中国と台湾の主権という「地雷」。日本人の大小2つの失敗例

 

世界中の人が行き来する国際化時代のいま(コロナ期間はのぞく)、国の内外で日本人が外国人が付き合う機会は山ほどある。
そんなときに大事なことは、けっして地雷を踏まないこと。

例えば日本人が韓国人が一緒にいるとき、どちらかが慰安婦問題や徴用工問題なんかを持ち出すと、お互いの考え方が一致しているというレアケースでもなければ、呼吸が苦しくなるほど場が気まずくなって当たり前。

ボクもそんなことは分かっているつもりだったけど、中国人と台湾人といるときに地雷を踏んでしまったことがある。
中国人は台湾を自国の領土の一部と考えているけど、多くの台湾人はそれを否定し、台湾は中国とは別、または「独立」していると考えている。
特に台湾人の中に、「あなたとは違うんです。台湾人は中国人ではなく台湾人なのです」と主張する人がたくさんいるから、両者がいるところで「台湾問題」の話題はタブー。

日本やアメリカなど世界の多くの国や国連は台湾を「中国の一部」としているけど、個人レベルの認識だと千差万別だ。

くわしいことはこの記事を。

中国と台湾の関係を、わっかりやすく説明しますよ。

 

それぞれ中国語で会話ができるから、まえに同じ日本語学校に通っていて仲良しになったという中国人と台湾人がいた。
一緒にご飯を食べに行ったり旅行に行くけど、個別に話を聞くと、お互い主権問題を持ち出したことは一度もない。
それに触れたらいまの関係が終わってしまうか大ダメージを受けることは、お互いよく分かっていたから。

そんなことはボクも承知していて、この中国人と台湾人と一緒にいるときは絶対にこの話題を口にしないと決めていた。

でも、静岡のお寺に行ったときにこの地雷を踏んでしまう。

 

 

この清見寺の境内に入るときれいな梅の花が咲いていて、いぜん利用した台湾の中華航空が梅をシンボルマークにしていたのを思い出した。

 

 

「中国の国花は梅だったっけ?」と中国人に聞いたら、「いいえ、中国の国花はボタンと思います」と言う。
*中国の国花はいま選定中で、正確にいうと「ない」。

そうか中国はボタンか。
次に何気なく「台湾は?」と聞いたら「台湾の国花は梅です」と台湾人が言って、そのあとお互い黙ってしまって目を合わせなくなる。
2人の様子と空気の変化から、ボクが「台湾問題」というタブーに触れたことに気づいたけど、ときすでにおすし。
国花が違うというのは、中国人からすると「一つの中国」の原則に反することになる。
梅の話だけならいいけど、そこから国花の話題をしたら主権に触れるのも当然で、こうなる前にボクがストップするべきだった。

 

ボタンの花

 

さて、中国と台湾の主権問題でいま特大炎上中なのが、日本のVチューバーの「桐生ココ」と「赤井はあと」。
Vチューバー(バーチャルYouTuber)というのはコンピューで作成したキャラクター(アバター)で、2人はそのアイドルとして全世界に向けて番組を発信していた。
だから、炎上したのは正確にいうと運営会社か?

 

 

Vチューバーの「桐生ココ」と「赤井はあと」がさいきん番組内で、自分たちのチャンネル見ている国の割合を発表したときに「台湾」と言う。

台湾を国扱いしたことで中国人がこのVチューバーを「台湾独立反乱分子」とみなして激怒、抗議メールが殺到してさらに中国の配信サイト「bilibili」のアカウントがBANされたことで、会社側は謝罪して「赤井はあと」と「桐生ココ」の3週間の活動自粛を発表する。

これが桐生ココの謝罪文。

「公式から発表がありました通り、配信内に配慮に欠けた部分がありました。
申し訳ございません。
この度の事態をきちんと受け止め、より一層配信者として意識改善に努めていきます。

