価値観が違う。韓国の「歴史を立て直す」を日本は認めない

 

日本と韓国には価値観や考え方でいろんな違いあるけれど、その中でも、最大と言っていいほどの大きな違いで、よく対立の原因となるのが「正義」。
韓国の、特に文政権の人たちは自分を正義の味方と考えるけど、日本はそんな見方を嫌う。

そんな価値観の違いが具体的な形となってあらわれたのが慰安婦問題や元徴用工訴訟問題で、これが戦後最悪といわれるほど日韓関係が悪化する主要因となる。
安倍前首相はルールを守ることの重要性を強調し、韓国を「ルールを守らない国」とみた一方、文大統領は被害者中心主義を唱えて国家間の合意を最優先にはしなかった。

それに困ったのが日韓の間で両者を仲介する人たちで、韓国問題をする担当の日本の外交官は、「韓国語の『オルバルダ』という表現を日本語で表現するのが一番困る」と日韓の認識の違いを説明する。
韓国語の「オルバルダ」は「正しい」という意味だけど、その範囲はとても広い。
日本人にとっての「正しい」は決められた基準に沿って行うことだけど、 「オルバルダ」は必ずしもそうではなく、日本語にはそれにピッタリ合う単語がないという。

合意や約束を一字一句、そのとおり実行するのが日本の「正しいやり式」だけど韓国は違う。

中央日報のコラム(2019.01.04 )

韓国で通用する「オルバルダ」の意味は、それこそ時代によって異なって受け止められる。「その時は合っていて、今は間違っていること」が「オルバルダ」という意味として使われるということだ。韓日慰安婦合意や大法院の強制徴用賠償判決がそうだ。「ヨクサ(歴史)パロ(真っ直ぐに)セウギ(立てる)」は日本語にない言葉だ。「歴史を立て直す」としか翻訳できない。

【グローバルアイ】約束を守る国・日本、正義が重要な国・韓国

 

歴史を立て直すというのは、いまの価値観に合わせて歴史を作り直すようなことだから、日本では絶対に受け入れられない。
日本人は歴史の蒸し返しをすごく嫌う。
でも韓国では、過去の合意が間違っていると判断されたら、それを修正することが正しく、正義の行いでもある。
だからパク前政権のときに日本大使館前の慰安婦像を撤去すると約束しても、いまの価値観から「それは間違い」となったら、撤去しないことが“正しい”になってしまう。
でも日本人は「約束を守らない正義」なんて認めないから、現在まで対立がつづいている。

上のコラムで韓国人記者は、「それなら互いの違いを理解して隙間を埋めようとする努力でもしなければならないが、そうしようとする行為が十分に感知されておらず心配だ。」と書くけど、この認識の違いは互いが理解しても埋められるものではない。
約束を守った側と破った側は「どっちもどっち」の対等な立場ではないし、合意はしっかり守ってもらなわないと信頼関係は成立しない。

 

つい先日もハンギョレ新聞がコラムで、韓日の同じような認識の違いを指摘していた。(2020-09-30)

文在寅(ムン・ジェイン)大統領にも、「歴史を正しく立てなければならない」という沸き立つ情念があった。文大統領は共に民主党代表時代の2015年12月、「(慰安婦)合意は国民の権利を放棄する条約や協約に当たるため、国会の同意を得なければならないが、同意がなかったので無効であることを宣言する」と述べ、

[キル・ユンヒョンの新冷戦韓日戦2]安倍-文、和解できない二つの情念の衝突

 

10億円の支援金を受け取ったあとで、「歴史を正しく立てなければならない」という沸き立つ情念によって、「慰安婦合意は無効であることを宣言する」と言われたら、もう関係はおしまい。
はじめは好意的だった菅首相が「韓国に対する感情が急速に悪化したのは慰安婦合意が白紙化の危機に置かれてから」(中央日報)となるのも、日本の価値観や正義からしたら当たり前。
だいたい政権が交代すると正義の基準も変わってしまうのなら、もうキリがないし相手にできない。

この構図は元徴用工訴訟問題でもまったく同じ。
韓国文政権が正義に基づいて「歴史を立て直す」と言うのなら、日本は正義に基づく制裁で応えるしかない。

 

 

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1 個のコメント

  • 多くの日本人にとって歴史(という学問)とは「事実の積み重ね」であるはずです。
    しかし韓国人にとって、歴史は、「立て直せる(建て直せる、再構成できる)」ものなのでしょうね。
    いつまでたっても科学系のノーベル賞が取れないはずだ。科学に向いてないですよ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。