、現実感を感じる日本人はきっとレア。(2020/09/05)
相手がまごまごしているなら、主導権はこちら側にある。米中対決の時代、韓国は日本を抱擁すべきか、それとも突き放すべきか?
ポスト安倍の韓日関係、韓国が主導権を握ることができる
日本はいまこんな隣国を「放置」している。
こんな温度差を見る限り、こんご日韓関係は良くて現状維持、現金化をしたらそこで終了しそうだ。
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こういう希望的観測が氾濫するのは今の日本の雰囲気や世論を理解していないし、しようとも思っていないだけでなく、韓国人の政治観の顕れだとも思います。
政権交代、特に与党交代の度に前政権の高官や大統領、その親族を逮捕して前政権の政策をひっくり返すのが韓国政治の定番ですからね。
日本の事も国際社会の事も考えず、韓国国内だけの常識で考えているから、こういう的外れな予想(妄想?)が出てくるのでしょう。
韓国寄りの日本人も距離を置いているような気がします。
日本に譲歩を迫るやり方にはついていけないでしょう。