復帰した際には、また皆様に応援して頂けるような配信をしていきたいです。」

いちおう繰り返すけど、これは生身の人間ではなくてコンピューターで作られたアイドル。
これとは別で会社(カバー)はこんな謝罪文を公開した。

「COVER始终尊重中国主权和领土完整,尊重《中日联合声明》以及《中日和平友好条约》,坚决拥护一个中国原则。」

(カバーは常に中国の主権と領土の完全性を尊重し、日中共同宣言と日中平和友好条約を尊重し、「一つの中国」の原則を堅持する。)

するとどうなったか?
「台湾を中国の一部と公式に認めた!」ということで今度は台湾人を敵に回してしまい、中国の考え方が嫌いな日本人や欧米人なども怒り出して、別の方角から会社に抗議メールが殺到。←いまここ

 

この事態に日本のネットの反応は?

・さっぱり、わからない
どういうことか
・中国がYouTubeにアクセス制限してるせいやんけ
普通にアクセスできたら中国が3位で中国ニキもニッコリなのに
・この火に油を注ぐような声明出したせいで、ホロライブ史上過去最大の炎上に発展
・会社がどうにか出来る問題でもないから可哀想だな
・日本政府の公式見解に従って「台湾は中国の一部と考えます」と言ってるだけなのに、
なんでお前らは、政府じゃなくて一企業を叩くんだ?
・中国に対してはハリウッドでさえ気を使ってるくらいだからな

 

いま起きているこの大爆発に比べたら、ボクの失敗なんて雑魚レベル。
でも普通の日本人が触れそうな地雷はこの小さなほうで、中国人と台湾人を前にして主権問題を持ち出す人はまずいないと思うけど、違う話をしていたのに、いつの間にか地雷原に入っていて踏んでしまうケースは十分あり得る。
中国人と台湾人と一緒にいるときは、いまの話の先に台湾問題が待っていないか注意する必要がある。
面倒くさいけど、国際化時代にはそういう配慮がマスト。

 

 

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4 件のコメント

  • 実は過去にも他のメンバーが「タピオカは台湾の飲み物」と発言したり、クイズ企画でチベットを国として扱って謝罪してるんですよね…。
    そのたびに「体制を強化し、…」って言ってるんですが、全く改善してなくて会社への不信感が募るばかりです。
    ホロライブはつい最近英語圏向けのVチューバーがデビューしたばっかりですし、触れちゃいけない国際問題とか徹底的に勉強してほしいですね。

    3週間の謹慎という措置については、中傷的なコラ画像が作られたり、殺害予告とかが来ててタレントを守るためだと思いますが、3週間で収まってくれるかがとても心配です。

  • なるほど。
    前からいろいろやらかしていたんですね。
    海外向けに動画配信をするなら、かわいくて明るいだけじゃなくて、国際・時事問題の基本的知識は欠かせません。

  • まあ、もちろん、炎上するのを何としても避けたいのであれば、「炎上しやすい話題は何であるか」を勉強しないことには話にならないですが。

    ただ、「触れちゃいけない国際問題」って、本当にそれほどたくさんあるんですかね?「触れちゃいけない」なんて誰が決めたんですか? 外交官や外務大臣でもなかろうに。
    中国人と台湾人の双方がいる場で「意見が対立しそうな話題を避けるのがマナー」などと一般人に要求するのは、私が知る限りでは日本人だけです。どこの国でもそんな「マナー」は聞いたことがありません。
    そもそも国際コミュニケーションの場においては、たとえ相手国にとって不愉快な話であろうと、自分の意見を堂々と主張できないようではそんな人は信用されませんよ。変に気をまわして、何も言わないでいるが心の底では何を考えているか分からない、そういう日本人は多いらしいですが国際社会の場においてはあまり信用されません。
    気まずくなって何がいけないのですか?
    中華人民共和国の花と台湾の花は別々の存在としてある。それが事実でしょう。

  • 歴史や領土問題で触れちゃいけない話題は世界にたくさんあります。
    わたしの知る外国人はみんな話題は選びますね。
    韓国人に慰安婦問題、中国人・台湾人に主権問題を堂々と主張するとどうなるかはやってみたらわかります。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。